お静と正蔵の出会い、馴れ初め 正蔵がついたやさしいウソとは

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天神祭の「ハモニカ」騒動が丸く収まり、ついにお静の口から正蔵との馴れ初めが語られました。それは以前、め以子が正蔵から聞いた浸りの馴れ初め話とは随分と違うものでした。

正蔵が言うには、可愛らしいお静に正蔵が一目惚れ、拝み倒した挙げ句お酒に「一服盛って」お静を酔わせ一筆書かせた、というものでした。それを聞いため以子は呆れ顔だったわけですが、どうやらこの話は正蔵の「優しさ」から出たウソだったようです。

出会いはお静が10歳のとき 正蔵は初恋の人

お静と正蔵の出会いは、お静がまだ10歳の時。天神祭の時に、姉さんの芸妓から「ハモニカ」を買いに行かされたお静でしたが、買ったハモニカを転んで「わや」(=この場合はダメにする、台無しにするという意味)にしてしまいます。

そこにたまたま通りかかった正蔵が、優しく「これ持っていき」とお静に自分の持っていたハモニカを渡します。そんな正蔵に対し、お静は「あんなだんさんがいいな」と初恋の感情を抱きます。時を経て芸妓として一人前になり偶然正蔵と再会したお静は、「この人は仏さんがくれたウチの最後のだんさんや」と思い、一緒になると決め込みます。

そこからはしつこく付きまとい、ついには「一服盛って」正蔵を酔わせ、一筆書かせてしまいます。つまり、正蔵が言っていたのとは「逆」だったわけです。お静がめ以子に見せた誓文は以下の通り。千代菊とはお静のことです。

誓文

私 西門正蔵は千代菊と
夫婦になります

大正二年四月十二日

西門正蔵 (印)
千代菊 (印)

とっさについたウソに、正蔵がつきあってくれた

正蔵と結婚後、継子の和枝と折り合いが悪かったお静。ある日、売り言葉に買い言葉で、和枝の「あの人(正蔵)だまくらかして入り込んだくせに」という言葉に「入れあげたんはあんたの父親や 騙されたのはウチや」と言ってしまいます。

それをたまたま聞いていた正蔵は、「ほんまにごめんなあ わるかったなあお静」と自身が泥をかぶり、その日からその「ウソ」をお静と共犯でつき通していたのでした。

お静は正蔵のことを「弱い人やと思う ずるい人やと思う 実のない人やと思う けど あの人より優しい人 うちは知らんのや」と言います。正蔵に対する未練や西門家に対して心に抱えていたわだかまりを吐き出したお静は「あんたが娘でよかったわ」と(イヤミではなく)しみじみとめ以子に言います。

この日以来、生まれ変わった(?)お静さん。「ダメ亭主を持った女房としてこれからは前向きに居座る」とのことで、表情も明るくなりました。正蔵にハモニカの礼を伝え、少しずつですが新しい人生を歩み始めたようです。それでも相変わらず着道楽はやめられないようですが…(笑)

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