船場汁・半助鍋…ごちそうさん・め以子が困惑する「始末の精神」「始末料理」は大阪商人合理の美学

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「ごちそうさん」大阪編では、め以子(杏)が小姑・和枝(キムラ緑子)に徹底的にいじめ抜かれます。その際、キーワードのひとつとなってくるのが「始末の精神」。この言葉、関西圏以外の方には馴染みのない言葉だと思いますが、大阪の文化を語る上では欠かせない、大切な心構えであるようです。

東京・本郷の洋食屋で自由気ままに育っため以子。家事はしないし食べてばかりだし、すぐふてくされるしで(笑)、現代の基準で考えてもちょっとハラハラしてしまう女性として、順調に育っております。

東京編では研究のため納豆やおにぎりを食べきれないほど調理する、袖口からお菓子を登場させ立ち食いをするなど、大正期という時代背景を考えれば、ずいぶんノビノビと奔放な生活を送っているように見えました。

「始末の精神」は大阪商人の気質を表す

さて、大阪でめ以子が直面する「始末の精神」なのですが、「食材を無駄無く最後まで使う」といった意味合いで使われます。「もったいない精神」に似たようなニュアンスを感じるのではないかと思います。

しかし、この「始末の精神」には商人の町・大阪ならではの意味が込められています。単にドケチに節約をして銭を溜め込むのではなく、締めるところは締め、使うところは豪快に使う、そんな大阪商人の心意気を表した言葉なのです。

そもそも「始末」とは始めと終わり(末)を意味する言葉で、他に「物事の締めくくりをつけること、後片付けをすること」「浪費をしないように気をつけること」といった意味もあります。

算盤(そろばん)勘定がしっかりできていて、物事を合理的に計画的に推し進めるという、大阪商人の質素・倹約の美学を体現したものと言えます。

「船場汁」「半助豆腐」…食材を使い切る始末料理

この「始末の精神」の表れでもある「始末料理」の代表的なものが「船場汁」(=鯖の骨、頭を出汁にした汁物)という船場の商家の賄い。商家が集まるかつての大阪の商業の中心地・船場の「船場料理」には、他にウナギの頭と焼き豆腐に難波葱を合わせた料理「半助豆腐(半助鍋)」などもあり、食材を余す所なく見事に使い切る大阪商人の知恵が受け継がれています。

「ごちそうさん」劇中においてもめ以子の「師匠」(近藤正臣)が作る「鰻の頭」「おから」「野草」を使った「半助鍋」が登場するらしく、こうした「始末料理」がテーマのひとつとなっていくようです。

▼「大阪食文化大全」は、大阪の食文化を網羅した良書。「始末料理」「大阪の喰い味」などを解説しつつ、相撲に見立てた明治期の「おかづ番付」「全国うまい物番附」なども掲載。なぜ大阪が食の都として発展していったかがわかる。

「宵越しの金は持たねえ」VS「始末の精神」

さて。いかにも東京(古くは江戸)の「宵越しの金は持たねえ」的な、あっけらかんとした文化の中で育っため以子。「始末の精神」の欠片もなかっため以子が、大阪生まれの小姑とぶつかってしまう流れとなるのも、必然なのかも知れません。あるいは脚本家・森下佳子(大阪出身)は、「始末の精神」を際立たせるために、東京でのめ以子の生活を敢えてだらしない姿に描いていたのかも知れません。

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