5月8日(木)放送のNHK連続テレビ小説「花子とアン」。伯爵家の令嬢・葉山蓮子(仲間由紀恵)が、葉山家の窮状を救うために設定された九州の石炭王・嘉納伝助(吉田鋼太郎)との見合いのシーンがありました。
見合いの席で沈黙を通した嘉納伝助 その真意は
不本意な見合いに対し厳しい表情を浮かべる蓮子に対し、伝助はワインをガブガブ、肉を頬張り、ついに一言も言葉を発しないまま、見合いは終了しました。
この嘉納伝助は貧しい家の出で、裸一貫で財を築き上げた叩き上げの経営者。横柄な男という設定です。今回の見合いの席でも鋭い目付きで蓮子を見定めているのかと思いきや、その後の伝助の言葉から意外な素顔が明らかになりました。
▼嘉納伝助のモデルは九州の炭坑王・伊藤伝右衛門。伯爵家の令嬢・柳原白蓮と結婚し、「白蓮事件」で世間を騒がせたことでも有名。
福岡の方言を隠した伝助
見合いの仲介者から、ついに一言も話さなかったことを問われた伝助は、
「地方弁で喋ったらバカにされるやないな」
と意外な言葉を口にします。
どうらや伝助は成り上がり特有の「コンプレックス」を持っているようで、見合いの席ではそれを隠し通すことに終始した模様。蓮子に対しては、以下のように「高嶺の花」であるかのような感想を述べていました。
「この世のもんとは思えんばい。白粉(おしろい)でキレーに飾り立てちょる。中州(福岡の繁華街)あたりのオナゴとはじぇんじぇん違うちょる…よかにおいがする」
伯爵家の麗しい令嬢、蓮子のことを誉め称えながらも、その表現はどこか卑しく下品なもの。労働者から叩き上げで出世した伝助にとって、いくらお金を持とうとも消え去れないコンプレックス、身分の差があるようです。
「どうせ断ってくるにきまっちょる…さっさと福岡へ帰るばい」
そう言うと、さっさと九州へと帰る伝助。没落する葉山家にとって藁にもすがる思いであった今回のお見合いでしたが、嘉納伝助側の視点で言えば伯爵家の令嬢が自分など相手にするはずない、という決めつけがあったようです。
現在以上の超えられない身分の差
葉山蓮子、嘉納伝助のモデルである柳原白蓮、伊藤伝右衛門夫妻の結婚の際には、そのあまりの身分の違いにより世間が大騒ぎになりました。当時はそれだけ「身分」というものが超えられない壁として存在していたということでしょう。
「花子とアン」においても、結婚することになる「伯爵家」の葉山蓮子と「石炭王」嘉納伝助というカップルは、センセーショナルな組み合わせとして描かれます。蓮子のことを褒めながらも「諦め」を口にする伝助の言葉からも、当時の厳然とした身分の差が物語られていたように思います。
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