【まれ】安西、圭太、弥太郎、博之それぞれの言い分 伝統工芸(輪島塗)を守る難しさ

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NHK連続テレビ小説「まれ」4月29日(水)放送分より。能登の人たちを欺いていた「経営コンサルタント」安西隼人(六角精児)の、輪島塗りに対する「ビジネス」的な言い分と、それに対する「塗師屋」弥太郎(中村敦夫)の「正論」の要旨をまとめます。

安西隼人(経営コンサルタント)の言い分

安西が輪島塗りに対して考えているのは、以下のようなこと。安西は安西なりに「輪島塗りの役に立とうと思って」とのことですが、その真意はいかに…。

・輪島塗りは素晴らしいが、つくる時間も手間もかかり値段が高い→高くなって売れなければ職人が食えない→職人が食えずに減ると、技術も失われていく。
・そこで素材の質を落とし、幾層にも塗られる「塗り」の回数を減らし、コストカットをする。大量生産によるコストダウンの恩恵も利用する。
・(粗悪品を売るのか、という圭太に対し反論)「粗悪品」という考えが古い。安くて丈夫な食器が100円で買える時代。
・どんなにいいモノでも、手に取ってもらわなければその価値は伝わらない。
・輪島塗りは海外からの評価も高いのに、生産システムが脆弱すぎる。
・まずはバブル期のように輪島塗りを(商業的に)復活させ、その後に理想を追求していけば良い。

紺谷弥太郎(塗師屋)の言い分

この安西の意見に対し、伝統を頑なに守ってきた弥太郎の意見は以下のようなもの。弥太郎の工房では「最低でも二十年以上寝かせた国産の漆」を使用し、木地の素材にも「ずばぬけたこだわり」を持っています。

・安西さんの言うことももっともや
・世の中「正論」だけでは食うていかれん
・せやけど、なにがどうなろうと「正論」ちゃ守り通さなければならんこともある。ほうでなければ世界に売り出す前に輪島塗りは終わる

理想ばかりを唱える若い圭太とは違い、さすがに弥太郎は多くの弟子たちの生活を守っている身。ある程度安西の言い分に理解を示しながらも、超えてはいけない「一線」だけはしっかり認識しているようです。

伝統や技術は一度壊れると不可逆であり、「一線」を超えた瞬間に「塗師屋」としての仕事、ならびに「輪島塗り」は終わってしまうという考えです。

博之の冷静な言葉 市場競争にさらされる伝統工芸

安西、圭太、弥太郎がそれぞれの立場で主張した内容は、日本の伝統工芸製作の現場の至る所で聞かれる話です。弥太郎の息子であり輪島市役所職員の博之(板尾創路)が希に対し言った言葉が、冷静でありながら核心をついています。

「ニセモノをつくるのなら別だが、(安西のビジネスは)輪島塗りの必要条件は満たしたモノと聞いてる」

いくら輪島塗りが歴史ある美しい「伝統工芸品」と言っても、資本主義社会の中では市場の競争に裸身で晒されています。「輪島塗りの必要条件」を満たしている安物が存在し、それにニーズがあるのならば、その「安物」とガチンコで競わなければならない。

では、解決策として国から助成金を貰う?従来のやり方を頑なに守り、富裕層を相手に販売する?品質を守りながら職人自身がコストダウン、販路拡大や広報などのビジネス意識を持つ?

「消費社会」と向き合う伝統工芸の難しさを物語る回でした。

▼「漆聖」と呼ばれた人間国宝・松田権六(蒔絵師)の本。金沢生まれで「輪島市名誉市民」でもある松田権六が、漆の奥深い世界を語り尽くします。

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