NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」のロケ地として登場する静岡県島田市の木造橋「蓬萊橋(ほうらいばし)」についてまとめます。
「世界一の長さを誇る」とされるこの木造歩道橋は、ドラマ序盤の印象的なシーンにおいてしばしば登場します。
地元静岡(島田市)の名所・蓬莱橋
「とと姉ちゃん」は、昭和5年の静岡・浜松地方から物語がスタート。地元・静岡の屋外風景もしばしば画面に登場します。
浜松から直線距離で40kmほど離れた静岡県島田市の木造橋「蓬萊橋」も、重要なロケ地の一つです。ヒロイン・常子(高畑充希)や妹の鞠子(相楽樹)らがこの橋を駆け抜けたり、腿上げの特訓を行なったりと、ドラマ序盤においてしばしば重要な撮影地となります。
蓬萊橋でのロケが行われたのは昨年(2015年)11月頃のこと。富士山が美しく見える素晴らしいロケーションではあるのですが、遮るものがなく強風が吹き付ける橋上での撮影は大変ハードだったとのことです。
その苦労もあり、完成した映像はとても美しい仕上がりとなっています。蓬莱橋でのシーンは、「とと姉ちゃん」において印象的なものになりました。
▲現在では珍しい木造橋である蓬莱橋。
Photo by: cage.okada
長さ世界一(ギネスブック)!蓬莱橋
「蓬莱橋」はJR東海道本線島田駅から南東に1kmほど、大井川に架かる木造橋(歩行者と自転車の専用橋)で、「世界一の長さを誇る木造歩道橋」(全長897.422m)としてギネスブックに認定されています(1997年)。
明治12年(1879年)に地元(牧之原台地)の開拓農民の出資によって架けられた蓬莱橋は、当時から関係者以外は通行料が必要な「賃取橋」でした。その流れもあり、現在でも100円(自転車、歩行者大人)の通行料が必要となります。
現在は一部橋脚にコンクリートの柱が用いられていますが、近年でもたびたび台風の影響で橋の崩落、橋脚の流出が発生しています。逆に言えばそれだけ水に近い昔ながらの造りの木造橋であり、その風情から、ドラマや映画のロケ地(映画「超高速!参勤交代」、「男はつらいよ 噂の寅次郎」など)としてしばしば用いられています。
※この「蓬莱橋」という名前は、明治初期に静岡藩七十万石の藩主だった徳川亀之助が残した言葉が由来となっているようです。この周囲の開墾状況や治水対策を見回った徳川亀之助は、「農は里の宝、向こうの山は宝の山、みなで力をあわせ宝の山を切り開けよ。」と民衆たちを激励。この「宝の山」という言葉から蓬莱(=中国の神仙思想に登場する三神山の一つ。山東半島の東方海上にあり、不老不死の薬を持つ仙人が住む山と考えられていた)の名が取られたようです。