NHK連続テレビ小説「あんぱん」第11週から、俳優の妻夫木聡が出演するようです。
意外にも妻夫木聡はこれが朝ドラ初出演。この記事では妻夫木聡が演じる上等兵・八木信之介(やぎ・しんのすけ)の人物設定などをまとめます。
インテリで変わり者の上等兵・八木信之介

1942年(昭和17年)の夏、召集令状が届き九州・小倉連隊の内務班に配属された嵩(北村匠海)は、そこで不思議な上等兵・八木信之介(妻夫木聡)と出会うことになります。
小倉連隊といえば、九州各地から血気盛んな男たちが集う部隊であり、内部では理不尽な指導や暴力が横行していました。
入隊早々、嵩も古兵の一人・馬場から陰湿ないじめを受けそうになりますが、それを止めたのが上等兵の八木でした。
八木は新人の嵩の面倒を見る「戦友」と呼ばれる立場で、他の先輩たちと違って暴力を振るわない男。大卒のインテリなのだそうですが、なぜか幹部候補生の試験を受けない変わり者で、中隊長にも顔が利くと周囲から恐れられています。
時に厳しい口調も見せる八木ですが、軍隊に馴染めずにいる嵩を何かと気にかけ、折に触れて助け舟を出してくれるようになります。
やがて嵩が所属する小倉連隊に中国への出動命令が下ると、八木は嵩に「弱い者が戦場で生き残るには…卑怯者になることだ」という言葉を伝えます。
八木は、嵩が入隊の際に井伏鱒二の詩集を持っていたのを見て「自分と同じ匂いがする」と感じ取っていたのだそう。
いつも冷静に繊細に物事の本質を見抜いてくれる八木の存在により、嵩は慣れない軍隊生活を乗り越えていくことになりそうです。
▼2009年のNHK大河ドラマ「天地人」で主演・直江兼続役を演じるなど、すでに実績十分の妻夫木聡(44歳)。近年はTBS系日曜劇場「危険なビーナス」、「Get Ready!」で主演を務めるなど順調にキャリアを積んでいますが、意外にもNHK朝ドラは初出演。
▼2022年の主演映画「ある男」は、第79回ヴェネツィア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に正式出品されたほか、妻夫木自身もこの作品で第46回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。映画「ある男」はAmazonプライムビデオで見放題配信中。

戦後に八木と再会 ヤギおじさんがモデル?

NHKが公表している八木信之介の人物紹介文によれば、八木信之介は戦後に嵩と思わぬ形で再会し、嵩とのぶの人生に大きな影響を与えていくとのこと。
八木が井伏鱒二好きのインテリであることなどから、戦後に出版、文学関係などの分野で活躍する八木に嵩が偶然出会うのではないかと大胆予想してみます。
八木信之介のモデル人物は現在のところ不明ですが、嵩のモデルであるやなせたかしに絵本の出版を促した出版関係者(フレーベル館)や、やなせたかしと同時代に活躍した詩人・サトウハチロー、谷川俊太郎らがモデルである可能性も考えられますね。モデル人物の詳細がわかりましたら追記予定です。
また、「あんぱん」の登場人物の多くは「それいけ!アンパンマン」のキャラクターがモチーフになっていますが(例:羽多子=バタコさん、ヤムおんちゃん=ジャムおじさん)、八木信之介はその名前から「ヤギおじさん」または「やぎ画伯」あたりがキャラクター創作のモチーフになっているかも知れません。
「ヤギおじさん」は丘の上の風車小屋で小麦粉を作っていて、ジャムおじさんに自分の挽いた小麦粉を分けてくれる人物。「やぎ画伯」はいつも素敵な絵を描いている町の芸術家。
もし八木信之介が「アンパンマン」誕生に関与するのであれば、ジャムおじさんに小麦粉を提供するヤギおじさんがキャラクター的に近いかも知れません。
▼やなせたかしの戦争体験を知るには「ぼくは戦争は大きらい」がオススメ。戦争時代に体験した正義の曖昧さが、後に誕生する「アンパンマン」の根底のテーマになっています。

