2018年9月から放送されたNHK土曜ドラマ「不惑のスクラム」。
この記事ではドラマに登場する「大坂淀川ヤンチャーズ」についてまとめるとともに、モデルとなった実在のチームがあるのかについてもまとめます。
おっさんたちのラグビーチーム「大坂淀川ヤンチャーズ」
「大坂淀川ヤンチャーズ」は、大阪に本拠を置くアマチュアのラグビーチームです(ドラマ上のフィクションのチームです)。
死に場所を求めて河川敷をさまよっていた丸川(高橋克典)に声をかけ、彼の人生を変えるきっかけを作ることになる老ラガーマン・宇多津貞夫(萩原健一)により、20数年前に結成されています。
「ヤンチャーズ」の特徴は、なんといっても「不惑のラグビーチーム」であるということ。
孔子の言葉である「四十にして惑わず」=「不惑」が示すように、40歳以上のおじさんたち(正確には30代後半から60代あたりまでが所属。かつては80代もいたらしいが、死去)が、職業や社会的地位、肩書きを抜きにして、ただただラグビーボールを無心で追いかける、泥臭く汗臭い中年ラグビーチームです。
「ヤンチャーズ」のほかにもこうした「不惑のラグビーチーム」は日本(世界)各地に存在し、交流試合や「アフターマッチ・ファンクション(試合後の飲み会、交流会)」を通して親交を深めています。こうしたおじさんたちの草の根のラグビー活動は、ラグビー文化を支える一翼を担っているといえます。
ちなみにチーム名「ヤンチャーズ」の由来ですが、「老いてなおやんちゃであれ」というチーム理念をあらわしており、「ベンチャーズ」のモジリでもあるとのこと。
本格派からズブの素人まで 様々な男が所属
「ヤンチャーズ」のナンバー8で主将を務める金田(村田雄浩)は、かつて名門高校で花園に出場し、大学に進学後は日本代表を狙おうかというところまで活躍した屈強のラガーマン。
しかし、「ヤンチャーズ」のメンバーは金田のような本格的なラガーマンばかりではなく、創設者・宇多津に誘われて初めてラグビーに出会った人物や、長年ラグビーから離れて体力の衰えていた元選手なども多く、その実力はバラバラです。
また、チーム内にはお互いの私生活を干渉する雰囲気はなく、一流企業の重役やサラリーマン、肉体労働者、そして人には言えない「過去」を持った丸川のような人物まで、ラグビーを愛している人間であれば大らかに受け入れる土壌があります(後にその「過去」がチーム内で発覚し、波乱を巻き起こしますが…)。
「ヤンチャーズ」モデルチームは?
NHKドラマ「不惑のスクラム」は、安藤祐介氏の同名小説「不惑のスクラム」が原作となっています。この原作は東京が舞台であり、「ヤンチャーズ」も「大江戸ヤンチャーズ」の名前で登場しています。
※ドラマの制作が「NHK大阪放送局」であるため、大阪のチームに設定変更されたようですね。
基本的に「ヤンチャーズ」はフィクションの存在であり、丸川や宇多津といった登場人物たちも架空のものとなります。
ただし、原作者の安藤祐介氏は「不惑のスクラム」を書くにあたり、実在する不惑のラグビーチーム「ムテッポーズ(Muteppos)」に2年間に渡り継続的に潜入。取材を兼ねて練習に参加し、時には遠征試合やファンクション、飲み会などに同行し、親父ラガーマンたちのリアルな熱気と情熱を体感しています。
「ムテッポーズ」のホームページには「無鉄砲な夢を、いつまでも…」というキャッチコピーが掲げられており、こうしたチームカラーや雰囲気が「ヤンチャーズ」の創作に生かされたようです。
原作巻末の「謝辞」から作者の言葉を一部引用します。
この物語はフィクションですが、私がグラウンドで感じた不惑ラガーマンたちの“掛け値なしの縁”は紛れもなくノンフィクションです。
こちらのリンク集には、北海道から九州まで、たくさんのシニアラグビーチーム(不惑のラグビーチーム)のホームページリンクがまとめられています。もしご興味があれば、思い切ってお近くのチームに参加してみてはいかがでしょうか。