「虎に翼」寅子が「原爆裁判」を担当 三淵嘉子が関わった原爆裁判の争点、歴史的な判決とは

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NHK連続テレビ小説「虎に翼」第20週では、東京地方裁判所に戻った寅子が大きな事案となる「原爆裁判」を担当することになります。

史実でもヒロインのモデル・三淵嘉子が「原爆裁判」の審理を担当していますので、その内容や論点、最終的な判決内容などをまとめます。

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目次

【虎に翼】寅子、原爆裁判を担当 原告代理人に雲野の名前が

新潟での赴任生活を終えて東京へと戻ってきた寅子(伊藤沙莉)は、東京地方裁判所民事部の民事第二十四部に所属することに。その民事第二十四部がいわゆる「原爆裁判」を担当することになったため、寅子はこの難しい国家賠償事案に関わっていくことになります。

「原爆裁判」は、広島や長崎への原爆投下で家族を亡くした遺族や被爆者らが原告。原告の代理人には寅子の恩師といえる雲野六郎弁護士(塚地武雅)の名前があり、寅子にとっても思い入れの強い裁判になっていきそうです。

後述するように「原爆裁判」はアメリカによる原爆投下が国際法違反にあたるのか、被害者個人がアメリカや日本政府を相手に損害賠償を請求できるのかといった様々な論点がある難しい裁判です。

【史実】三淵嘉子が担当 8年に及んだ「原爆裁判」の論点とは

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1955年(昭和30年)、名古屋地方裁判所(ここで嘉子は女性初の判事になっている)から東京地方裁判所に戻った三淵嘉子(寅子のモデル人物)は、広島や長崎の原爆被害者が原告となった「原爆裁判」(裁判長は古関敏正、右陪席に三淵嘉子)を担当しています。

「原爆裁判」は、広島の原爆で5人の子供を亡くした下田隆一氏が原告代表。広島と長崎の原爆投下による被爆者や遺族らが国(日本)を相手取り、アメリカに原爆を投下させたことに対する損害賠償、ならびにアメリカの原爆投下が国際法違反にあたることを認めるよう求めた裁判です。

原告側の代理人は、AB級戦犯の弁護などを担当した経験を持つベテランの岡本尚一弁護士。この裁判における争点、論点はざっと以下のようなものとなっています。

【原爆裁判の論点】
・アメリカによる原爆投下は国際法違反にあたるのか
・国際法に違反するとした場合、被害者個人がアメリカを相手に損害賠償を請求できるのか
・仮に請求が出来たとして、それをアメリカの裁判所が受け入れる可能性はあるのか
・サンフランシスコ講和条約により日本政府はすでに賠償請求権を放棄しているが、これは違法ではないのか
・これらがすべてが違法でない場合でも、そもそも日本国が戦争を起こしたことにより国民にもたらされた甚大な損失を国が補填する義務が認められるのか

といったところ。これら複雑に入り混じった論点を嘉子ら東京地裁の判事たちは一つ一つ丁寧に読み解き、原告の請求の妥当性を検討していくことになります。

「原爆裁判」の審理は8年の長期に及び、その間に原告代理人の岡本尚一弁護士は病没。準備手続き27回、口頭弁論9回を経て、1963年(昭和38年)12月にようやく判決が言い渡されています。

【史実】「原爆裁判」の判決は?原爆投下は国際法違反?

1963年12月、東京地方裁判所の古関敏正裁判長、三淵嘉子らが出した判決は「原告が求めた国への損害賠償を棄却する」というものでした。

その論拠は、現行の国際法のもとでは個人が国家に対して損害賠償請求を国内の裁判所に提訴できないというものでした。

ただし、東京地裁は原爆被害者たちの思いを切り捨てたわけではありませんでした。

東京地裁はこの判決の中で、日本の裁判所として初めて「原爆の投下自体は国際法違反である」と明言。

三淵嘉子や裁判長の古関敏正らは何度も話し合いを重ねた末に、請求権を持たない原告に対して裁判所(法律)が出来ることはないとしながらも、戦争で深い傷を負った人々に最大限寄り添う形での結論を出したのでした。

「虎に翼」でも、寅子が法律の限界によって被爆者や遺族を救えない葛藤に苦しみながらも、なんとか原告の思いに寄り添おうとする姿が描かれるものと予想します。

愛する家族を奪ったアメリカという国そのものを憎むのではなく、人類は二度と原爆投下という過ちを犯してはならないという強いメッセージを、寅子は裁判官という立場から発していくことになりそうです。

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