テレビ朝日昼の帯ドラマ劇場「トットちゃん!」で、松下奈緒演じる黒柳朝(くろやなぎ・ちょう)が通う「東洋音楽学校」についてまとめます。同校は黒柳親子をはじめ多くの人材を輩出していますので、有名どころの卒業生も挙げてみます。
朝はこの東洋音楽学校に通ったことで、後の人生が大きく変わっていくことになります。
昭和4年 東洋音楽学校に通う黒柳朝
「トットちゃん!」の物語は、黒柳徹子(清野菜名)が生まれる前の昭和4年から始まります。徹子の母・黒柳朝(松下奈緒)は北海道で開業医をしていた門山家で育った後、叔父夫婦の家に下宿をしながら東京の「東洋音楽学校」の声楽科に通っています。
北海道の父・周通(佐藤B作)は青年医師・児玉久興(本多力)と朝を結婚させて自身の医院を継がせるつもりでいました。ところが朝は学生生活の中で第九演奏会の合唱団に参加することになると、そこでコンサートマスターの黒柳守綱(山本耕史)と出会い、運命の恋に落ちてしまうのです。
現在の東京音大 最古の歴史を持つ私立音大
黒柳朝が北海道から東京に出て東洋音楽学校・声楽科に通ったこと、それに参加した第九演奏会で後の夫となる黒柳守綱に出会ったことは、いずれも実話です。
この東洋音楽学校は1907年(明治40年)に創設された音楽学校で、1963年に4年制大学として認可され(東洋音楽大学)、その後1969年に「東京音楽大学」と改称され現在に至っています。
前身の音楽学校時代を含めると日本の私立音楽大学としては最古の歴史を持ち、これまで多くの著名人、音楽家を輩出している名門音大です。
▼池袋駅にもほど近い、東京都豊島区南池袋にある東京音楽大学の本部。隣接地には附属幼稚園も。
音楽による社会貢献
同校の創立者である鈴木米次郎は「音楽を通して社会に貢献する」ことを常々語っており、西洋音楽に関する学問の探求と高度な音楽技量の修得を通じて教養豊かな音楽家及び音楽教育者を育成し、それによって社会に貢献することを願っていました。
鈴木米次郎のこうした考えは「アカデミズムと実学の両立」「音楽による社会貢献」「国際性」という建学の精神に反映され、音楽界のみならず教育界、芸能界、それに音楽産業分野といった実業界にも多くの人材を輩出し続けています。
多彩で多才な卒業生 松下奈緒も同校OG
東洋音楽学校、東京音大出身者のうち、新旧のわかりやすい有名どころ、著名人を列挙してみます。
歌手の春日八郎、元ハナ肇とクレージーキャッツメンバーの石橋エータロー、作曲家の三枝成彰、漫画家・声楽家の池田理代子、俳優・歌手の石丸幹二、ヴァイオリニストの宮本笑里、その父で元オーボエ奏者の宮本文昭、俳優の山崎育三郎、元AKB48の松井咲子、そして黒柳朝、黒柳徹子母娘、今回のドラマで主役の一人を演じる女優でピアニストの松下奈緒…。
ざっと挙げただけでも、実に様々なジャンルで多彩な才能を輩出しているのがわかります。歌手の淡谷のり子は朝の二つ上の先輩で、当時から才能を見せていたとか。
同校の音楽学部音楽学科ピアノ専攻を卒業している松下奈緒にとって、黒柳朝、黒柳徹子は母校の偉大な大先輩にあたるわけで、今回の役柄に対する思い入れは相当に強いものがあるでしょう。
▼近年の朝ドラ人気の火付け役ともされる「ゲゲゲの女房」。松下奈緒はヒロインの大役を見事に演じきった。