NHK連続テレビ小説「あんぱん」より。
フーテンのパン職人「ヤムおんちゃん」こと屋村草吉の知られざる過去を、公表されているあらすじから読み解いてみたいと思います。
この記事には一部今後のネタバレも含みますのでご注意ください。
フーテンのパン職人「ヤムおんちゃん」
全国各地を旅してパンを焼きながら生きているフーテンのパン職人「ヤムおんちゃん」こと屋村草吉(阿部サダヲ)。ひょんなことから御免与町の朝田家に転がり込んで以来、旅をやめて定住し、パン焼きの仕事で生計を立てているようです。
草吉はあまり自身の過去を語りたがらず、第5週放送まででわかっている草吉の素性は以下のことくらいでしょう。
・各地を旅しながら気が向いたらパンを焼く職人
・「東京の人」ではなく住所不定のフーテン
・お金にがめつい
・少年時代の嵩に「お前も居場所がないんだな」と同情。天涯孤独の身?
・嵩が銀座のパン屋(美村屋)の話をした際に動揺した表情を見せる
パン焼き(あんぱん)の高い技術を有している草吉ですが、どこで修行したのか、なぜパン職人になったのかといった過去は一切語られていません。
今後のあらすじを読む限り、草吉の過去はミステリー要素を抱えたまま、少しずつ明かされていくようです。

【ネタバレ①】銀座のパン屋で草吉の写真を発見
▼NHKの公式ガイドブックに掲載されていた、草吉の銀座時代の写真。右から3番目にひょっこり顔を出しているのが草吉です。

第1週で少年時代の嵩が銀座のパン屋「美村屋」の思い出を語った際に、草吉は明らかに動揺の表情を見せていましたね。この描写は後々に伏線として回収されていきそうです。
第6週では、上京して東京高等芸術学校に入学した嵩が、銀座のパン屋(おそらく美村屋)に飾られていた従業員の写真の中に草吉の姿を発見。
嵩からの手紙でそれを知ったのぶはさっそく草吉にその件を聞いてみますが、草吉は「知らねえな」と突っぱねます。
草吉が銀座でパンの修行をしていたことは間違いなさそうですが、何らかの事情によりあまり思い出したくない過去なのかも知れません。
【ネタバレ②】日本人義勇兵として壮絶な戦争体験
第9週から第10週にかけて、朝田パンが陸軍の中佐からの依頼を受けて軍に収める乾パンを焼くというエピソードが描かれます。
のぶからこの依頼の話を聞いた草吉は、なぜか「絶対に乾パンは焼かない」と断固として拒否。大変な名誉である国からの仕事を断ろうとする朝田家に対し、学校や国防婦人会から非難の声があがってしまいます。
朝田家のためにどうしても乾パンを焼いてほしいと懇願する釜次に対し、草吉は自身の壮絶な過去を語ることになります。
それによれば、草吉は第一次世界大戦(1914年〜1918年)にイギリス軍の日本人義勇兵として戦地に行き、そこで壮絶な体験をしたのだとか。死屍累々の戦場で兵士たちは必死に乾パンを食べて飢えをしのいでいたそうで、草吉は乾パンを見るだけで辛い戦争の思い出がフラッシュバックしてしまうのだそう。
それでも釜次からの頼みを受けて無言で乾パンを焼き始めた草吉は、よほど辛い気持ちになったのか、翌日に荷物をまとめて朝田家から姿を消してしまうことになります。
※第1週において草吉が御免与町にやって来たのが1927年(昭和2年)。第一次世界大戦が終わってから9年後ということになります。
草吉が銀座でパン修行をしていたのが第一次世界大戦の前なのか後なのかは、現在のところわかっていません。
【今後の展望、予想】草吉が「アンパンマン」誕生のキッカケになる?

現時点で公開されているあらすじでは、草吉が銀座のパン屋で働いていたらしいこと、草吉が過去の壮絶な戦争体験に苦しんでいるらしいことくらいしか読み取れません。
あらすじを読む限り、草吉は第9週で乾パンを焼いた直後に朝田家から姿を消してしまいそうです。おそらく草吉は銀座時代の過去を語らないまま、また旅に出てしまうのでしょう。
ここからは当ブログの予想となりますが、草吉は戦後に嵩やのぶと再会する(または嵩が草吉の過去に出会う)のではないかと予想します。
「ヤムおんちゃん」こと草吉は、「アンパンマン」の創造主である「ジャムおじさん」がモデルになっているとされます。
嵩にあんぱんの美味しさを教え、戦争の理不尽さや正義の曖昧さを知り尽くす草吉の存在が、後に嵩が愛と正義の物語「アンパンマン」を生み出す原動力になる可能性があります。
戦後に夢を追うために上京した嵩とのぶが、銀座の美村屋で草吉の過去と出会った時、大きな物語が動き始めるのかも知れません。
▼嵩、千尋、豪、岩男ら主要な男子たちが次々に戦地に向かうことになる「あんぱん」。辛い戦争の時代を経た嵩が、同じく暗い戦争体験を抱える草吉と再会する展開がありそう?