2023年4月22日(土)に放送されたNHK番組「ブラタモリ〜下北沢 なぜ若者は“シモキタ”で夢を見る?」でタモリと野口葵衣アナウンサーが巡ったロケ地、撮影場所をまとめます。
番組の終盤では、タモリが32歳の頃に住んでいたという下北沢近くのマンションも登場。タモリの若き日の思い出を巡る印象深い散歩旅となりました。
下北沢 テーマは「なぜ若者は“シモキタ”で夢を見る?」
この日の「ブラタモリ」は、東京都世田谷区の下北沢駅周辺をお散歩しています。
小田急小田原線と京王井の頭線が交差し、演劇や音楽、ファッションなど若者を魅了するカルチャーが花開いた人気の街・下北沢。「なぜ若者は“シモキタ”で夢を見る?」をお題に、下北沢に若者たちが集うようになった歴史が紐解かれていきました。
以下、この日の放送で登場したロケ地、撮影場所をざっとまとめます。
ロケ地①下北沢駅・東口前…ロケスタート
番組のオープニングは、小田急線の地下化(2013年)により急速に再開発が進んでいる下北沢駅の東口付近で撮影されています。
タモリが最後に下北沢を訪れたのは30年以上も前のことだそう。小田急線のかつての地上線路跡を横目に、タモリは急速に変わる下北沢の街に目を見張っています。再開発前にこの周辺にあった古いアーケード街「下北沢駅前食品市場」の話題も登場しましたね。
ロケ地②北沢ビル…街で最古のビル 若者の夢の始まり
タモリ一行は、下北沢駅前から歩みを進めて古着屋が林立する商店街を抜け、「北沢ビル」(世田谷区北沢2-30-11)という古いビルの前に到着しています。
案内人の髙嶋修一さん(青山学院大学経済学部教授)によると、この「北沢ビル」は昭和37年(1962年)に建てられたもので、下北沢に残っている中で最も古いビルとのこと。
現在は上層階まで古着屋やギャラリーなどの店舗が入りますが、もともと上層階は住居(アパート)だったそう。それが古くなり住居として適さなくなったため、格安で店舗として貸し出されるように。夢はあるがカネはないという若者たちがここに店舗を構えるようになり、現在の下北沢文化の走りとなるような店舗がここで生まれていったというわけです。
ロケ地③下北沢の六叉路…地形がそのまま残る街路
続いて向かったのは、駅の南口方面。餃子の王将などがある六叉路付近です。
道が無秩序に入り組み、左側の道は高い場所を通り、右側の道は低地に沿うように進んでいる…。そんな不思議な下北沢の風景が紹介されています。
この一帯は、川が削った低地と台地が入り組んでいる場所。高低差・地形をそのまま活かした古い道が、区画整理されないまま現代に残されています。高低差が激しくグチャグチャに入り組んだ街路の構造が、カオスな街・下北沢の骨格となっています。
▼六叉路の角地の細長い建物に入る古着屋「プチコション 本店」(世田谷区代沢5-33-3)も紹介されています。
ロケ地④森厳寺…下北沢は「ジジイの町」?
続いては江戸時代の古地図をヒントに、江戸当時の「下北澤」の象徴ともいえる場所に向かっています。
一行がたどり着いたのは、先ほどの六叉路からさらに南に行った「森厳寺」(世田谷区代沢3-27-1)。慶長13年(1608年)に建てられたこのお寺は、青山、祐天寺、目黒不動方面に通ずる交通の要衝に位置します。
江戸時代、この「森厳寺」で施術される「粟嶋の灸」は広く知られ、江戸市中から多くの人が集まったとか。江戸時代の中期に出版された本にはこの「粟嶋の灸」が紹介されており、主に40歳以上の中高年の人がお灸を受けるためにここに通ったことがわかっています。
それを知ったタモリは、「ジジイの町だったんだ!」と大喜びをしています。
ロケ地⑤齋田記念館…「武州荏原茶」を訪ねる
続いて世田谷代田方面に足を運び、明治時代に下北沢一帯に富をもたらしたという「武州荏原茶(ぶしゅう・えばらちゃ)」の名残を訪ねています。
一行が訪ねたのは、環状七号線沿いの高台にある「齋田記念館」(世田谷区代田3-23-35)。明治時代、この一帯の水はけが良い高台で盛んに行われたというお茶の栽培の記録を展示するミュージアムに立ち寄ったタモリ。その後、敷地内の庭園を眺めながら「荏原茶」を堪能しています。
ロケ地⑥下北沢駅前・シモキタフロント…高低差を利用した鉄道計画を見学
一行は再び下北沢駅前に戻ると、駅前の新しい商業ビル「シモキタフロント」のテラス部分へと上がっています。
ここで見学したのは、小田急線(地上時代)と京王井の頭線の立体交差具合。「シモキタフロント」からの俯瞰により、この二路線が土地の高低差を利用してうまく交差をさせていたことが理解できます。
※小田急線は低い土地に、井の頭線は高い土地に通しているため、重ならずに自然に立体交差が出来ていたわけです。
ロケ地⑦明大前駅…「第2山手線」の夢の跡を探る
下北沢から少し離れた京王井の頭線・明大前駅近くの線路沿いでもロケが行われています。
一行が訪ねたのは、京王井の頭線が京王本線の下をくぐる様子が見られる、井の頭線の線路沿いの駐車場。ココカラファイン明大前店の前にある駐車場ですね。
鉄道ファンの間では有名ですが、この場所から見ると、井の頭線の線路の両脇に設けられた謎のスペースが確認できます。
これは昭和初期に計画された「第2山手線」(大井町〜小山町〜代々幡町〜野方町〜板橋町〜田端〜千住町〜寺島町〜小松川町〜砂町〜洲崎町)と呼ばれる幻の鉄道計画の名残で、この謎スペース(両脇)に「第2山手線」を通そうという計画がありました。
この「第2山手線」の実現のために、先にドル箱路線となる井の頭線の開通を急いで郊外の沿線開発を進め、需要が出来たところで郊外の環状線「第2山手線」の建設に着手しようという計画だったわけです。
「第2山手線」の計画は幻に終わりましたが、結果的に井の頭線が開通したことで、小田急線と京王井の頭線がクロスする下北沢は鉄道交通の要衝として大きな発展を遂げています。
ロケ地⑧BONUS TRACK、日記屋…線路跡地に誕生した若者向けの商業地
最後に訪れたのが、かつて小田急小田原線が走っていた地上線路部分をオシャレな商業地として再開発した「BONUS TRACK」です。
下北沢駅から西隣の世田谷代田駅までの地上線路跡は公園・遊歩道や商業地となり、若者たちが集まる新しい場所となっています。タモリ一行は線路跡に出来た商業施設「BONUS TRACK」に立ち寄り、日記専門の書店「日記屋 月日」などを訪ねています。
この建物群は一階が店舗スペース、二階が居住可能空間としてデザインされており、夢を持つ若者に格安で貸し出されています。前述した「北沢ビル」の現代版のような造りですね。
▼「BONUS TRACK」内には、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんのお店「発酵デパートメント」もあります。「ブラタモリ」でもチラッと紹介されていましたね。
#Superconnection
— Superfly_Official (@Superfly_staff) April 19, 2023
お待たせしました!#Superfly Official Fanclub “Superconnection”発行会報誌「SuperJournal Vol.11」本日発送しました
特集では、志帆が今とても興味津々な『発酵』についてたっぷり勉強するため発酵デパートメント @DepartmentHakko へ!https://t.co/WUYeLYxAF3 pic.twitter.com/nOEVlq9Wot
▼発酵をカジュアルにわかりやすく、そして奥深く語っている小倉ヒラクさんの著書「発酵文化人類学」。発酵に人生をかけ、山梨の奥地で日々発酵の研究を重ねている小倉さんの豊かな才能が爆発した名著です。
ロケ地⑨タモリ、32歳の時に住んでいたマンション、サンカツ酒店を訪ねる
ロケの最終盤。野口アナが「タモリさんが若かったら、ここ(BONUS TRACK)に住んでみたかったですか?」と質問すると、タモリは「実はね、この先に2年ぐらい住んでたことがあるんだよ」と衝撃のカミングアウトを行っています。
タモリによれば、32歳くらいの頃にすぐ近くのマンションで暮らし、近所だった萩本欽一、キャンディーズのミキちゃんと一緒にタクシーを呼んだりした思い出があるとか。
タモリが住んでいたのは、世田谷代田駅のすぐ裏にある「草野マンション」(世田谷区代田2丁目31-4)。一行はロケの最後に、恐らく勢いのままに予定外で、このマンションを訪ねています。
タモリは「草野マンション」の前に立つと、「ここにいたんです。いやあ、残っているんですね…」としみじみ発言。町並みは大きく変わりましたが、マンションは当時(45年前)の姿のままで残っていたようです。当時は新築に近かったんでしょうね。
「私、ここで夢を見ていました」…。この日のテーマに沿ったタモリの素敵な発言が出たところで、この日の放送は終了をしています。
▼マンションのすぐ横にある「三勝(サンカツ)酒店」。タモリの発言によれば、このサンカツ酒店に欽ちゃん(萩本欽一)の事務所があったとか。タモリはロケ後にサンカツ酒店の皆さんと再会を果たしたようですね。