NHK連続テレビ小説「あんぱん」で柳井嵩の恩師となる東京高等芸術学校の教師・座間晴斗(ざま・はると)についてまとめます。
アニメ「アンパンマン」の声優としてもおなじみの山寺宏一が演じる座間晴斗。モデルはやなせたかしの恩師・杉山豊桔(すぎやま・とよき)先生がモデルになっていると考えられます。
座間晴斗先生との出会い「おまえら銀座に行け」
🏃♀️#あんぱんのなかま🖌
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) March 22, 2025
座間晴斗 🖊 #山寺宏一
嵩が通う芸術学校の教師。嵩にとって生き方、人生の考え方の基本を教えてくれた恩師。#朝ドラあんぱん
📅3月31日(月)スタート🏃 pic.twitter.com/cUKvyzNoaN
1937年(昭和12年)4月。嵩(北村匠海)は上京して東京高等芸術学校図案科に入学すると、自由と創造性にあふれる魅力的な人々と出会っていきます。
嵩に特に大きな影響を与えていくのが、図案科の担任教師である座間晴斗(山寺宏一)です。
入学早々、座間は「机で学ぶことは何もない。おまえら銀座に行け。世の中を、心と体で感じてこい。」と生徒たちに発破をかけます。
座間は当時としては珍しい、先進的で型破りな人物。嵩たちに自分らしい絵を描くことの大切さを教えていきます。
時はちょうど戦争の時代へと向かっていく頃。世の中がギスギスとしていく中で、ひょうひょうと自分のスタイルを貫いていく座間の生き様は、後の嵩の人生に大きな影響を与えていくことになります。
モデルはやなせたかしの恩師・杉山先生「銀座に出て遊びなさい」

この座間晴斗というキャラクターは、嵩のモデルである漫画家・やなせたかしの学生時代の担任教師、恩師がモデルになっています。
高知県立高知城東中学校(現在の高知県立高知追手前高等学校)から旧制東京高等工芸学校図案科(現在の千葉大学工学部総合工学科デザインコース)に進学したやなせたかし。
東京高等工芸学校図案科には室内、染色、商業美術(コマーシャルデザイン)という3つのコースがありましたが、やなせたかしは商業美術(コマーシャルデザイン)を専攻しています。
18歳だったやなせたかしは入学早々、図案科の担任教師となった杉山豊桔(すぎやま・とよき)先生から開口一番強烈な挨拶の言葉を受け取っています。
「机にかじりついて勉強ばかりしているようでは、ろくな作品はできない。大切なのは感覚だ。ここは銀座に近いのだから一日に一度は銀座に出て遊びなさい。芸術は吸収するだけではなく、街でこそ吸収するものだ」
学校があった田町から銀座は比較的近く、やなせたかしはこの杉山先生の言葉を受けて毎日銀座をぶらつく日々を送ったそうです。
当時の銀座は流行の最先端の街であり、少し歩けば映画スターや美術界の巨匠とも出会えるエネルギーあふれる場所でした。高知から上京したばかりの「田舎者」だったやなせたかしは銀座で自由闊達に生きる人々に触れ、人生観や創作エネルギーを大きく膨らませています。
また、やなせたかしは杉山先生の以下の言葉にも大きな影響を受けたようです。
「図案科に入ったからといってデザイナーにならなくてもいい。小説家でもタップダンサーでも何でもいいんだ」
やなせたかしは、代名詞である漫画家のほか、絵本作家、作詞家、詩人、編集者、演出家、シナリオライター、コピーライターなどの肩書でさまざまな活動を行う、マルチな才能の持ち主として知られました。
やなせたかしのこれら多数の肩書は、中年以降にようやく「アンパンマン」を大ヒットさせたやなせたかしの苦労続きの人生の足跡であるとともに、学生時代の恩師・杉山先生の言葉を体現したものだったのでしょう。
若き日のやなせたかしは、杉山先生の自由で柔軟で洗練された物言いに大きな影響を受け、穏やかで自由な東京高等工芸学校の気風に育まれ、自らの常識や固定観念を解き放っていったようです。
▼銀座と聞いてピンときた方もいるでしょう。ヤムおんちゃんが過去に関わっている可能性があるパン屋「美村屋」があるのも銀座です。座間晴斗先生の言葉を受けた嵩が銀座に繰り出し、ヤムおんちゃんの過去を知る展開があるかも知れませんね。
山寺宏一 「アンパンマン」でめいけんチーズなどを担当

座間晴斗を演じる山寺宏一(やまでら・こういち)は、宮城県出身の63歳の声優。ほかにも俳優、タレント、ナレーター、歌手まどさまざまな肩書を持ち、マルチな活躍を見せ続けている才能豊かな人物です。
山寺宏一といえば声優として「新世紀エヴァンゲリオン」の加持リョウジ役、「ルパン三世」の銭形警部役、「銀魂」の吉田松陽/ 虚役や、ディズニーアニメ「アラジン」の魔神・ジーニー役、「美女と野獣」の魔神(ビースト)役の吹き替えなど数々の名作で重要な役柄を担当し、声優界のレジェンドの一人として知られます。
俳優としてもこれまで数々のテレビドラマ、映画に出演。NHK朝ドラにも「半分、青い。」(医師役)、「なつぞら」(元活動弁士の大物声優・豊富遊声役)、「おかえりモネ」(市役所職員・遠藤克敏役)に出演しており、多彩な才能を見せ続けています。
山寺宏一は「それいけ!アンパンマン」においてめいけんチーズ役のほか、ジャムおじさん役(2代目)、かまめしどん役、かびるんるん役、赤鼻のトナカイくん/ルドルフ役など多数の声を担当。
「アンパンマンファミリー」の中心的な存在でもある山寺宏一が「あんぱん」に出演することが知られると、アニメ「それいけ!アンパンマン」のファンを中心に喜びの声があがっています。
「あんぱん」にはすでに山寺宏一のほかに、「それいけ!アンパンマン」でしょくぱんまんの声を担当している声優・島本須美も登場しており、今後も「アンパンマンファミリー」の声優の登場があるかも知れません。