NHK連続テレビ小説「ばけばけ」で、松江にやってきたレフカダ・ヘブンが滞在することになる花田旅館。
この花田旅館は、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が松江で最初に暮らした富田旅館(現在の大橋館)がモデルになっています。
【ばけばけ】ヘブンが長期滞在する花田旅館
📢新たな出演者のお知らせ
— 朝ドラ「ばけばけ」公式|9月29日(月)放送開始 (@asadora_bk_nhk) September 11, 2025
【朝ドラ『ばけばけ』出演者紹介】
花田旅館の主人
花田平太(はなだ へいた)役は #生瀬勝久 さん。#ばけばけ #ばけばけ人物紹介 #9月29日スタート
詳細はこちら👇https://t.co/mYHJkQwUH1 pic.twitter.com/3ZzgjM1rNK
1890年(明治23年)。松江中学校の英語教師として招聘された西洋人 レフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)は街の人たちから大歓迎を受け、初めて松江の地を踏むことになります。
当初、ヘブンは松江一の高級旅館に滞在する手はずが整えられていましたが、ヘブンは松江大橋の近くにある昔ながらの旅館・花田旅館(花田屋)をいたく気に入り、勝手に滞在先を変更してしまいます。
突然「異人さん」が長期滞在することになったため、旅館の主人・花田平太(生瀬勝久)と女将のツル(池谷のぶえ)はヘブンの扱いに困ってしまいます。
ヘブンの方も、目の不調を訴えている旅館の女中・ウメ(野内まる)を雑に扱う平太に対し異常なまでに激怒するなど、当初は価値観の違う両者の間に軋轢が生まれていきそうです。
花田旅館は、しじみ売りを生業としているトキ(髙石あかり)の大事な得意先です。トキは女将のツルに家族には言えないないような相談や愚痴を持ちかけるなど、花田旅館はトキにとってもう一つの居場所でもあります。
やがてトキはひょんなことからヘブンの生活を手助けする「女中」の仕事を請け負うことになり、家族に内緒で花田旅館に通うようになり…。
【史実モデル】ハーンが長期滞在した松江・富田旅館
▼松江大橋から見る大橋館。ここにあった富田旅館でハーンは松江での最初の3ヶ月を過ごし、街の喧騒を身近に感じる生活を送っています。「ばけばけ」でも、花田旅館は松江大橋のたもとにあるという設定。
「ばけばけ」に登場する花田旅館は、松江市にあった富田旅館(現在の大橋館:島根県松江市末次本町40-40)がモデルになっています。
※大橋館の公式ホームページには、「作家小泉八雲が松江で初めて滞在したのが富田旅館であり、当館はその富田旅館の流れも汲んでおります。」と書かれています。
1890年(明治23年)、島根県尋常中学校、島根尋常師範学校に英語教師として赴任することになったラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、松江での最初の3ヶ月間をこの富田旅館で過ごしています。
富田旅館は松江大橋のすぐ近くにあり、川を挟んだちょうど向こう岸には小泉セツ(「ばけばけ」松野トキのモデル)が暮らす家があったそうです。富田旅館の客室から川を挟んだセツの家が見え、ハーンも想いを巡らせたたことでしょう。
当時富田旅館があった一帯は松江でも有数の繁華街でした。
ハーンはこの旅館で朝から米屋が精米するドンドンという音に聞き入り、街にあふれる柏手の音、物売りの掛け声、地蔵堂の太鼓の音などに興味深く耳を傾け、日本の古き良き庶民の生活に触れたそうです。また、学校から旅館に帰るとすぐに和服に着替え和食を食べるなど、ハーンは日本の古き良き生活スタイルをこよなく愛していました。

【史実モデル】ハーン、目の病気を軽く扱う富田旅館の主人に激怒
▼小泉セツが夫・小泉八雲との思い出の日々を語る「思ひ出の記」。ハーンが富田旅館の主人に激怒して宿を退出したエピソードも掲載されています。
朝ドラ「ばけばけ」でも描かれるエピソードですが、ハーンは最初の滞在先の富田旅館の主人の態度に激怒したというエピソードが残っています。
ハーンが最初の滞在先の富田旅館を3ヶ月で出て末次本町の離れ屋敷に引っ越した理由には諸々あったようですが、この「激怒」が主な原因だったとセツは「思ひ出の記」で語っています。
それによれば、宿には小さい娘がおり眼病を患っていたそうなのですが、それを見て気の毒に思ったハーンが宿の主人に早く病院に連れて行くように進言したそうです。
しかし、宿の主人はただ「はいはい」と言ってハーンの忠告を何度もスルー。ハーンは「珍しい不人情者、親の心ありません」と主人の人間性に激怒し、ついには宿を出て引っ越してしまったのだとか。
ハーンは16歳の時に事故で左目を失明しており、誰よりも目の健康の大切さを痛感していたのでしょう。宿を出た後に「娘少しの罪ありません、ただ気の毒です」と言って自分でこの娘を医者にかけてやり全快させてあげたという優しいエピソードが残されています。
「ばけばけ」に登場する花田旅館ならびに花田夫婦のエピソードやドタバタ劇は、ハーンの富田旅館時代の経験をモチーフとして創作されています。

