朝ドラ「あんぱん」柳井嵩の弟・千尋 やなせたかしの弟・柳瀬千尋は海軍で戦死

※本ページのリンクには広告が含まれています。

NHK連続テレビ小説「あんぱん」に登場する柳井嵩の弟・千尋(中沢元紀)の人物像をまとめます。

この千尋(ちひろ)という人物は、漫画家・やなせたかしの実弟だった柳瀬千尋がモデルになっていると考えられますので、彼がたどった儚い人生、運命についてもまとめます。

スポンサーリンク

目次

【あんぱん】文武両道の好青年・柳井千尋 診療所の跡取り候補

幼少期に実父・柳井清(二宮和也)を病気で亡くし、高知・御免与町の伯父夫婦の家(=柳井医院)に引き取られることになる柳井嵩(子役・木村優来)。家族が離れ離れになってしまう嵩にとって、実弟である千尋の存在は大切なものになっていきそうです。

千尋は嵩よりもひと足早く、清が亡くなる前から伯父夫婦の養子となっていました。伯父夫婦には子供がいなかったため、千尋は柳井医院の跡取り、坊っちゃんとして大切に育てられているようです。

千尋は幼いうちに養子になったため、かつて嵩や清、実母の登美子(松嶋菜々子)と東京で暮らしていた日々のことは覚えていないようです。千尋は登美子のことを「おばさま」と呼んでおり(登美子も千尋のことを「坊っちゃん」と呼ぶ)、登美子が実母、嵩が実兄であることを知らないように見えます。

千尋は学業優秀ながら身体が弱く、嵩の陰に隠れるように成長していきます。伯父夫婦の家に転がり込んできた形の嵩は、家では「坊っちゃんの兄」という微妙な立場にありましたが、兄弟仲は良いようです。

やがて千尋(中沢元紀)は家族思いで優しい、文武両道の青年へと成長していきます。強く逞しく細かな気遣いが出来る千尋は周囲から好かれる好人物であり、柳井家からも後継者として期待される存在になっていくことでしょう。しかし、千尋には医者とは別の夢が芽生えて…。

後述する史実のように、過酷な運命が待ち構えていることが予想される千尋。期待の俳優・中沢元紀の演技に期待がかかります。

▼大人になった千尋を演じるのは、茨城県出身の25歳の俳優・中沢元紀(なかざわ・もとき)。2023年にはTBS系日曜劇場「下剋上球児」でエース投手・犬塚翔役を演じて注目を集めています。NHK朝ドラ初出演。

【史実モデル】やなせたかしの弟・柳瀬千尋

「あんぱん」の主人公の一人・柳井嵩は「アンパンマン」の作者として名を残した漫画家・やなせたかし(本名・柳瀬嵩)がモデルになっています。ドラマに登場する弟の柳井千尋は、やなせたかしの実弟・柳瀬千尋がモデルになっていると考えられます。

千尋はやなせたかしの2つ下の弟で、子供の頃から頭が良く性格も明るい人気者。柳瀬家の期待の星だったそうです。

やなせたかしは幼少期に実父の清を病気で亡くし(※)、千尋とともに高知県長岡郡後免町(現在の南国市)で開業医をしていた伯父夫婦に引き取られて育っています。

※父の清が中国・アモイで亡くなると、当初は弟の千尋だけが伯父の家の養子となっています。その後、実母が再婚したことにより、やなせたかしも伯父夫婦の家に転がり込んでいます。

伯父夫婦は跡取りとなるであろう養子の千尋を溺愛し、「坊っちゃんの兄」であるやなせたかしの扱いは軽かったようです。しかし千尋自身は何をするにも「兄ちゃんといっしょでなければイヤ」と言うお兄ちゃん子だったようです。

その後、学業優秀により京都帝国大学を出た千尋ですが、戦争の時代になると召集され、海軍へと入隊しています。

千尋は航空隊を希望していたそうですが、柳瀬家はみんな目が悪く、千尋も航空隊に落ちてしまったのだとか。このことが千尋の運命を変えていくことになります。

【史実モデル】22歳で戦死した千尋

▼軍隊が大嫌いだったのにイヤイヤ召集された上、実弟(千尋)を戦争で亡くしているやなせたかし。その辛い体験が後の創作活動に大きな影響を与えています。

同じく召集され、九州・小倉の第12師団 西部73部隊に入営していた兄のやなせたかしのもとに、ある日千尋が訪ねています。

優秀だった千尋は士官候補生の試験にもあっさり合格し、海軍中尉になっていました。ところが海軍の「特別任務」の志願を募った際に、場の空気を読んで思わず一歩前に出て自ら志願をしてしまったのだそう。千尋は命の保証がない「特別任務」につくために、やなせたかしに最後の挨拶をしに来たのでした。

やなせたかしは危険な任務に自ら志願した千尋に対し「なんでそんなものになったんだ」「お前、そんなものに出るな」と怒ったそうですが、千尋は「みんなが出るのに出ないわけにはいかない」と、諦めとも思える発言をしています。

結局、兄弟の会話はこれが最後になってしまいます。千尋は作戦遂行のために戦地へと向かうと、その道中だったフィリピン沖のバシー海峡で敵の攻撃を受け、輸送船もろとも沈没。千尋は22歳という若さで戦死しています。

【史実モデル】亡き弟に捧げた詩の数々 「兄貴はいいよ 俺にはなにもない」

▼これ、7万円というとんでもない値段が付いているのですが、意外にも近所の図書館に置いてあったりするので、是非一読することをオススメします。やなせたかしの人柄が読み取れます。

著:やなせ たかし
¥70,280 (2025/03/25 18:21時点 | Amazon調べ)

漫画家、絵本作家として広く知られるやなせたかしですが、詩人としても数多くの詩を残したことで知られます。

「てのひらを太陽に」「アンパンマンのマーチ」など、やなせたかしが書いた詩に曲が付けられたものはたくさんありますよね。

亡くなる7年前の2006年(当時87歳)には、詩人としての集大成となる「やなせたかし全詩集」を出版。

この詩集には、若くして亡くなった弟の千尋や離れ離れになった家族に捧げる章「おとうとものがたり」が収録され、「父の死」「母とのわかれ」「夏の川で」「道信山の夕やけ」「赤い着物」といった千尋や家族にまつわる詩が集められています。

子供の頃に千尋と一緒に高知の夏の川で泳いだ思い出、身体が弱かったために赤い着物を着せられ女の子のように育てられた千尋の姿、千尋と一緒に剣劇ごっこをして遊んだ道信山の思い出など、遠き日に亡くなった弟を想いながら書いた詩の数々は、やなせたかしの優しく繊細な心をよく映していると思います。

「弟」と題された詩には、千尋がやなせたかしに言った「兄貴はいいよ ひとつの目的がある 絵をかいている 俺にはなにもない 絵も文才も 兄貴に劣る」というセリフが登場。「珊瑚」という詩では「ぼくはもうすぐ死んでしまうが兄貴は生きて絵を描いてくれ」と言って千尋がやなせたかしの手を握った思い出も残されています。

また、「ぼくは戦争は大きらい」というやなせたかしの著書では、「アンパンマンのマーチ」は弟に捧げられたのでは?という世間の指摘に対し、「ぼくはそんなつもりはなかったのですが」「弟と最後に交わした記憶が深く残っていたのでしょう」とも言及。

「ぼくが死んで弟が生き残ったほうがよかった」(詩「弟」より)

やなせたかしの人生や創作活動において、若くして亡くなってしまった千尋(22歳で戦死)や実父(32歳で中国・アモイで病死)の存在はとても大きかったようです。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

シェアお願いします
URLをコピーする
URLをコピーしました!
目次
閉じる