NHK連続テレビ小説「あんぱん」より。朝田家に戦死公報が届き、戦死が伝えられた石工の原豪ですが、ここに来て実は生きているのでは?という希望的観測が視聴者の間で浮上しています。
この記事では、豪ちゃんが生きていると噂される理由やその可能性などを考えてみたいと思います。
最新の人物相関図から豪は消えず 生存説が浮上

2025年6月2日現在、「あんぱん」のドラマ公式ホームページの「キャスト・人物相関図」欄には第10週以降の相関図が掲載されています。
この相関図には、第8週で戦死公報が届き戦死が確定しているはずの朝田石材店の石工・原豪(細田佳央太)が残されており、さらに想い人の蘭子(河合優実)との間に新たに点線も登場。二人の関係性として「思いが通じ合う」という文字も加えられています。
戦死が確定しているはずの豪ちゃんが第10週以降の人物相関図から消えず、さらに点線+「思いが通じ合う」という情報が書き足されたことから、一部視聴者の間で「豪ちゃん、実はどこかで生きている?」「捕虜になって生き延びているのでは?」といった希望的観測が浮上しています。
※ただし、この最新の相関図には第10週の時点ですでに鬼籍に入っている柳井清(二宮和也)、柳井寛(竹野内豊)も残されたままです。
第10週現在、豪が戦死したという情報は朝田家に届いた一通の戦死公報のみ。他に戦地にいた第三者からの目撃情報などは伝えられていません。また、豪の遺骨や遺品が朝田家に届いたような描写もなかったと記憶します。本当に豪は死んだのか?と疑いたくもなりますね。

史実 戦死公報に誤報はあった?
旧日本軍が家族のもとに死を伝えていた戦死公報には、一定数の誤報が含まれていたことで知られます。
誤報は特に戦闘が混乱を極めた太平洋戦争末期に多かったそうですが、例えば、
・最前線の激戦の中で敗走、逃亡し、行方不明になったまま死亡扱いになった
・負傷して後方に搬送されたものの、正確な記録がなされずに戦死扱いになった
・部隊が壊滅、霧散して隊員の所在が一切不明になり、便宜的に「部隊全滅」扱いされた
・部隊から逃亡し現地ジャングルに長年潜伏。行方不明ゆえに戦死扱いされ、戦後に発見
・降伏して捕虜になったものの、個人の名誉のために戦後まで家族には戦死と伝えられた
といった感じで、激戦の中の情報の混乱や、集団組織の崩壊により行方不明になった兵士を便宜的に戦死扱いしたようなケースは複数あったようです。
また、連合軍の捕虜となり生存していた兵士も多数存在しましたが、当時の日本軍にとって「敵国の捕虜になることは最大の屈辱」といった価値観は根強く、生きて捕虜になった「不名誉」を家族には知らせず、戦死と偽るケースもあったそうです。
「逃げて逃げて、逃げ回るんだ」ヤムおんちゃん、のぶの助言が生存フラグに?
果たして豪は、バカ正直に戦闘に参加して中国の地に散ってしまったのか。
ここで気になるのが、ヤムおんちゃんこと屋村草吉(阿部サダヲ)が出征直前の豪に送った言葉です(第28回)。
ヤムおんちゃんは出征を控えた豪をいつもの河原に連れ出すと、一緒に釣りをしながら以下のような言葉をかけています。
ヤム「なあ。このままどっかに逃げちまったらどうだ?」
豪「ほんまにお気持ちは有り難いんですけんど…」
ヤム「勇ましく戦おうなんて思うなよ。逃げて逃げて、逃げ回るんだ。戦争なんていいヤツから死んでくんだからな」
もしこのヤムおんちゃんの切実な助言が豪の心に届いていたのであれば、豪は戦地で逃げて逃げて逃げのびて自発的に行方不明になる、あるいは敵の捕虜になって生き延びている可能性があるかも知れません。その場合、前述したように家族のもとに誤った戦死公報が届く可能性はあるでしょう。
また、この直前の第27回では豪に気持ちを伝えられずにいる蘭子に対し、のぶが以下のような助言をしています。
のぶ「(出征する前に豪に気持ちを)ちゃんと伝えた方がえいと思う」
蘭子「どういて?」
のぶ「蘭子の気持ちを知ったら、豪ちゃん、何が何でも死なんともんて(戻って)くるかもしれん。豪ちゃん優しいき、蘭子を悲しませんために必死に生き抜いてくるって」
蘭子「でも…」
のぶ「もんてきてほしいがやろ?」
蘭子「…(黙って頷く)」
蘭子は、こののぶの助言を受けて自分の気持ちを豪に伝える決意をしています。「蘭子の気持ちを知ったら、豪ちゃん、何が何でも死なんともんてくるかもしれん」というのぶの言葉が言霊となり、豪の生存フラグになっていくかも知れません。
蘭子と豪はともに嘘がつけない誠実な人間。「絶対もんてきて」「無事もんてきたら、わしの嫁になってください」という二人の約束が嘘にならず、最終的にきちんと守られることを期待したいですね。
終戦数年後に豪が中国の奥地からひょっこりと日本に復員し、約束通り蘭子と再会、結婚して朝田石材店ならびに朝田家の後継者になる…。原豪はすっかり人気キャラクターになっていますから、当初の台本を変更してでも再登場させるサプライズ展開があるかも?と期待を込めて予想しています。
とはいえ、これはあくまでも希望的観測。豪の戦死公報が届いたのが1939年(昭和14年)であり、すでにかなりの時間が経過していることからも、生存の可能性は低いとも考えられます。
