NHK連続テレビ小説「あんぱん」第20週より。
戦後、東京・有楽町近くのガード下で密造酒の販売屋台を営んでいた八木信之介(妻夫木聡)。それから数年が経ち、八木は「九州コットンセンター」という雑貨店の雇われ店長に転身していたようです。
この「九州コットンセンター」という店は、八木信之介のモデル人物と噂されているサンリオ創業者・辻信太郎氏の商売の原点である「山梨シルクセンター」がモデルではないかと考えられます。
八木の店「九州コットンセンター」
戦時中、九州の小倉連隊で嵩(北村匠海)の戦友だった元上等兵・八木信之介。戦後に東京・有楽町近くのガード下で密造酒の屋台店主をしていたところで嵩と再会し、それ以降は上京した嵩やのぶ(今田美桜)と交友を深めていました。
時は少し流れて1953年(昭和28年)頃。三星百貨店を辞めてフリーの漫画家として活動を開始していた嵩は、八木が雇われ店長として働く町の小さな雑貨店「九州コットンセンター」へと足繁く通っているようです。
「九州コットンセンター」は、文学を愛する繊細な八木らしい個性的な商品を扱うお店。店内には人形などの可愛らしい雑貨類が並び、店頭には裏の孤児院の子どもたちが作ってくれたカードや折り紙も売られています。
八木チョイスによるセンスの良い商品群は、ちょっとしたプレゼントなどにも良さそう。代議士の薪鉄子(戸田恵子)も、この店に定期的に通い、子どもたちが作ったカードを購入しているようです。
サンリオの前身「山梨シルクセンター」がモデルか
「九州コットンセンター」という少し不思議な名前のお店。
この「九州コットンセンター」は、八木信之介のモデル人物になっていると噂されているサンリオの創業者・辻信太郎氏が創業した「山梨シルクセンター」(サンリオの前身)がモデルになっていると考えられます。
サンリオは漫画家・やなせたかし(柳井嵩のモデル人物)が「アンパンマン」を誕生させた際に版元となった出版事業を手掛けており、ドラマでも八木信之介が「アンパンマン」誕生に関与していきそうです。
山梨県甲府市の旧家に生まれた辻信太郎氏は、戦後に山梨県庁で働いた後に独立し、1960年(昭和35年)に「株式会社山梨シルクセンター」(もともとは県庁の外郭団体だったものを同名で民営化)を立ち上げています。
戦時中に甲府の大空襲を経験した辻信太郎氏は、もう二度と戦争をさせないという理念を胸に起業をしたようですね。
山梨の特産品を扱うはずが、ギフト会社「サンリオ」に
辻信太郎氏により東京・日本橋小舟町に設立された「株式会社山梨シルクセンター」。当初は山梨県の特産品である絹製品(シルク)やワイン(ぶどう)などを問屋に卸し海外に輸出するという、地元の産業振興が主目的の企業でした。
しかし事業が上手くいかずに倒産の危機を迎えると、「山梨シルクセンター」は山梨の特産品とは関係のない物販(雑貨やビーチサンダルの販売)を手掛けるようになっていきます。これら苦肉の策の事業が、次第に誕生日や記念日などに渡すギフト商品を扱う商いへと発展していき、後に屋号も「サンリオ」に改名されることになります。
甲府の大空襲を体験した辻信太郎氏は、贈り物をきっかけにコミュニケーションを増やし、ともに仲良く助け合って暮らせる「みんな仲良く」「戦争をなくす」という世界観を「サンリオ」の事業として実現していきます。
その世界観をもっとも体現したのが、同社の代表的なキャラクターに成長していった、楽しく可愛い「ハローキティ」だったのです。
「アンパンマン」誕生時の版元に
1960年代半ば、漫画集団に所属しフリーの漫画家、デザイナーとして活動していたやなせたかしは、展覧会に来てくれた辻信太郎氏と知り合っています。
これが縁でグラフィックデザイナーとして山梨シルクセンターの仕事に携わるようになったやなせたかしですが、やがて処女詩集「愛する歌」を出すことになると、辻信太郎氏は「それならうちで出してくれ」と同社に出版事業を立ち上げています。
やなせたかしは、本格的に出版事業を開始した山梨シルクセンターのもとで絵本の執筆を開始すると、短編メルヘン集「十二の真珠」のうちの一つとして「アンパンマン」を初登場させています。
このようにサンリオ創業者の辻信太郎氏は「アンパンマン」誕生に関わった人物であり、彼をモデルとしたと噂される八木信之介も、嵩の今後の漫画家人生に大きな影響を与えていくことが予想されます。
今はまだ八木セレクトの雑貨を扱う小さなお店である「九州コットンセンター」ですが、後に日本を代表するギフト・コンテンツ会社へと成長していく日が来るかもしれませんね。
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