NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第12週では、小泉八雲とゆかりがある松江の大雄寺(だいおうじ)が登場。住職(伊武雅刀)が語る怪談「水飴を買う女」がヘブンの心を大きく動かしそうです。
「水飴を買う女」のストーリーは小泉八雲の生い立ちと重なるものがあるとされ、小泉八雲が特に愛した怪談であることが知られます。
【ばけばけ第12週】ヘブンとトキ、大雄寺へ
「ばけばけ」第12週では、最近金縛りに合い続けているというヘブン(トミー・バストウ)に対し、トキ(髙石あかり)がお祓いを提案することになります。
「れっつごーつえくそしずむ(Let’s go to exorcism.)」
錦織に教わったカタコト英語でトキがお祓いを受けることを勧めると、ヘブンは「Oh…!イク、シマショウ」と乗り気です。
お祓いは、松江中学校の教え子・正木清一(日高由起刀)の家が檀家になっている松江市内の大雄寺(だいおうじ)で行わることになり、ヘブン、トキ、正木は大雄寺へと向かいます。
団扇太鼓や鐘を用いた独特の儀式に感激したヘブンが上機嫌でお寺を褒めると、大雄寺の住職(伊武雅刀)も気を良くしたのか寺に伝わるという怪談(くわいだん)を語り始めます。
住職が語る怪談「水飴を買う女」を聞き終えたヘブンは感銘を受けてすすり泣き、「カイダン、スバラシ、モット、ホシイ」と興味を強めるのでした。
▼朝ドラは「ひらり」(1992年)、「だんだん」(2008年)、「べっぴんさん」(2016年)以来の出演となる伊武雅刀。
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【朝ドラ『ばけばけ』出演者紹介】
大雄寺(だいおうじ)の住職役は #伊武雅刀 さん。
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▼「べっぴんさん」で伊武雅刀が演じた大急百貨店の社長・大島保は、阪急百貨店の初代社長・清水雅がモデル。

【史実モデル】小泉八雲ゆかりの大雄寺 「水飴を買う女」あらすじ紹介
▼外国人ならではの視点で当時の日本をとことん観察し、深い愛情を持って日本の情景、魅力を綴った小泉八雲の名著。
松江開府の際に安来から松江に移されたという、松平家ゆかりの由緒ある寺・大雄寺(だいおうじ)。
松江の神社仏閣巡りを愛した小泉八雲(ヘブンのモデル人物)は、この大雄寺にもゆかりを持ち、自身の随筆「神々の国の首都」にも大雄寺の姿が織り込まれています。
この大雄寺には、小泉八雲が特に愛したという子育て幽霊の怪談「飴を買う女(水飴を買う女)」が伝わります。「飴を買う女」の簡単なあらすじは以下の通り。
【怪談・飴を買う女あらすじ】
むかしむかし、夜が更けてから毎晩飴屋に水飴を買いに来る、白い着物姿の青白い女がいました。その様子に心配した飴屋の主人が後をつけたところ、女の姿は大雄寺の墓の前で消えてしまいます。地面の下からは、なぜか赤ん坊の鳴き声が聞こえています。
驚いた主人が墓を開けて掘り起こすと、そこには水飴を買いに来ていた女の骸(むくろ)と、その横に泣いている赤ん坊の姿、そして茶碗に入った水飴が残されていました。どうやら母親の埋葬が早すぎたために墓の中で赤ん坊が生まれてしまい、無念のうちに幽霊となった母親が赤ん坊を養うために水飴を毎晩買いに来ていたらしく…。
こうした「子育て幽霊」の物語は全国各地に伝わっており、松江・大雄寺に伝わる怪談「飴を買う女」もその一つです。
八雲は幼くして実母・ローザと生き別れており、その後に再会はかないませんでした。そうした生い立ちもあり、八雲は死してなお子育てを行おうとする母親の物語「飴を買う女」に深い共感を覚えたようです。
八雲はのちに再話して刊行された「飴を買う女」に「母の愛は死よりも強し」という結びを付けて紹介しています。
名優・伊武雅刀演じる大雄寺の住職が語る「飴を買う女」を聞き、母を思い出したヘブンが思わず涙してしまう…。ヘブンの知られざる一面があらわになる名場面になることでしょう。
▼宍道湖や松江大橋にもほど近い松江市街にある大雄寺(島根県松江市中原町234)。山門を入って左側には、女の幽霊が消えたと伝わるお墓があります。
