NHK連続テレビ小説「ばけばけ」第8週に登場する松江の舶来品店・山橋薬舗(やまはしやくほ)と、店主の山橋才路。
この山橋薬舗というお店は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)がビールなどを買っていたと伝わる松江の老舗・山口卯兵衛商店(山口薬局)がモデルになっています。
松江で唯一 ヘブンの好物・ビールを売る山橋薬舗
「ばけばけ」第8週では、ヘブン(トミー・バストウ)からビールを買うように頼まれたトキ(髙石あかり)が、地元で舶来品を扱う店「山橋薬舗」に足を運ぶ様子が描かれます。
ある日、「Beer(ビア)を買っておいて欲しい」とヘブンから頼まれたトキですが、ビアが何のことかわからずにすっかり困惑しまいます。身振り手振りでなんとか「ビア」の絵を描いてもらい舶来の飲み物だと知ったトキは、さっそく松江で唯一舶来品を扱っている山橋薬舗へと向かいます。
山橋薬舗を営む店主の山橋才路(柄本時生)は、当時の商人としては珍しく少しだけ英語が話せるようです。
英語がなかなか通じない松江での生活にストレスを抱えていたヘブンは、店主と打ち解けて好物のビールで乾杯するうちに久々に楽しい気持ちになり、トキへの接し方に変化を見せていくことになります。
▼松江で醸造されている地ビール「ビアへるん」。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が「ヘルン先生」と呼ばれていたこと、ビールが好きだったことにちなんで名付けられたようですね。
▼こちらも小泉八雲・セツ夫妻にちなんだ地ビール「怪談3缶セット(そばいつぇん)」。缶には夫妻の可愛らしいイラストが描かれており、贈り物やお土産に喜ばれるかも。
【追記情報】柄本時生(山橋才路役)とさとうほなみ(遊女・なみ役)が結婚
2025年11月13日に嬉しいニュースが飛び込んできました。
「ばけばけ」で山橋薬舗の店主・山橋才路役を演じている柄本時生と、天国町の遊女・なみ役を演じているさとうほなみが同日に入籍したことを公表しました。
二人はともに36歳の同学年同士で、2024年にはドラマ「錦糸町パラダイス~渋谷から一本~」(※柄本時生がプロデューサーも務めた作品)で共演した経験があります。柄本時生は俳優の入来茉里と結婚・離婚歴があり、これが再婚となります。
「ばけばけ」において、柄本時生が演じる山橋才路は松江大橋の北側、上流階級が住む地域で老舗薬舗を営んでいるのに対し、さとうほなみが演じている遊女・なみは松江大橋の南側、貧民街の天国町で貧しい暮らしをしているという設定になっています。
二人が「ばけばけ」において同じ画面に登場するかは不明ですが、「松江大橋を挟んだ恋」として話題になるかも知れませんね。
▷柄本時生(えもと・ときお)…東京都出身の36歳の俳優。父は柄本明、母は角替和枝、兄は柄本佑、義姉は安藤サクラ。映画「俺たちに明日はないッス」「スラッカーズ」で主演を務めたほか、ドラマ「Q10」「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」「いだてん〜東京オリムピック噺〜」「真犯人フラグ」などでも活躍。NHK朝ドラは「おひさま」でヒロインの幼なじみ・宮本タケオ役を演じて以来の出演。髙石あかりとは「ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」で共演。
モデル店 創業252年・山口卯兵衛商店(山口薬局)
▼創業252年、現在も松江大橋北詰の同じ場所で営業を続ける山口卯兵衛商店(島根県松江市末次本町34)。
▼当時の雰囲気そのままのレトロな店内では、八雲・セツ関連のグッズや店の歴史を語る展示物が。
▼柄本時生が演じる店主・山橋才路は、店主の山口卯兵衛さんがモデルと考えられます。
レフカダ・ヘブンのモデルになっている小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は、毎晩の夕食後に和菓子をつまみにビール(朝日ビールを2本)を飲むことを楽しみにしていたそうです。
松江滞在時代の八雲のささやかな楽しみに応えてくれたのが、当時の松江で唯一ビールを扱っていた橘泉堂山口卯兵衛商店(山口薬局)でした。店は松江大橋の北詰の末次本町にあり、八雲が暮らしたお屋敷とも近いと思われます。
田沼意次が老中になった明和9年(1772年)に創業した山口卯兵衛商店(山口薬局)。明治時代、大正時代に入ると薬だけではなくビールや葡萄酒などの洋酒も販売するようになったそうで、当時の松江としてはハイカラなお店だったようですね。
八雲の松江時代の生活が語られている「松江に於ける八雲の私生活」(桑原羊次郎・山陰新報社)には、八雲が夕食後にビールを楽しんだ姿が語られていますので、引用しておきます。
(高木)先生は夕食後には必ず朝日ビールを二本ずつ飲まれました。このビールは当時松江大橋北詰の山口卯兵衛薬店だけにあったかと思います。終始朝日ビール何ダースか買置きまして毎晩差し上げました。
先生のお肴は実に奇妙なものでして、毎晩朝日ビール二本それをお飲みになりますと必ずその後で、今は松江に見当たりませんが黄金牡丹と申しまして、卵黄製で黄色の花弁の中央が紅色になっていました、誠に柔らかい菓子を五、六個食べられました。結局ビールのお肴が菓子というわけです。
※「松江に於ける八雲の私生活」著者の桑原羊次郎氏は松江生まれの美術工芸研究家、社会事業家、政治家(衆議院議員)で、小泉八雲記念館の創設にも尽力した地元の名士。上記引用の文中に出てくる「高木」という方は、八雲の世話係などをした方でしょうか。高木さんが八雲のために慌てて山口卯兵衛商店(山口薬局)までビールを買いに走った思い出なども同書で語られています。
