NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」第1週に登場するロケ地・旧北上川分流施設(北上川河川歴史公園)と、百音が見た移流霧(いりゅうぎり)についてまとめます。
百音はこの北上川分流施設で見た移流霧の光景に大きな影響を受けていくことになります。
人気お天気キャスター・朝岡覚
「おかえりモネ」第1週では、百音(清原果耶)が働く登米の森林組合の建物(登米夢想)に東京の人気お天気キャスター・朝岡覚(西島秀俊)が現れ、百音に強い影響を与えていく姿が描かれます。
登米を堪能した朝岡は帰京する日の朝に百音たちを連れ、移流霧を見るために旧北上川分流施設(きゅうきたかみがわ・ぶんりゅうしせつ)を訪れます。
旧北上川分流施設と北上川河川歴史公園
このシーンの撮影が行われたのは、宮城県登米市と石巻市の市境にある北上川河川歴史公園(旧北上川分流施設)付近、旧北上川にまたがる鴇波水門(ときなみすいもん)付近の橋の上と思われます。画面の背後にJR気仙沼線の青い鉄橋が見えましたね。
▼百音が移流霧を見たのは、ちょうどこの角度からの風景。鴇波水門付近から東側に開ける北上川を眺めています。この左手奥にはJR気仙沼線の青い鉄橋が走ります。
古代より度重なる水害を繰り返していた旧北上川。明治44年から昭和9年頃にかけて、政府は新しい北上川を開削するとともに、新旧河川の分岐点に旧北上川分流施設(鴇波洗堰・脇谷洗堰。昭和6〜7年に完成)などを建設。一帯の治水工事を進め、これにより新北上川と旧北上川の流量を自在に調整できるようになっています。
旧北上川分流施設(鴇波洗堰・脇谷洗堰)は平成16年(2004年)に土木学会推奨土木遺産に選定され、分流地点である不思議な形をした三角形の中洲は「北上川の治水の歴史が学べる」というテーマを掲げた北上川河川歴史公園として整備されています。
移流霧
百音と朝岡は、三方に伸びる不思議な川の交差点「旧北上川分流施設」付近で、雲海のように広がる「移流霧(いりゅぎり)」を目の当たりにします。雲海の上に朝日がさす神々しい風景を見た百音は、故郷の亀島で発生する「けあらし」のことを思い出しながら、何かはわからないけれども自分の求める何かがこの風景の中にあると感じることになります。
百音たちが目撃した「移流霧」は、温かく湿った空気が冷えた地表や水面をすべるように移動する時に冷やされ発生する霧のこと。北上川では地形上、移流霧がしばしば見られるようですね。
分流施設という人類の叡智と、移流霧という自然現象。後に気象予報士を目指すことになる百音にとって、示唆に富んだ風景と言えるでしょう。
▼仙台湾方面からの南風とともに北上川沿いに入り込んだ「移流霧」の例。百音は自然現象の不思議さとともに、山の町・登米が海とも繋がっているというスケール感も実感したはず。
北上川を北上する霧 https://t.co/7JHPTWcZyq
岩手県一関市からは霧の写真がウェザーニュースに寄せられました。これは「移流霧」と呼ばれる種類の霧で、衛星画像でもはっきりと見えています。今後は気温上昇に伴い解消する見込みです。 pic.twitter.com/fecSVjDJ2s— ウェザーニュース (@wni_jp) June 2, 2018
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