NHKドラマ10「昭和元禄落語心中」に登場する落語の名跡をまとめます。
劇中に登場する名跡は、いずれも実在しない架空のものとなります。
【有楽亭八雲(ゆうらくてい・やくも)】
劇中では七代目(大正期〜)、八代目(昭和〜)、九代目(昭和後期?〜平成)の有楽亭八雲が登場する。
原作を参考にすると、「有楽亭八雲」は寛政年間(1789-1801)の発祥とされ、代々名人が継いできた由緒ある名前。有楽亭の宗家が名乗る名とのこと。
▷七代目・有楽亭八雲(平田満)
菊比古と初太郎の師匠。七代目の師匠であり実父だった六代目・八雲は偉大な噺家だったそうで、七代目は息子という立場でその名を受け継ぎ、重圧に苦しんできた模様。初代・助六との間には過去に何やら「因縁」があるらしい。
▷八代目・有楽亭八雲(岡田将生)=菊比古
このドラマの主人公で、前座、二つ目時代は菊比古を名乗った落語家。やがて師匠(七代目)から八雲の名を継いだ菊比古は、持ち前の艶やかで色っぽい落語を武器に「昭和最後の大名人」となり、伝統ある八雲の名をさらに高めることになる。
初太郎(二代目・助六)は唯一無二の親友であり、永遠のライバル。
▷九代目・有楽亭八雲(竜星涼)=与太郎
八代目の弟子で、ネアカな元チンピラの与太郎。前座名・与太郎を名乗った後に、自身の落語に強い影響を与えた助六(三代目)の名を襲名。物語終盤では、九代目・八雲を襲名することになる。八雲(八代目)と助六(二代目)の落語を色濃く受け継ぐ、ハイブリッドのような存在に…?
【有楽亭助六(ゆうらくてい・すけろく)】
七代目・八雲の兄弟子が名乗った名跡。初代の語り口は寄せ場で少年・初太郎へと引き継がれ、華やかで歯切れのいいその落語スタイルは、小夏、与太郎によって後世へと伝わる。
▷初代・有楽亭助六
初太郎が幼少期に身を寄せていた寄せ場にいた、元噺家の男。初太郎は毎日初代・助六の落語を聞いて育った。この男はかつて六代目・八雲に弟子入りし、七代目がその力量を疎ましく思うほどの存在だったらしいが、何らかの理由で挫折して落語界を去り、寄せ場へとたどり着いたらしい。
▷二代目・有楽亭助六(山崎育三郎)=初太郎
菊比古の盟友・初太郎。寄せ場で初代・助六の落語を聞いて育った初太郎が、七代目・八雲に入門し、初太郎時代を経て二代目・助六の名を継ぐ。初代の生き写しのような人を惹きつける華やかな落語により、菊比古とともに落語全盛期を支える人気噺家となる。しかし、師匠から破門されると、逃亡先の四国で若くして謎の事故死を遂げてしまう。
▷三代目・有楽亭助六(竜星涼)=与太郎
昭和50年代に八代目・八雲に弟子入りした元チンピラの与太郎。小夏(二代目・助六の娘)との出会いもあり二代目・助六の落語に大きな影響を受け、やがて三代目・助六を名乗ることになる。初代、二代目の小気味いい語り口が、明朗快活な性格を持つ与太郎へと受け継がれると、助六の名はより広く知られ、人気のものになっていく。
【有楽亭菊比古(ゆうらくてい・きくひこ)】
岡田将生演じる主人公、八代目・有楽亭八雲の、前座、二つ目時代の名前。戦前に七代目・八雲に弟子入りしている。この名前から、「菊」「菊さん」と呼ばれる。
【有楽亭初太郎(ゆうらくてい・はつたろう)】
山崎育三郎演じる二代目・有楽亭助六(信さん)の、前座、二つ目時代の名前。戦前に七代目・八雲に弟子入りしている。助六は、師匠によって命名された「初太郎」という名前が気に入らなかったらしく、「いかにも前座って感じ」の名前だとこぼす。
【有楽亭与太郎(ゆうらくてい・よたろう)】
竜星涼演じる三代目・助六の、前座、二つ目時代の名前。昭和50年代に八代目・八雲に弟子入りしている。親しみやすい人柄で「ヨタ」「ヨタちゃん」と呼ばれ、周囲から愛される。
「与太郎」の名は、強引な弟子入り志願を食らった八雲が思わず「なんですか、この与太郎(ばかもの、おろかもの)は」と彼に言ったことから。以降、そのまま「与太郎」と名乗ることに。
【円屋萬月(つぶらや・まんげつ)】
上方落語家の名跡。※原作では上方落語家でしたが、ドラマ版では東京の落語家として登場か。
▷四代目・円屋萬月
八代目・八雲に惚れ込み弟子入りを何度も志願したが、そのたびに断られた過去を持つ。そのため、あっさり弟子入りを認められた与太郎が許せない様子。