NHKドラマ10「昭和元禄落語心中」落語「死神」とは

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NHKドラマ10「昭和元禄落語心中」の劇中に登場する落語の演目「死神」について、おおまかな内容や、「死神」がドラマ劇中で登場する経緯などをまとめます。

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目次

八代目・八雲の「死神」

古典落語の定番である演目「死神」。「昭和元禄落語心中」では八代目・八雲(岡田将生)が刑務所の慰問会でこの演目を披露し、それに感動した与太郎(竜星涼)が八雲への弟子入りを決意するなど、劇中で大きな意味を持っていきます。

弟子入りを許された与太郎は、さっそく師匠・八雲の艶やかでおどろおどろしい(小夏いわく嫌味っぽい)「死神」を練習しますが、どうにも与太郎のキャラクターには似合いません。

亡き二代目・助六(山崎育太郎)が演じた「威勢が良くて全然怖くない死神」を小夏から聞かされた与太郎は、これをきっかけにして、次第に自身の根明なキャラクターと親和性がある助六の落語スタイルに対し、親近感を覚えていくことになります。

主演・八雲役を務める俳優の岡田将生は、落語の練習を繰り返すうちにすっかり落語の世界にハマっていったそうです。その中でも「死神」は一番の思い入れがあり、NGを一度も出さずに撮影を終えたとのこと。

劇中の落語監修を担当する人気落語家・柳家喬太郎は「死神」を得意としており、岡田将生の「死神」がどのように仕上がっているのか楽しみです。※若かりし日の菊比古は、柳家喬太郎演じる木村家彦兵衛に「死神」の稽古を夜通しつけてもらい、これを自身のものとしています(第4話)。

▼雲田はるこ氏による原作漫画「昭和元禄落語心中」。

古典落語の定番「死神」

「死神」は、幕末から明治時代にかけて活躍し、落語中興の祖として名高い初代・三遊亭圓朝(1839-1900年)が創作した古典の名作のうちのひとつ。

グリム童話に収められている「死神の名付け親」、あるいはイタリアのリッチ兄弟が作曲したオペラ歌劇「クリスピーノと死神」が原話であると考えられています。

人情ものや痴話喧嘩など日常系のクスッとくる笑い噺が多い落語ですが、化け物や幽霊、死神などを扱い、思わずヒヤッとするような怪談噺も、落語の楽しみの一つ。「死神」の他にも、同じく圓朝作の「怪談牡丹灯籠」「真景累ヶ淵」「怪談乳房榎」など、怪談噺の名作は数多く存在します。

以下、「死神」の大雑把な内容、あらすじを簡単にまとめてみます。※演者によって詳細は変わってきます。

「死神」あらすじ、内容

金の算段がつかず、首をくくって死のうと考えていた男のもとに、突然死神が現れます。死神は「金儲けの方法を教えてやろう」と言うと、「お前に死神が見える呪いをかけてやったので、医者になって病人のもとに行くように」と男に告げます。

死神曰く、病人のもとに行き死神が足元にいたならば、「ある呪文」を唱えれば死神がたちまち消え去り、すぐに病気は治る。しかし死神が枕元にいた場合は、それは寿命だから諦めろ。とのこと。

死神が言う呪文は「アジャラカモクレン キュウライス テケレッツのパァ」という、よくわからないけれど簡単なものでした。(※筆者注:この「キュウライス」の部分は演者によって様々変わります)

男は言われたままに医者の看板を出すと、足元に死神がいる病人を「アジャラカモクレン」の呪文で次々に治し、たちまち大金持ちになっていきます。

男はこの金で贅沢三昧の生活を送りますが、それも束の間。すぐに金が底をつくと、再び金を得るために医者の看板を掲げます。

ところが、今度は診る患者診る患者すべて枕元に死神がいる病人ばかりで、さっぱり治療代が手に入りません。

ある日、大店の主人の治療を頼まれた男がその主人の様子を見に行くと、またしても死神が枕元に見えます。男は寿命だから諦めて欲しいと説明しますが、何とか治してほしいと一万両もの大金を積まれて目がくらむと、ある「秘策」を思いつきます。

それは、死神がウトウトと居眠りした隙に、主人の布団を半回転させて死神を足元に行かせ、そのタイミングで「テケレッツのパァ」の呪文を唱えてしまおうというもの。

見事、男の作戦は成功して主人の病気は完治。男は再び大金を手にし、大喜びで家路を急ぎます。

ところが、男は家路の途中で突然現れた死神に捕まると、大量のロウソクがゆらめく暗い洞窟へと連れて行かれてしまいます。死神いわく、これらのロウソクの一本一本は、人間の寿命とのこと。

そんなロウソクの中で、一本だけ今にも消えてしまいそうなロウソクがありました。それは、金に目が眩んで自分の寿命を大店の主人に売り渡したお前のものだ、と死神は男に言います。

あわてて命乞いをする男は、死神から灯しかけのロウソクを渡され、うまく火をつなげば助かると言われますが、手が震えてしまい…。

「ああ、消える…」バタン…。

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