NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」2016年4月27日(水)の放送回で登場した菓子「シベリア(シベリヤ)」についてまとめます。
「シベリア」は現在でも販売されている昔ながらの菓子ですが、その販路は東日本が中心であり、西日本方面の方にはあまり馴染みがないかも知れません。
長谷川お気に入りの「シベリア」
4月27日の放送回では、「松」と「竹」の弁当を間違って配送してしまった常子(高畑充希)や長谷川(濱野謙太)らが得意先に謝りに回る様子が描かれました。
そもそものミスの張本人である長谷川は気を遣ったのか、小橋一家に「シベリア」を差し入れ、一行は深川の雑踏の中で一休みします。長谷川曰く、大将(ピエール瀧)に怒られた時にはいつも気分転換に甘い「シベリア」を買って食べるとのこと。
▲スペシャルCGで「シベリア」を再現(笑)。関東の昔ながらのパン屋などに行けば、1ピース100円くらいで売ってたりします。大手では山崎製パンが「三角シベリア」の名前で発売。
戦前の関東で愛された日本製菓子
三角形に切られたスポンジ(カステラ)生地の間に、甘そうな餡子(羊羹の場合も)が挟まれた「シベリア」は、「とと姉ちゃん」の物語の舞台である昭和10年(1935年)においては庶民のちょっとした嗜好品だったようです。
「シベリア」誕生の歴史は詳しくはわかっていないようですが、明治後期から大正初期の頃にはすでに首都圏のパン屋で製造されていたらしく、昭和初期において「シベリア」は「子供が食べたい菓子No.1」。
都内にあった「ミルクホール」で「ミルクコーヒー」と「シベリア」を口にするのを楽しみにしていた大人も多かったようです。
「シベリア」名前の由来、起源は?
「シベリア」という変わった名前からロシア発祥の菓子?などと考えてもしまいますが、中に餡子(羊羹)が入っていることからも、日本製であることが濃厚。シベリアの永久凍土を菓子に見立てた説、シベリア出兵にちなんだ説、日露戦争で従軍していた職人が考案した説など名前の由来には諸説あるようで、その起源ははっきりとはわかっていません。
現在も関東地方を中心にひっそりと販売されている「シベリア」。戦後の菓子の多様化もあり、今では菓子の中でもすっかり地味な存在となっています。たまに昔ながらの商店街のパン屋のショーケース内やスーパーの片隅(惣菜パンコーナー、和菓子コーナーあたり)に置いてある程度なので、関東在住でも知らない方も多いと思います。
近年では宮崎駿監督作品「風立ちぬ」に登場したり、NHKの歴史バラエティ番組「タイムスクープハンタースペシャル」にコラボで登場した「ごちそうさん」のめ以子(杏)が美味しそうに食していたりと、「昔懐かしいお菓子」としてしばしばメディアに登場するようになっており、地味に知名度が上昇しています。