NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」2016年7月27日(水)放送回より。この日の放送で、唐沢寿明演じる花山伊佐次が「スカート姿」を披露する場面が描かれました。
この記事では、花山が突然スカートをはいた経緯、それに、花山のモデルとなっている伝説的編集者・花森安治が実際にスカートを着用していたかなどについてまとめます。
花山、小橋三姉妹の女性らしい気遣いに感心
「あなたの暮し・第二号」発売に向けて、「住空間」を次号のメインテーマに据えた編集部。その目玉として、常子(高畑充希)ら三姉妹の恩師である東堂チヨ(片桐はいり)が住むあばら屋を改装するという誌上企画を実行します。
花山が「リンゴ箱」を利用したテーブル、椅子、収納などを設置するアイディアを披露すると、小橋三姉妹は女性ならではの気遣いを発揮。むき出しだった「リンゴ箱」に可愛らしいデザインの飾り紙を貼り、暗くくすんだ空間を華やかに演出してみせたのです。
この三姉妹の美的センスに、普段は厳しい花山もしきりに感心。「時間に追われ、どこか雑になっていた」と自らの至らなさを認めることとなります。
なぜかスカート姿で出勤(笑)
普通であればこれで終わりの話なのですが、そこは少々「変わり者」の花山。何を思ったのか、突然会社にスカート姿で出勤し、周囲を唖然とさせます。
花山いわく、「多くの女性に向けた雑誌を作っている以上、編集長は女性の感覚を理解していなければ話にならない。そこで少しでも女性はどう生きているのか学ぼうとこの格好を」してみたとのこと。
「こんなにも感覚が違うもんなんだね、股がスカスカで不安定だ!はっはは」
慣れないスカート姿に何故か大はしゃぎの花山。この一見フザケているようにも見える奇抜な行動の裏には、実際に女性の所作を体験してみることで見えてくる「家の中の風景」を体験したいという花山なりの思いがあったのでした。
花森安治も「女装」「スカート姿」で知られた?
エキセントリックな言動でしばしば常子たちを驚かせる花山ですが、そのモデル人物である花森安治も個性的な人物として知られました。
特に世間で話題になったのが、花森の「女装姿」。おかっぱ頭、時にはポニーテール姿でスカートをはく名物編集長の「女装」の様子は、マスコミや世間では面白おかしく取り扱われ、それがある意味で「暮しの手帖」の広告効果も生み出していたともされます。
ただし、花森は意図して女装をしていたわけではないようです。ヘアスタイルに関しては単に忙しくて床屋に行くのが億劫でおかっぱヘアになっていたともいわれ、しばしば話題になった「スカート姿」も、実際には花森の体格に合って動きやすい「キュロット」や「スコットランドのキルト」を愛用していただけとも。
とはいえ同時に、花森が「スカート姿」をしていたのは女性の気持ちを理解するためだとする一説も存在し、こうしたエピソードを引用し、「とと姉ちゃん」で花山のスカート姿が描かれたものと考えられます。
関連記事
・【とと姉ちゃん】常子と花山伊佐次との出会い経緯 史実(大橋鎭子と花森安治)との違い
・【とと姉ちゃん】花森安治(花山伊佐次)、大橋鎭子(小橋常子)の年齢差は?
・【とと姉ちゃん】花山伊佐次の戦後の苦悩 モデル・花森安治の戦争への関わりと、反戦思想