2016年春(「あさが来た」の次)に始まるNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」。この記事では、ドラマのタイトル「とと姉ちゃん」に込められた意味をまとめます。「とと」=「魚」ではありません。
「とと姉ちゃん」は、ヒロインである三人姉妹の長女・小橋常子(高畑充希)が様々な困難を乗り越え、暮らしに根ざした女性のための実用雑誌「あなたの暮し」を立ち上げる姿を描く物語です。
時代設定は、戦前から戦後にかけての激動期。朝ドラとしては「王道」の時代設定です。
モデルは「暮しの手帖」大橋鎭子氏
ヒロイン・小橋常子のモデルは実在した女性編集者、エッセイストの大橋鎭子氏(1920年〜2013年)。戦後、生活情報雑誌「暮しの手帖」を立ち上げた中心人物として知られます。
「暮しの手帖」は名物編集長として知られる花森安治氏、大橋鎭子氏が中心となり創刊され、大橋氏の妹・大橋芳子氏(エッセイスト)も創業メンバーの一人でした。「とと姉ちゃん」は、こうした大橋鎭子氏の人生をモチーフにして、オリジナルの創作ストーリーが展開されます。
父ちゃんの代わり とと姉ちゃん
「とと姉ちゃん」というタイトルの由来は、ヒロイン・常子の育った家庭環境にあります。遠州・浜松に生まれ育った常子は、11歳の時に父・竹蔵(西島秀俊)を亡くします。
二人の妹と母を抱えて幼くして一家の大黒柱となった常子は、「とと(父ちゃん)」の代わりに家族を支える「とと姉ちゃん」として家族とともに懸命に生きていくことになるのです。
母と三姉妹 女だけの家族の物語
「とと姉ちゃん」は、女四人の家族の物語、そして三姉妹の物語でもあります。
母・君子(木村多江)は外で働いたことがないおっとりとした女性。長女・常子は猪突猛進型の豪快な性格。次女・鞠子(相楽樹)は生真面目。三女・美子(杉咲花)は末っ子らしく要領の良い娘。個性が違う四人が喧嘩をしながらも助け合い、父親不在の家庭を切り盛りしていきます。
戦後、常子が中心となって立ち上げる雑誌「あなたの暮し」には、鞠子が創刊スタッフとして、美子が衣装面をサポートする役割として参加することになります。「とと姉ちゃん」常子を中心にして、妹たちの人生も切り拓かれていくことになるのです。
父性のような、母性のような
「とと姉ちゃん」というタイトルは、自分より家族、家族よりも他人のことを大切に思う、父性と母性を併せ持ったような女性・常子の人柄を表しているともいえます。
「ありきたりの毎日を大切にし、家族のことを頼む。」そう言い残した父の言葉を終生胸に刻み、常子は激動の時代を駆け抜けることになります。
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