NHK連続テレビ小説「わろてんか」に登場する芸人・キースがかけている丸メガネ。
キースのトレードマークともいえるこの眼鏡は、「ロイド眼鏡」と呼ばれるもので、キースのモデル人物・横山エンタツが愛用していたものでした。
この記事では、横山エンタツのトレードマークでもあった「ロイド眼鏡」についてまとめます。
キース愛用・黒縁丸メガネ
「わろてんか」のストーリー上で大きな役割を果たすことになる旅芸人・キース(大野拓朗)。
大人になったキースの初登場時(10月10日・第8回放送)には「メガネどこー?オレのメガネどこー?」と往年の横山やすしのようなボケをかますなど、キースにとって丸メガネ(レンズなしの伊達眼鏡)はトレードマークとなっています。
エンタツのトレードマーク「ロイド眼鏡」
キースのモデル人物と言われる伝説の芸人・横山エンタツも、キースと同じように丸いメガネを掛けていました。以下、エンタツが掛けたいわゆる「ロイド眼鏡」についてまとめます。
昭和5年(1930年)に花菱アチャコとコンビ「エンタツ・アチャコ」を組んだエンタツは、歌って踊って合間に喋る旧来の「万歳」のスタイルを革新する、新しい「しゃべくり漫才」を開拓していきます。
そんな二人の芸風を強力に後押ししたのが、エンタツが舞台上で見せた「背広姿にチョビひげ、丸メガネ」というインテリ・サラリーマン風の出で立ちでした。当時の万歳師は羽織袴で舞台に立つのが当たり前の時代でしたから、その姿は大きなインパクトがあったことでしょう。
▼花菱アチャコ(左)と横山エンタツ(右)。「ややポチャ男」のアサリと「丸メガネ男」のキースの組み合わせは、この二人がモデル。
※画像はwikipediaより転載(パブリックドメイン)。
アメリカ帰りのエンタツ チャップリン、ロイドに影響受ける
エンタツは昭和4年に半年間に及ぶアメリカ巡業を行なっており、当時としては珍しいアメリカ帰りでした。エンタツのチョビひげはチャップリン、丸メガネはハロルド・ロイドという、いずれも当時のアメリカで人気だった喜劇俳優のスタイルを模倣したとも言われます。
現在でも太縁の丸メガネは「ロイド眼鏡」などと呼ばれますが、これはセルロイドで出来ているということに加え、かつてハロルド・ロイドが劇中でこうした形の眼鏡を掛けていたことから、二つの意味を掛けて「ロイド眼鏡」と呼ばれるようになったそうです。
▼こちらは喜劇俳優、ハロルド・クレイトン・ロイド・シニア(ハロルド・ロイド)。1920年代に「ロイドの要心無用」「猛進ロイド」「ロイドの人気者」など立て続けに大ヒット映画に出演。
※画像はwikipediaより転載(パブリックドメイン)。
急増中だった大阪のサラリーマンの心をつかんだ
エンタツは、当時大阪で急速に増加していたサラリーマン層をターゲットとし、自らエセインテリ・サラリーマンを演じることで、彼らに親近感を覚えさることに成功しました。
「背広姿にチョビひげ、ロイド眼鏡」というエンタツのスタイルは、単にアメリカの流行を後追いしただけではなく、当時の日本の世相を汲み取った、エンタツの「セルフプロデュース力」の現れでもあったのです。
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