2023年6月2日(金)に初回放送される「NHKドキュメント72時間〜青森・八戸 ウミネコが舞う神社で」。
撮影はウミネコの繁殖地として知られる青森県八戸市の蕪島(かぶしま)神社で行われています。
ウミネコが集う神社 蕪島神社
2023年6月2日放送の「ドキュメント72時間」のタイトルは「青森・八戸 ウミネコが舞う神社で」。
ウミネコの繁殖地として天然記念物に指定されている八戸市の蕪島にある蕪島神社周辺で、72時間の密着撮影が行われています。この日の放送内容は以下の通り。
猫のような鳴き声からその名がついたウミネコ。春から夏にかけ、繁殖のために青森・八戸の海岸沿いの神社周辺に集結する。その数およそ3万羽。空を覆う大群を一目見ようと、多くの人がやってくる。来日した家族を連れてきた県内在住のアメリカ人。ウミネコとの会話が楽しみという男性。地元の人たちは、毎年ウミネコが帰ってくると春の訪れを感じるという。ウミネコの大群を前に、人は何を思うのか。3日間、その声に耳を傾ける。
【語り】吹石一恵
鎌倉時代からの歴史 ウミネコと共生する蕪島神社
「ミャーミャー」という猫のような鳴き声で知られ、沿岸部の小さな島や岩礁などに集って繁殖をするウミネコ(海猫)。
撮影が行われた青森県八戸市の蕪島(かぶしま)は、1922年に「蕪島ウミネコ繁殖地」として天然記念物に指定されています。
※国内ではほかに経島(島根県出雲市)、椿島(岩手県陸前高田市)、江島(宮城県女川町)、飛島(山形県酒田市)などがウミネコ繁殖地として天然記念物に指定されています。
八戸港の外れに半島状に突き出した蕪島。島の中心部にある小高い丘の上に鎮座するのが、鎌倉時代の永仁4年(1269年)に創建されたと伝わる歴史ある蕪島神社です。
2015年に発生した火災により社殿や神宝、祭器具などを焼失するという悲劇に見舞われましたが、地元の人達の支えにより真新しく美しい神社として再建されています。
※蕪島神社は、昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で坪倉由幸が演じた工藤祐経の息子・伊東祐時(犬房丸)がこの地に流され、故郷の江ノ島(神奈川県藤沢市)に似ていたことからこの地に厳島神社(弁財天)を勧進したのが始まりとされます。
蕪島神社を中心とした蕪島には3万羽ともいわれるウミネコが大集結し、圧巻の風景を作り出してます。地元の人達は古くからウミネコを弁財天の使いとして大切にしていたそうで、人とウミネコが共存した風景が人気となり、蕪島神社は八戸地域の観光地として知られるようになっています。
冬季は越冬のために南下するウミネコですが、春の気配が見える3月頃に蕪島に飛来して、だいたい4月頃に産卵、6月頃にヒナがかえるという毎年のルーティーンがあるようです。蕪島神社ではこうしたウミネコの生態にあわせて、毎年7月の海の日前後には「ウミネコ巣立祭」「ウミネコ塾」などの祭事が行われています。
なお、注意しなければならないのが大量のウミネコたちから降り注ぐ「フン」の攻撃です。神社の鳥居の脇にはウミネコのフンを避けるための傘も置かれており、いかにウミネコの数が多いかを物語っています。
▼階段を登り境内に足を踏み入れると、ウミネコたちの楽園が。糞害にはくれぐれも注意です。