NHK連続テレビ小説「あさが来た」2016年3月4日(金)放送分より。この日の放送で登場した言葉「テケツ(てけつ)」の意味についてまとめておきます。「テケツ集め」はあさのささやかな趣味でもあります。
テケツまで集めてますのやで
「テケツ」という言葉が出てきたのは、あさ(波瑠)が東京で父・忠興(升毅)と会話している時でした。
忠興「お前、あした大阪帰るんやってな」
あさ「またすぐに来れます。今は汽車がありますさかい。うちな、しょっちゅう炭鉱に行ってる間にすっかり汽車になれてしまいましたのやで」
あさ「テケツまで集めてますのやで」
忠興「テケツって…おなごのくせに笑」
テケツ=チケット
この会話。予備知識がないと「テケツ」が何のことだかわからないかも知れませんね。
あさが言う「テケツ」とは「チケット(tickets)=汽車の切符」のこと。この「テケツ」という言葉は、以前の放送にも登場しています。
「テケツ」という単語が登場したのは、加野銀行を開業したばかりの2月1日放送回のこと。趣味で収集しているという汽車の切符を満足気に眺めるあさの姿を、新次郎(玉木宏)が「変わったご趣味ですこと…」と微笑ましく見守る場面が描かれています。
倹約家・広岡浅子のエピソード
なお、この時画面に映された切符群(「こうべまで」「ながはままで」「よこはままで」「しんばしまで」など、出張等で全国各地を飛び回った成果)には、いずれも「下等」の文字が刻印されていました。
これは、あさのモデルである実業家・広岡浅子が出張の際には倹約のために三等車両(当時の名称は下等。客車は上等、中等、下等の三等級に分かれていた)を利用していたというエピソードに基づいているものと思われます。
※父・忠興が「おなごのくせに…」と笑った理由は、おなごなのに切符集めなど…という意味か、あるいは忠興が「テケツ」を「手」と「ケツ」の意味ととったのか、のいずれかだと推測されます。恐らく「手」と「ケツ」というあさの相変わらず(笑)な言葉遣いに、思わず忠興が反応してしまったのではないかと思います。