NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」第7週に登場する「KT(ケーティー)歯みがき」のモデルとなっている「OC(オーシー)歯みがき」についてまとめます。
常子持ち前の行動力が発揮されるこのエピソードは、ヒロインモデル・大橋鎭子が女学生時代に練り歯磨き製造に挑戦した逸話が基になっています。
※「KT歯みがき」誕生の経緯については「【とと姉ちゃん】「KT(ケーティー)歯みがき」 常子、初めての商いに挑戦」の記事にまとめています。
大橋鎭子 女学生時代の挑戦
ヒロイン・小橋常子(高畑充希)のモデルである「暮しの手帖」創業者・大橋鎭子は、府立第六高等女学校時代(当時14歳)に「歯磨き製造」を通じて最初のビジネス体験をしています。
歯が悪く歯槽膿漏に悩んでいた母・久子が陸軍第一病院(現在の国立医療研究センター)で教えてもらった処方箋(薬用石鹸、グリセリン、ミントなどが材料)をもとに、大橋家の母子が練り歯磨きを完成させ効果を得ると、その話を聞いた第六高女の同級生たちも興味を示し、鎭子は練り歯磨きの「おすそ分け」をするようになります。
評判となり事業化へ
この練り歯磨きにより同級生の母親らの歯槽膿漏が改善され評判になると、「歯槽膿漏に悩む人の為にこれを売ってみてはどうか」という声が同級生の母から聞かれるようになります。
これを受けて事業化を決断した鎭子ら大橋一家は、父方の実家である深川の材木置場の権利を売ったり、母方の祖父である実業家・宮部満吉からの援助を得たりして、現在の価値で一千万円ほどの資金を調達。材料、道具を揃え、本格的に歯磨き製造事業を手掛けることになります。
「オーシー歯磨き」
試行錯誤の末に完成した歯磨き粉は「おおはし・しずこ」のイニシャルをとって「OC(オーシー)歯みがき」と命名されました。製品としてはアメリカで有名な歯磨き粉「コールゲート」に似たものだったようです。
素人商売 販路を見出せず
この事業が成功すれば、大黒柱の父を失った大橋家にも明るい未来が訪れる…。
一家は期待を持って歯磨き製造に精を出しますが、残念ながら素人である鎮子らに商いのノウハウはなく、販路拡大のアイディアなども持っておらず、この事業は尻すぼみに終わります(本人はこの体験を「オママゴトみたいな歯みがき屋さん」と表現)。
とはいえ戦後、自らの意志で出版社「衣裳研究所」を立ち上げることになる鎭子にとって、商いを肌で実体験する良い機会となったことでしょう。わずか14歳にして自ら商材を創りあげ売り歩いた行動力は、それから十年ほど後(戦後)に花開くことになります。
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