NHK連続テレビ小説「あんぱん」より。幼少期に父を亡くした柳井嵩は、高知の御免与町で柳井医院(診療所)を開業している伯父の柳井寛に引き取られることになります。
この記事では、劇中に登場する柳井診療所ならびに柳井寛についてまとめるとともに、モデルになっていると考えられる柳瀬医院と、やなせたかしの伯父・柳瀬寛についてまとめます。柳瀬医院の跡地は現在、やなせたかしの名を冠した公園になっています。
【あんぱん】父を亡くし叔父夫婦のもとへ 柳井医院で育つ

「あんぱん」第1話では、父の柳井清(二宮和也)を亡くした少年・柳井嵩(木村優来)が母の登美子(松嶋菜々子)と共に伯父を頼って高知・御免与町にやって来る場面が描かれます。嵩はこの時に、後に生涯のパートナーとなるヒロイン・朝田のぶ(永瀬ゆずな)と出会うことになります。
柳井母子が頼ったのは、清の兄にあたる開業医の柳井寛(竹野内豊)。御免与町の柳井医院で院長を務める町医者です。シングルマザーとなった登美子はある事情により、嵩と弟の千尋を寛に預けることになります。
伯父の寛は思慮深く優しい人物で、生きていくうえで大切なこと、忘れてはいけないことを嵩と千尋に教えていきます。二人の育ての親となった寛は、どんな時も二人を励まし続け、生きる道しるべを示していくことになります。
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— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) March 14, 2025
柳井寛 🖊 #竹野内豊
柳井診療所の院長をつとめる町医者。嵩や千尋にとっての育ての父で、どんな時も二人を励まし続け、生きる道しるべを示す。
嵩と千尋の人生に大きな影響を与えていく人物です✨#朝ドラあんぱん
📅3月31日(月)スタート🏃 pic.twitter.com/7R70xrorrF
【史実モデル】やなせたかしが育った後免町・柳瀬医院 跡地は「やなせたかし・ごめん駅前公園」に
▼やなせたかしが暮らした柳瀬医院の跡地を整備した「やなせたかし・ごめん駅前公園」(高知県南国市駅前町3-22-24)。公園内のベンチにはアンパンマン、食パンマン、カレーパンマンなどの石像が置かれ、やなせたかしの偉業を伝えています。
「あんぱん」柳井嵩のモデルは、国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家のやなせたかし(本名・柳瀬嵩)。劇中に登場する伯父の柳井寛ならびに柳井医院は、やなせたかしの育ての親である伯父の柳瀬寛ならびに彼が開業していた柳瀬医院がモデルになっています。
幼少期に父の清(赴任先の中国・アモイで死去)を亡くしたやなせたかしは、母が再婚したこともあり弟の千尋と共に伯父の柳瀬寛の家に預けられ、18歳までを伯父夫婦のもとで過ごしています。
※弟の千尋は嵩よりも一足早く伯父夫婦の養子となっており、母の再婚により少し後から伯父夫婦の家に転がり込んできた嵩は「坊っちゃん(跡取り養子)の兄」として肩身が狭い思いをしたようです。
子供がいなかった伯父夫婦は養子となった千尋を溺愛する一方、後から転がり込んできた嵩は玄関横の冷たい書生部屋で寝かせるなど、兄弟の扱いは違ったようです。
<やなせたかし全詩集「坊っちゃんの兄」を参照>
伯父の柳瀬寛は高知県長岡郡後免町(現在の高知県南国市)で柳瀬医院を開業していた町医者で、長岡郡医師会長を務めるなど地元の名士として知られる人物でした。
寛は教養深い趣味人としても知られ、やなせたかしにも大きな影響を与えたようです。
「やなせたかし全詩集」には、再婚してしまった実母との別れ(「母とのわかれ」)、家の近くの道信山で弟と遊んだ日々(「道信山の夕やけ」)、伯父の家にいた若い女性のお手伝いさん「朝や」との交流(「朝やの星」)など、後免町での思い出の数々が詩として残されています。
▼こちらはやなせたかしの実父・柳瀬清の生家跡地を整備した「やなせたかし朴ノ木公園」(高知県香美市香北町朴ノ木405)。柳瀬家は平氏一族の一つ・伊勢平氏の末裔で300年続く旧家。清は講談社で編集者を務めた後に東京朝日新聞に引き抜かれて気鋭の新聞記者として活躍。しかし、赴任先の中国・アモイにて32歳で客死してしまいます。