大河ドラマ「べらぼう」語り・九郎助稲荷とは?どこにあった?

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NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」で綾瀬はるかが担当している「語り(ナレーション)」は、吉原遊郭の人たちから信仰を集めたお稲荷さん「九郎助稲荷(くろすけいなり)」が語るという形で行われていきます。

この九郎助稲荷は吉原遊廓(新吉原)にお祀りされていた5つの稲荷社の一つであり、現在も吉原神社(九郎助稲荷神社)に合祀され大切に受け継がれています。

この記事では、吉原遊廓に存在した5つの稲荷神社についてまとめるとともに、それらの稲荷神社が現在どうなっているかを簡単にまとめます。

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目次

【べらぼう】蔦重を見守る語り・九郎助稲荷

著:森下 佳子, 編集:NHK出版, 読み手:NHKドラマ制作班
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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」は、綾瀬はるかが担当している語り・九郎助稲荷(くろすけいなり)の先導によりストーリーが展開していきます。

NHKから公表されている九郎助稲荷のキャラクター設定、人物(?)紹介は以下のとおりです。

明和の大火を無事逃れ、復興した吉原に戻ってきた九郎助稲荷。

今回の語りはこの稲荷が、吉原を、江戸を、そして蔦重(横浜流星)を、天から見守り、時に蔦重に寄り添いながら、物語を案内していきます。

NHK番組公式ホームページより引用

第1話の冒頭では明和の大火(明和9年・1772年4月1日)で吉原遊廓が炎に包まれる中、蔦屋重三郎(横浜流星)が遊女たちの頼みを受けて九郎助稲荷の祠を担いで避難する様子が描かれています。

その際、さすがに九郎助稲荷の狐像は重かったらしく、重三郎は狐像が燃えてしまわないように咄嗟に近くの水中へと狐像を投げ入れています。

こうして九郎助稲荷は難を逃れ、復興した吉原遊郭内で再び祀られていくことになります。劇中で語りを担当していく九郎助稲荷にとって重三郎は大火から身を守ってくれた「恩人」というわけですね。

【史実】吉原遊廓に存在した5つの稲荷神社

明暦3年(1667年)、江戸市中の日本橋葺屋町にあった吉原遊廓(元吉原)が郊外の寒村・竜泉寺村(現在の東京都台東区千束付近)に移転されると(=新吉原)、この新しい遊郭の守護神として五つの稲荷社が祀られています。

★「新吉原」の守護神・5つの稲荷神社

①吉徳稲荷(縁結び・家内安全・商売繁盛・五穀豊穣の神さま)
②榎本稲荷(家内安全・商売繁盛・五穀豊穣の神さま)
③明石稲荷(火災除け・町内安全の神さま)
④開運稲荷(開運・幸運・幸福を招く神さま)
⑤九郎助稲荷(縁結び・五穀豊穣・所願成就の神さま)

吉徳稲荷は遊郭の入口である吉原大門へと続くS字カーブ・衣紋坂(五十間道)付近に、その他の稲荷神社は遊郭の敷地の四隅にそれぞれ配置され、広く信仰を集めたようですね。特に遊郭の敷地から出ることを許されていなかった遊女たちにとって、遊郭内に祀られたお稲荷さんは心の拠り所だったことでしょう。

★吉原の様々な風習についてまとめられた書物「吉原大全」(明和5年・1768年)には「九郎助稲荷の事」として以下のようなことが書かれています。

『飢饉うちつづきける時、人々より集り、此神へ立願せしかば納受ありて年ゆたかなりけり。是よりいよいよ神威をまし、所願成就せずといふ事なし(中略)今よし原にて、えんむすびの神として立願す』

【現代語訳】
『飢饉が続いていた時、町の人々が集まり、この神に祈願を捧げたところ神からの答えがあり、その年は豊かな実りを得ることができた。それ以来ますます神の力が強まり、願いが叶わなかったことは一度もなかった。現在も吉原では、縁結びの神として祈願が行われている。』

▼今も当時の道の形が残る吉原遊廓跡地。①吉徳稲荷は土手通りから左折し遊郭の入口へと向かう衣紋坂付近に。②榎本稲荷、③明石稲荷、④開運稲荷、⑤九郎助稲荷はそれぞれ遊郭を守るかのように敷地の四隅に祀られていました。

▼九郎助稲荷が鎮座していたとされる吉原遊廓の南端部(地図⑤の場所)はだいたいこのあたり。かつて遊女たちの逃走を阻んだ「お歯黒どぶ」の名残を感じる花園通りに面した韓国居酒屋「ぽらむ」付近。

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