NHK連続テレビ小説「あんぱん」第14週以降では、主人公ののぶが高知新報社という新聞社で働くことになります。
この記事では、のぶとともに高知新報社初の女性記者となる小田琴子(おだ・ことこ)についてまとめるとともに、演じる俳優・鳴海唯のプロフィールも簡単にまとめます。
戦後、高知新報社の記者になるのぶ
戦前、戦中に愛国主義の教育者として母校の尋常小学校で教鞭をとった若松のぶ(今田美桜)。
しかし敗戦により世の中の価値観が180度変わってしまうと、のぶは「自分にはもう教壇に立つ資格がない」と落ち込み、教師の職を辞してしまいます。
そんなのぶに新しい生き方を与えてくれるのが、闇市で偶然に出会った高知新報社の東海林明(津田健次郎)と岩清水信司(倉悠貴)でした。
のぶは二人と出会ったことが縁となり、高知新報社に入社。同社の戦後初の女性記者の一人として、新しい人生を歩み始めることになります。
▼高知新報社はドラマの前半でもたびたび登場している地元高知の新聞社。まだ中学生だった嵩が「新人漫画大賞」を受賞したのも、高知新報社でした。
もうひとりの女性記者・小田琴子 小松暢と同期入社の女性記者がモデル
男性ばかりの記者の世界に飛び込むのぶの心強い味方となりそうなのが、のぶと同時にもう一人同時採用された女性記者・小田琴子(鳴海唯)です。
小田琴子の詳細な人物設定はまだ発表されていませんが、おそらくのぶとともに旧態依然だった高知新報社に新しい風を吹き込んでいくことが予想されます。
この小田琴子という人物は、1946年(昭和21年)に小松暢(「あんぱん」朝田のぶのモデル人物)とともに高知新聞社初の女性記者として採用された女性がモデルになっていると思われます。
小松暢は大阪の女学校で学んだ後に、東京で最初の夫となる日本郵船社員・小松総一郎(「あんぱん」若松次郎のモデル人物)と結婚しますが、戦後すぐに夫が病死して死別。
実父や亡夫が高知出身だった縁もあったのでしょう。小松暢は戦後すぐの1946年に高知新聞社が募集した女性記者の求人に応募すると、31人の応募者の中から採用され、同社初の女性記者二人のうちの一人となっています。
小松暢はこの高知新聞社で「月刊高知」を担当するようになると、すぐ後に入社してきたやなせたかし(「あんぱん」柳井嵩のモデル人物)と同じ部署になって親密になり、やがて二人は上京して結婚することになります。
このような史実から、「あんぱん」に登場する女性記者・小田琴子は、高知新聞社に初めて採用された女性記者二人のうちの一人をモデルにしていると考えられます。
俳優・鳴海唯 NHK「なつぞら」「どうする家康」に出演
女性記者・小田琴子を演じるのは、兵庫県西宮市出身の27歳の俳優・鳴海唯(なるみ・ゆい)です。
少女時代から女優業にあこがれを抱き、「舞台芸術について学べる地元関西の大学」に進学した鳴海唯。大学1年生だった2018年に映画「ちはやふる―結び―」のエキストラ出演を経験し、広瀬すずや上白石萌音ら一流の女優たちの演技を身近に見たことに触発され、本格的に女優を目指したいという夢を確信しています。
その後、大学を中退、上京して養成所で猛稽古を重ねる中で、2019年のNHK朝ドラ「なつぞら」のオーディションに初挑戦。ヒロインの親友・柴田夕見子役(福地桃子が演じた)のオーディションには落選したものの、その妹・柴田明美役としてオーディションを突破。テレビドラマ初出演が朝ドラレギュラー出演という華々しいデビューを飾っています。
その後、ドラマ「永遠の昨日」「すべて忘れてしまうから」「時をかけるな、恋人たち」「Eye Love You」「あのクズを殴ってやりたいんだ」「秘密〜THE TOP SECRET〜」や、映画「偽りのないhappy end(主演)」「熱のあとに」などに次々と出演。俳優として順調なキャリアを見せています。
2023年のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、真田信之(信幸)の正室・稲(小松姫)役を好演。2025年のNHKオムニバス企画ドラマ「地震のあとで」では第2話「アイロンのある風景」で主演も経験。「なつぞら」への出演も含めてNHKから一定の評価を得ていたことが、今回の二回目の朝ドラ出演に繋がったものと思われます。
▼ドラマ版「地震のあとで」に新たなシーンが加わり、映画版として再編集された作品「アフター・ザ・クエイク」は2025年10月に公開予定。鳴海唯が主演した第2話「アイロンのある風景」は村上春樹の短編小説が原作。ドラマ版の評判も上々でした。