NHK連続テレビ小説「ひよっこ」5月15日(月)放送回に登場した、東京の飲み屋街(飲食店街)の撮影ロケ地「山王小路飲食店街(大森)」についてまとめます。
「ひよっこ」東京編はスタジオセットでの撮影シーンが中心ですが、この日の放送では実在する飲み屋街がロケ地として登場しました。
実が目撃された歓楽街
懸命の捜索により、ようやく実(沢村一樹)の目撃情報を得た赤坂署の警察官・綿引正義(竜星涼)。さっそく綿引は向島で働くみね子(有村架純)のもとを訪ね、実が目撃されたという小さな飲み屋街へと二人で向かいます。
みね子にとって、その飲み屋街は初めて訪れる場所。多くの人々が行き交い猥雑な空気に満ちた大都会の歓楽街に、みね子は気後れしてしまいます。
ロケ地は大森の「山王小路飲食店街」
▼綿引とみね子が歩いた飲み屋街。テレビ画面ではもう少し俯瞰気味、ズーム気味の画でしたが、ほぼこの写真と同じ位置から撮影されたものと思われます。(写真:ロケTV)
実在する都内の町並みを使って撮影されたこのシーン。懐かしい昭和の風情を色濃く残すこの飲み屋街のシーンは、東京都大田区のJR京浜東北線・大森駅西口(山王口)を出てすぐ横にある「山王小路飲食店街」で撮影が行われました。
同駅西口駅前には線路に平行して池上通りが走り、通り沿いには庶民的な商店街が広がっています。その池上通りと線路の間、車と人と電車が行き交う雑踏の狭間の谷底に、時代から忘れ去られたように立ち並ぶのが山王小路飲食店街です。
谷底の吞ん兵衛の地 通称「地獄谷」
▼池上通りから一段下がった土地にある山王小路飲食店街。道幅2mほどの飲食街の向こう側にはJR大森駅のホームが広がり、飲食店街への出入り口は池上通りから下りる三ヶ所の階段のみ。(写真:ロケTV)
この山王小路飲食店街は、地元の人から「地獄谷」の通称で呼ばれています。
まだ現在のように池上通りへとのぼる階段が整備されていなかった時代。雨の日、ここで飲んで千鳥足になった酔っぱらいが、泥道と化した階段(ただの坂だった?)をのぼれなくなり、帰るに帰れなくなったという逸話から、「地獄谷」の愛称がついたそうです。
谷底にあるこの飲食店街は、階段(坂)をのぼらないと元の世界へと戻れません。池上通りと京浜東北線のホームに挟まれた谷の地形と相まって、当時の酔っぱらいにとってここは「アリ地獄」のようなズブズブな場所に思えたのかも知れません。
なんとも恐ろしい愛称ですが、立ち並ぶ飲食店自体は至って健全。現在は若者向けのオシャレなバーや気さくなスナックなどが軒を連ね、気軽に飲める横丁として人気があります。もちろん階段もコンクリートで整備されておりますので、雨の日でも安心して「現世」へと戻って来られます。
▼東京に来たばかりのみね子にとって、さぞ怖い場所に見えたことでしょう。父・実はここで何をしていた…?(写真:ロケTV)
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