NHK連続テレビ小説「マッサン」より。
ようやく出資者の渡芳利(オール阪神)らを説得し、第一号ウイスキー「DOUKAH WHISKY」を発売したマッサンでしたが、予想に反して売り上げは伸び悩みます。会社の経営も苦境に立たされ、ついには渡らから従業員の大量解雇と新商品の開発を命じられてしまいます。
海軍士官が窮地を助ける
そんな窮地を救ったのが、ある日突然工場にやってきた海軍士官(柏原収史)でした。士官は工場のウイスキーを試飲すると「こんなものか」と悪態をつきます。
ところが、驚いたことに士官は軍で消費するウイスキーが不足しているために、在庫のある限りウイスキーを買い上げたいと言ってきたのです。
士官の一声により、ドウカウヰスキー(DOUKAH WHISKY)は海軍指定の工場に指定されます。
これにより、戦争の影響で物資が不足する中でも優先的に原材料を手に入れることが出来、製造したウイスキーも海軍が全て買い取ってくれるという、まだまだヒヨッコだった工場としては破格の好待遇を受けることになります。従業員の大量解雇を決断したばかりのマッサンにとっては、まさに天からの助けでした。
ウイスキーの質より量を要求してくる海軍の在り方に辟易するマッサンでしたが、海軍指定工場になったことで苦しかったドウカの経営状態は一気に改善していきます。
ウイスキーを愛した日本海軍
史実のモデル「大日本果汁株式会社(後のニッカウヰスキー)・余市工場」も、戦争が激化する頃に「海軍監督工場」に指定されています。「海軍監督工場」は、海軍の監督の下に軍需品を製造することを要求される指定工場です。
もともと日本の海軍はイギリス海軍に学んだため、日本海軍はウイスキーを愛する集団となっていました。このような事情もあり、当時の日本のウイスキーの最大消費先は海軍でした。ウイスキーを生産できる余市工場は、軍から重宝される存在だったのです。
海軍監督工場指定のメリット
「海軍監督工場」に指定されると様々な制約や負担を強いられる反面、ウイスキーの原料となる大麦をはじめ諸材料を優先的に手に入れることが出来ました。また、製品は配給組合が買い上げてくれるため、宣伝営業活動をせずとも製品が次々に売れるという大きなメリットもありました。
余市工場では複数の工員が戦地に招集され、国旗掲揚、軍事訓練や神社参拝を行わねばならぬなど軍事色に染まりましたが、経営の面から見ると、駆け出しだったニッカウヰスキーは戦争のおかげで随分と経営基盤が安定したとも言えます。
つくり続けた原酒
竹鶴は戦中、それに模造ウイスキーが跋扈する戦後の苦しい時期にも、資金が許す限り原酒をつくり、貯蔵庫に眠らせることを続けました。貯えられた原酒たちがいつか大きな武器になる、そう信じて苦しい時代を耐え忍んだのです。
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