NHK連続テレビ小説「マッサン」に登場する漁師の網元・森野熊虎(風間杜夫)が建てたという「鰊(ニシン)御殿」。北海道編ではこの豪奢な建物が、物語の舞台としてたびたび登場します。
この記事では、熊虎自慢の「ニシン御殿」のロケ地、それに小樽〜余市近郊に残るニシン御殿などをまとめます。
熊虎の鰊御殿は「旧青山家住宅」(札幌市・北海道開拓の村)
明治大正期、北海道の日本海沿岸では鰊漁が盛んに行われ、漁場経営で財をなした網元たちは競うように豪奢な木造建築物「鰊(ニシン)御殿」を建てました。特に小樽から積丹半島方面の海沿いには複数の鰊御殿が存在しました。
ドラマ「マッサン」に登場する森野熊虎のニシン御殿も、移築保存されているかつての御殿を利用して撮影されています。
白壁と黒い瓦のコントラストが印象的なこの御殿は、現在「北海道開拓の村」(札幌市厚別区)に保存されている「旧青山家住宅」(旧青山家漁家住宅)。かつて小樽近くの祝津で三大網元のひとつとされた「青山家」の本邸です。
敷地内には母屋、網倉、船倉、石倉、文庫倉、海産干場など多数の施設が移築保存されており、内部の見学も出来ます。
北海道開拓の村DATA
住所:北海道札幌市厚別区厚別町小野幌50-1
電話:011-898-2692
その他、北海道日本海沿岸に残る「ニシン御殿」
以下、小樽から余市方面にかけて現在も残り公開されている主な「ニシン御殿」をまとめておきます。
▼旧青山政吉邸(小樽貴賓館、旧青山別邸)
前述した青山家の別邸。国の登録有形文化財。二代目だった当主・青山政吉は美意識が高く、娘の政恵(当時17歳)とともに六年という歳月をかけ、一流好みの壮大な別邸を建てました。山形県酒田市にある豪邸・本間邸に魅せられていたという少女・政恵の夢が詰まった、贅を尽くした御殿でした。
現在は「小樽貴賓館」という商業施設として公開されており、建築や庭を眺めながら食事が楽しめます。
住所:北海道小樽市祝津3丁目63
小樽貴賓館サイト:
http://www.otaru-kihinkan.jp/
▼旧田中福松邸(小樽市鰊御殿)
網元・田中福松が、西積丹・古宇郡泊村の海岸近くに7年の歳月をかけ建築した御殿(1897年建築)。現在は小樽市に移築復元されています。北海道の民家では初めて「北海道有形文化財鰊漁場建築」として、文化財に指定されています。
館内には当時のニシン漁の作業道具や写真などが展示されています。
住所:北海道小樽市祝津3丁目228
▼旧 猪俣安之丞邸(銀鱗荘)
小樽・平磯岬にある豪華なニシン御殿。1900年(明治33年)に三年の年月をかけて余市町に建てられ、その後現在地に移築されました。
現在は観光旅館「銀鱗荘」として利用されており、平磯岬の高台から小樽市街と港を一望できる抜群のロケーションで人気があります。かつては作家・松本清張も愛用した宿だとか。
住所:北海道小樽市桜1丁目1−13
銀鱗荘サイト:
http://www.ginrinsou.com/
▼旧余市福原漁場
1884年(明治17年)以来、ニシン漁を中心にこの地で漁場経営を行っていた「福原家」の建築群を修復したもの。
番屋を中心として、文書庫、米味噌蔵、石蔵、物置などが当時の姿で残っています。ニシン漁に関する建築群がまとまって残っていることから国の指定史跡に指定されており、当時を知る貴重な遺構。
ニッカウヰスキー余市蒸溜所も近いので、併せて見学すると良いでしょう。
住所:北海道余市郡余市町浜中町150−1
▼旧 川村家番屋、武井邸客殿(鰊御殿とまり)
かつて50を超えたという泊村の鰊番屋。その中で『旧川村家番屋』(1884年建築)、『旧武井邸客殿』(1916年建築)が移築され、「鰊御殿とまり」として公開されています。『旧川村家番屋』の二階にはかつての商談スペースも残っており、当時の活況を感じる事ができます。
館内には村民から寄贈されたニシン漁関連の品々が多数展示されており、歴史を知る郷土資料館としても貴重な空間となっています。
住所:北海道古宇郡泊村59−1