NHK連続テレビ小説「虎に翼」5月1日(水)放送の第23回より。「共亜事件」の第1回公判で被告人として証言台に立った直言。罪状認否の直前、直言は傍聴席を振り返り、寅子に対し「ごめんな、トラ」とつぶやいています。
この日の放送は直言のこの一言で終了となりましたが、この「ごめんな、トラ」に含まれる意味、直言の罪状認否の結果(ネタバレ)などをまとめます。
罪状認否の直前、寅子が襲われていたことを知る直言
「共亜事件」の被告人の一人として、第1回公判に出席した帝都銀行経理第一課長の猪爪直言(岡部たかし)。直言は勾留中に受け続けた恐怖から、罪状を全面的に認めるつもりで公判に臨んでいます。
開廷後、直言は目の前にいる検察官・日和田(堀部圭亮)へのトラウマもありその場で倒れてしまうと、一時退廷して医務室に運ばれることになります。
退廷直前、直言は傍聴席にいた新聞記者の竹中(高橋努)の発言から、寅子が共亜事件に関わる何者かに襲われていたことを知り、運ばれた医務室で弁護人の穂高教授(小林薫)に以下のように問い詰めています。
直言「どういうことです?寅子が襲われたって。」
穂高「寅子君に口止めされていてね。」
直言「口止めって…。え、そんな大事なことを親の私に隠すなんて…。」
穂高「(いつになく厳しい口調で)隠したくもなるだろう!そりゃ。怖かったと泣きついたりできると思うかね?」
穂高「…と。これはかつての師の言葉として聞き流して欲しい。あとは弁護人として君がどっちに転ぼうと任せて欲しい。できる限りの仕事はする。」
恩師の力強い言葉を受けた直言は、自分を追い詰め続け自白を強要した闇の権力に対する恐怖心を吐露し始めます。
憔悴しきっている直言に対し穂高は「そんなことは絶対にさせない、絶対にだ!」と約束すると、直言は再び法廷に戻り、罪状認否のために証言台に立っています。果たして穂高の言葉が直言の心に届いたのか、気になるところですね。
「ごめんな、トラ」の意味 直言は罪状を否認する?
こうして証言台に立った直言は日和田から罪状認否を問われると、傍聴席にいる寅子を振り返り「ごめんな、トラ」とつぶやいています。この日の放送はこの直言のつぶやきで終了。続きが気になるところですね。
直言が発した「ごめんな、トラ」は、文脈上2つの意味が考えられます。
①自分の無罪を証明するために奔走してくれ、怖い目にまであった寅子に対し、それでも自分は有罪を証言せざるを得ないという裏切りの意味での「ごめんな、トラ」。→罪状を認める流れ。
②寅子が怖い目に会っていたことを知り、これまで権力に屈していた情けない自分を恥じる「ごめんな、トラ」。→罪状を否認する流れ。
今後のあらすじを読む限り、直言の「ごめんな、トラ」は②の意味で発せられたようです。
直言は穂高教授の言葉に勇気付けられ、恐怖心に打ち克って自らの全面的無罪を主張することに。この直言の全面否認により、有罪有りきで進んでいた公判の形勢は一気に逆転し、16人全員の冤罪が認められる展開となりそうです。
「共亜事件」は実在した昭和の大疑獄事件「帝人事件」をモチーフに創作されており、史実通りに被告人16人全員の無罪と、政権打倒のために事件をでっち上げた大物議員の存在などが描かれていきそうです。
※「帝人事件」では無罪判決を言い渡す際に、第一審裁判を担当した石田和外(「虎に翼」桂場等一郎のモデル)が事実無根を強調するために「水中に月影を掬するが如し」という名判決文を読み上げて話題になっています。「虎に翼」でも「共亜事件」を担当した桂場等一郎が穂高教授を唸らせるような名判決文を読み上げるとのこと。