NHK連続テレビ小説「花子とアン」2014年7月7日(月)放送分において、「銀ブラ」の語源の一説(ウンチク?)が披露されましたので、まとめておきます。
銀ブラの意味は「銀座をブラブラする事」ではない?
7月7日の「花子とアン」では以下のような会話がありました。
徳丸武 とりあえず銀ブラに連れて行けし!
かよ あのう、銀ブラの意味わかってます?
武 バカにするじゃねえ 銀座をブラブラするから銀ブラに決まってるラ!
かよ・はな 違います!
はな 銀座でブラジルコーヒーを飲むから銀ブラって言うんですぅ
美輪 それが銀ブラの本来の意味だという説もあります
現在でこそ銀ブラは「銀座通りをブラブラ散歩する事」(「広辞苑」より)と言った意味で使われている「銀ブラ」という言葉ですが、実は大正時代には全く違った意味で使われていた、という説があるようです。
銀座・カフェーバウリスタで”ブラジルコーヒー”を飲む
それは、「銀座で”ブラジルコーヒー”を飲む」ということ。
明治から大正時代にかけて、日本にも少しずつカフェ文化が広がっていきました。
特に銀座にあった「カフェーバウリスタ」という店は、当初は与謝野晶子、高村智恵子、宇野千代ら文学者が集まるなどしましたが、大正全盛期には一杯5銭という庶民的な価格(当時、高級西洋料理店・プランタンでは15銭だった)と、本場パリやニューヨークを模した店内の雰囲気も相まって、市民が気軽にコーヒーを楽しめる店として、20余りの支店を持つ人気だったそうです。
この「カフェーバウリスタ」で飲まれたのが「ブラジルコーヒー」であり、大正2年頃に「カフェーバウリスタ」に出入りしていた慶応大学の学生たちが「銀座でブラジルコーヒーを飲む」ことを「銀ブラ」と略したのが、言葉の発祥とする説があります。
当時、モダンガール・モダンボーイたちにとって、カフェーパウリスタで「銀ブラ」することは大層「カッコいい」ことだったのでしょう。カフェーパウリスタはカフェ文化の大衆化に大きく貢献したと言う意味で、現代の「スターバックスコーヒー」のような存在と言えるかも知れませんね。
銀座にはカフェードミンゴのような店がたくさんあった
「花子とアン」に登場する銀座の「カフェードミンゴ」も、昼間の営業では「ブラジルコーヒー」が名物。夜は葡萄酒(15銭)やキャベツロール(15銭)、コロッケ(15銭)など西洋料理が楽しめるカフェバーとして営業しています。大正時代の銀座では、こうした洒落たカフェーがたくさんあったそうです。
昭和に入り戦争が近付くと、やがて「敵国料理」としてコーヒーや洋食を楽しむ文化は下火になっていくわけですが、大正期の日本では東京や大阪を中心として、都市民が西洋のモダンな文化を楽しんでいたようです。