NHK連続テレビ小説「べっぴんさん」第4週に登場する(予定の)ワード「メリヤス」「メリヤス生地」の意味についてまとめます。
また、メリヤスという外来語の由来、それに当て字である「莫大小」の由来などもまとめます。
「メリヤス」生地で最初の一品をつくる
すみれ、明美、良子、君枝の4人がタッグを組み、いよいよ「あさや」の一角にお店を開店させるための準備が始まります。
お店を開くにあたって最も重要なのが、何はともあれ商品を用意すること。すみれたちは、潔と栄輔が仕入れてきたメリヤス、ガーゼ、綿といった生地の中からメリヤス生地を選び、前開きの「赤ちゃん用肌着」を製作することにします。
「メリヤス」の意味は
かつてはよく用いられたという「メリヤス」という言葉。現在では専門の人以外には聞き慣れないものだと思います。
『カタカナ語辞典』(三省堂)によれば、【メリヤス】は
伸縮自在で編物のような布地。1本または数本の糸で輪(ループ)を次々につくりながら編む。
また、『岩波国語辞典』(岩波書店)によれば、【メリヤス】は
錦糸または絹糸などで、機械を用いてよく伸縮するように編んだもの。
『繊維の種類と加工が一番わかる』(日本繊維技術士センター編)によれば、メリヤスは一般に「編物」を意味し、特に商業的には同じ編物でも下着は「メリヤス」、セーターは「ニット」、外衣は「ジャージ」というように、漠然と使い分けられているとのこと。
語源はポルトガル語「MEIAS」か
メリヤスはスペイン語の「MEDIAS(メディアス)」、あるいはポルトガル語の「MEIAS(メイアス)」が語源とされる外来語です。
「MEDIAS」「MEIAS」はいずれも現地では「靴下・ソックス」を意味します。
日本に編物が伝来し用いられ始めた頃に、靴下が編物の主要製品だったこともあり、「メリヤス=靴下→編物」と転化し、「メリヤス=編物」として日本に定着したとの説が有力です(ポルトガル人が用いていた靴下の布地の編み方からきたとの説)。※日本に編物が伝わったのは織田・豊臣の時代。機械編みが始まったのは1870年頃とされる。
当て字「莫大小」の由来
古くは「女利安」「女利夜須」「女利彌寿」などと漢字表記されたメリヤスですが、明治以降になると「莫大小」という当て字が用いられるようになります。※「莫大小」は「大小なし」という意味。
「莫大小」はメリヤスが伸縮性に富む素材であることから生まれた当て字で、この生地で作った下着類は伸縮自在で大小いずれのサイズにも対応出来、製品サイズをそれほど厳密に設定しなくてもよかったことがその由来となっているそうです。
「べっぴんさん」で「赤ちゃん用肌着」の素材にメリヤスが選ばれたのも、こうした「メリヤス=莫大小」の特性が有ってのものといえそうです。
※追記:10月29日放送回では、メリヤス生地が初回の洗濯で大幅に縮む(縦に縮み、横に伸びる)という特性が紹介されました。すみれたちはそれを踏まえ、一度メリヤス生地を洗ってから作るという製作方法を編み出します。
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