NHK連続テレビ小説「ひよっこ」8月16日放送回に登場したフレーズ「大きいことはいいことだ」についてまとめます。
このフレーズは、森永製菓から発売された「エールチョコレート」のCMのキャッチコピーでした。CMの内容と、劇中で流れた「ヒゲのおじさん」についてなどをまとめます。
谷田部家の食卓の会話
実が奥茨城に戻って一ヶ月あまりが経った、昭和42年(1967年)初夏。この頃には谷田部家にも日常が戻りつつあり、家族揃っての朝食の会話も弾みます。そんな中で飛び出したのが、進(髙橋來)が口ずさんだ「♪大きいことはいいことだ」のフレーズでした。
ちよ子(宮原和)の制服(※みね子のお下がり)の肩幅が大きいのではないかと心配した美代子(木村佳乃)は、肩の部分を詰めようかと提案します。
ちよ子「そうけ?大丈夫だよ。大は小を兼ねるというでしょ」
進「あれだよあれ、♪大きいことはいいことだー」
森永「エールチョコレート」のCM曲
母を気遣うちよ子に対し、無邪気な進がウキウキで歌い出した「♪大きいことはいいことだー」のフレーズは、昭和42年(1967年)に放送された森永製菓の「エールチョコレート(YELL CHOCOLATE)」のCM内で歌われていたもの。
エールチョコレートは、昭和40年代に入りカカオ豆の輸入価格が下がったことを受けて、従来の板チョコよりも一回り大きく、それでいて50円という価格で売り出すという、当時としてはお得感があふれる商品でした。そうした商品の特徴を伝えようと作られたのが、「♪大きいことはいいことだー」のCMだったのです。
「ひよっこ」劇中にもチラッと登場した、気球に乗ったヒゲのおじさんが楽しげに指揮をする映像は、実際のものです。
ヒゲのおじさんは指揮者・山本直純氏
この指揮をしている陽気なおじさんは、自由奔放で個性的な指揮者として知られた山本直純(やまもと・なおずみ)氏です。
気球に乗りながら、チョコレートを持った1300人の群衆を指揮するというよくよく見ると何ともシュールな内容ですが、「♪美味しく食べて 美味しく食べて 50円とはいいことだ〜」と、お得感を全面に押し出すキャッチーなコピーとメロディが相まり、人々に口ずさまれるヒットCMとなりました。
「大きいことはいいことだ」という高度経済成長の価値観をそのまま反映するような「エールチョコレート」はヒット商品となり、「ひよっこ」の世界でも進やちよ子の心を掴んでいたことでしょう。