NHK連続テレビ小説「わろてんか」第8週より。
この週の放送で、寄席「風鳥亭」の木戸銭(入場料)が10銭から5銭に値下げされるのですが、10銭という入場料がどれくらいの価値があるのか、当時の物価、現在の貨幣価値と照らし合わせて考察してみます。
木戸銭10銭でスタート 5銭に値下げ
明治44年頃、寄席「風鳥亭」は木戸銭を10銭に設定し、営業をスタートさせています。しかし営業努力の甲斐もなく、太夫元の寺ギンが高い仲介料を要求するために風鳥亭の利益はなかなか確保されない状況にありました。
そこで、風鳥亭は木戸銭を半額の5銭に値下げし、より気軽に寄席を楽しんでもらう戦略を打ち出します。これにより風鳥亭は連日満員御礼の大盛況となり、薄利多売ながら売り上げを伸ばしていくようです。
吉本夫妻の「第二文藝館」格安の5銭で開業
史実では明治45年、寄席「第二文藝館」(風鳥亭のモデル)の経営権を取得した吉本夫妻が、木戸銭を格安の5銭に設定。色物を中心としたわかりやすい番組構成で、気軽に来られる寄席づくりを進めています。
当時、一流の寄席は20銭程度、一般的な寄席でも10銭程度は木戸銭をとっていただけに、第二文藝館の5銭は格安。娯楽を求めた庶民が押し寄せる、人気の寄席となっていきました。
明治45年の物価 コーヒー5銭 うどん3銭
東京のものとなりますが、参考までに明治45年前後の物価を書き出してみます。「物価の文化史事典―明治・大正・昭和・平成」(森永卓郎著・展望社)より一部抜粋。年が多少前後していますが、当時は物価の変動が少なかったので誤差の範囲と考えられます。
・うどん、そば(1杯)…3銭
・喫茶店のコーヒー(都内平均・1杯)…5銭 ※明治40年
・百貨店「三越食堂」和定食…60銭 ※大正2年
・駅弁(普通弁当)…10銭
・森永ミルクキャラメル(1箱)…10銭 ※明治41年
・国家公務員初任給(月給・高等管制時代)…55円 ※明治44年
・小学校教員初任給(月給)…10~13円 ※明治44年
・大工の旋盤工日当…2円27銭 ※大正2年
・綿紡女工日当…1円6銭 ※大正2年
※1銭=0.01円
「5銭寄席」はお手軽な娯楽
これを見ると「5銭または10銭の木戸銭」はコーヒー1杯(5銭)、キャラメル1箱(10銭)を購入する程度の値段。
消費者物価指数の変動を見ると、明治33年(1900年)を1.00とした消費者物価指数では、明治45年が1.35だったのに対し、(少し古いですが)2003年は3844.4。ここから計算すると現在(※2003年〜2017年まで指数はほぼ横ばいで推移)の物価は明治45年の約2800倍ほどになっており、これにならえば当時の「5銭の木戸銭」は現在の貨幣価値で140円程度(=0.05円×2800倍)とざっくりと考えられます。
コーヒー(5銭)やうどん、そば(3銭)の価格から勘案してみても、「5銭の木戸銭」は高くとも現在の500円程度の物価感覚と考えられ、庶民が気軽に親しむ娯楽として5銭の寄席観覧はお財布に優しいものだったといえるでしょう。
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