2014年5月21日(水)放送のNHK歴史秘話ヒストリア「富岡製糸場 世界遺産へ~世界を魅了した少女たちのシルク~」で紹介された富岡製糸場、日本の生糸産業関連施設をまとめておきます。
ヒストリアで紹介された富岡製糸場の女工たちの生活については「NHK歴史秘話ヒストリア「富岡製糸場 世界遺産へ」まとめ①」の記事をご覧下さい。
▼富岡製糸場内おススメスポット
糸取り実演も「東繭倉庫(ひがし・まゆそうこ)」
シルクの原料となる繭が保管されていた倉庫で、全長100mという大きな建築。壁面にはレンガが10万個も使われているそうです。
当時レンガ職人がほとんどいなかったため、建造にあたっては似た技術を持つ瓦職人が集められました。彼ら瓦職人の試行錯誤の末に強固なレンガが造られたそうです。繭倉庫レンガの表面には瓦に刻まれるのと同じように職人の屋号が刻み込まれていて、職人たちの仕事に対する誇りを今に伝えます。
東繭倉庫では糸取りの実演を行なっており、繊細な技術を必要とした生糸づくりを見る事が出来ます。
工女たちが働いた「操糸場(そうしじょう)」
一度に300人の少女たちが作業に当たった、メインとなる作業場。現在の価値で総費用600億円、国の威信をかけたという国家プロジェクト・富岡製糸場のまさに心臓部です。フランスから届いた機械が整然とならぶ光景は圧巻で、富岡製糸場といえばこの操糸場の光景が一番有名かも知れません。
▲かつて工女たちが300人並び、一斉に作業をしていたという繰糸場。
Photo by: yoppy
フランス人技師の住居「ブリュナ館」
フランスからは機械とともに、技術指導の為のフランス技師が招かれました。彼らのために用意した専用住宅が「ブリュナ館」です。技師には当時の政府・太政大臣に匹敵する給料が支払われ、地下にはワイン倉庫が用意されるなど、至れり尽くせりの待遇だったそうです。
ワイン倉庫は戦時中には、B29爆撃機が富岡上空に来襲した際の逃げ場所、防空壕となっていました。
工女たちを励ました「石碑」
製糸場敷地内に今も立つ、大きな石碑。記念撮影のスポットにもなっているのですが、この石碑には創業間もない明治6年に、働く少女たちに向けて詠まれた歌が刻まれています。
「いと車 とくもめぐりて 大御代(おおみよ)の 富をたすくる 道ひらけつつ」
(糸をとる車をまわすことは、社会を豊かにする道をひらく)
この「いと車」の歌は、働く少女たちへの励ましのメッセージでした。この歌を歌いながら、少女たちは労働に励んだといいます。
▼日本の製糸産業の名残が見られる施設
生糸を大量輸出した「氷川丸 シルクルーム」(横浜山下公園)
▲山下公園のお馴染み、氷川丸。
Photo By: Dick Johnson
現在も横浜の港に停泊されている氷川丸。かつては「シルクライナー」と呼ばれ、日本のシルクを大量にアメリカに運んでいました。船内には生糸積載専用の部屋「SILK ROOM」(シルクルーム)が今も残り、当時の生糸輸出が国を支えていた名残を見せます。
氷川丸は横浜・山下公園にて内部が一般公開されていますが(一般200円/シニア100円/小学生100円)、残念ながらシルクルームは非公開だそうです。
「ケント州立大学博物館」(アメリカ)
遠くアメリカのオハイオ州ケント市の「ケント州立大学博物館」に、140年前の日本の生糸でつくられた美しいドレスが大切に保管されています。当時、ハイクオリティを誇った富岡の生糸は欧米で一躍人気となりました。日本製のシルクでつくられたストッキングやドレスなどが富裕層を中心に愛用されていたそうです。
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