テレビ朝日系ドラマ「ハヤブサ消防団」でミステリーの鍵を握ることになる宗教法人・アビゲイル騎士団について概要をまとめます。
アビゲイル騎士団は、映像クリエイターの立木彩がかつて広報として在籍していた(劇中の架空の)教団。数年前に信者12人が拷問の末に殺害されるという事件が起きており、世間では「カルト教団」として知られます。
カルト?アビゲイル騎士団とは
ハヤブサへの移住者同士である映像クリエイターの立木彩(川口春奈)と男女の関係となり、心を踊らせていた太郎(中村倫也)。しかし、編集者の中山田(山本耕史)から彩の思わぬ過去を知らされると、太郎は激しく動揺していくことになります。
中山田によれば、彩は東京に居た頃に広報としてアビゲイル騎士団という宗教法人に属していたとのこと。
アビゲイル騎士団は、教義に異を唱えた信者12人を教祖や幹部らが拷問・殺害するという凄惨な事件を起こしたことで知られる教団です。
現在教団は解散しているものの、そのセンセーショナルな事件は連日メディアで取り上げられ、「奇妙な修行と洗脳を行う危険なカルト集団」というイメージで今も人々の記憶に残っています。
彩は事件の後に逃げるように教団を辞めており、もう教団とは関係がないと太郎に話しましたが…。
【第8話 追記】
・父のアルバムの写真に映っていたハヤブサ出身の謎の女性・山原展子(小林涼子)が、「アビゲイル騎士団」の生みの親「聖母アビゲイル」であることが判明。教本によれば、山原展子はハヤブサの地で「アビゲイル」の教義の根源である円環構造の概念に目覚めたとのこと(後にこれが大嘘であることが発覚)。信者たちはこのハヤブサを聖なる土地とみなし、自分たちのものにしようと躍起になっているようです。
・山原展子は、岐阜市内に住んでいた江西忠男という金貸しのどうしようもない男の妾(=ハヤブサ出身の山原倫子)が産んだ子で、その妾が忠男に捨てられて絶望して死んだことを受けて、忠男が引き取ったとか。山原展子は引き取られた江西家で酷い暴力・虐待を受けたそうですが、その時に守ってくれたのが山原展子の異母兄にあたる江西家の一人息子・江西佑空(随明寺の和尚)だったそう。
・解散したはずの「アビゲイル騎士団」の残党は、顧問弁護士の杉森を中心に「聖母アビゲイル教団」として新たに集結していました。新生アビゲイルは、熱心な信者であるルミナスソーラーの真鍋が先導となってハヤブサ地区を混乱に陥れ、なし崩し的にハヤブサを聖地として奪取しようと企んでいるようです。立木彩も実は教団との関係は切れておらず、2代目「聖母アビゲイル」となるべく、杉森に言われるがままにハヤブサに移住してきたのでした。
【最終話追記】
・山原展子は、悟りを開いたわけでも、自らが聖母になりたかったわけでもなかったようです。若くして余命宣告されるような病に冒されていた展子は、病院で知り合ったある患者に誘われて参加したサークルで、後にアビゲイル騎士団を創設するメンバーと出会っています。
・そのサークルで展子に利用価値があると感じたアビゲイル創設メンバー(幹部)は、当時悟りなど一切開いていなかった展子を「聖母」としてまつりあげることを思いついています。幹部たちは、展子の水商売時代の愛称が「アビー(一般的にアビゲイルという外国人名の略称として使われる)」だったことを知ると、これは使えるとばかりに教団名に「アビゲイル」を採用しています。
・生前、悟りなど一切開いていなかった展子。しかし、死後に本人の知らないところで「聖母アビゲイル」として神格化されてしまうと、嘘っぱちの教本(円環の教義)まででっちあげられ、いいように教団に利用されてきたようです。
※もちろんこのアビゲイル騎士団は、実在しないフィクションの団体です。原作小説ではオルビス・テラエ騎士団の名で登場しています。
教祖は高斎 教団名の由来は?
「アビゲイル騎士団」は聖母アビゲイル(山原展子)と代表(教祖)の高斎道春が立ち上げたとされる教団(※最終話で山原展子は巻き込まれて利用されただけと判明)。全国に8支部を持つ教団で、「終わりなき孤独からの救済」を教義とします。
山原展子はすでに亡くなっていますが、代表となった高斎は孤独や苦しみに悩む人々に安らぎと幸福を約束し、次々に信者を獲得していきました。
教団名の「アビゲイル(Abigail)」はヘブライ語に由来し「神は喜んでいる」という意味があるようです。「騎士団」という言葉はもともと十字軍時に設立された「騎士修道会(=騎士団)」が由来と考えられます。「騎士団」は聖地エルサレムの防衛とキリスト教巡礼者の保護・支援などを目的に創設された集団で、異教徒との戦いにおいても重要な役割を担いました。
【最終話追記】「アビゲイル騎士団」の名は、山原展子の水商売時代の愛称「アビー」から命名されたようです。
教団は教祖を中心に、厳格な規律と独自の信仰体系に基づいて運営されていたようです。自由が許されない閉鎖的な環境の中で、いつしか信者への虐待洗脳がエスカレートしていったのでは?と当時のマスコミは報じています。
アビゲイルの教義「無限の円」、教本の内容とは
第5話では、アビゲイル騎士団の教本の内容、教義が明かされています。もちろんドラマの中のフィクションですから、あまり本気にならずにお読みくださいね(笑)。
【アビゲイル騎士団の教義】
以下の教義にしたがって、「無限の円」を教団の象徴とする。
一、この世の全ては、始まりも終わりもない循環する円環構造である。
一、我々は円の中のみで安寧なる世界を創り上げ、平和秩序を維持する。
一、円環構造の内部に一度でも与した者は、生涯同じ輪の中に生きる同志と見なされる。
一、円環構造の構成員となる同志は、終わりなき孤独からの救済を得る。
居場所のない孤独な人々を集め、社会から隔絶された閉鎖的な環境の中で濃密な集団生活を送る…。そんな教団像が見えてきますね。※最終話では、教団創設メンバーが創作した嘘っぱちの教義だと判明。
立木彩の入信経緯
もともと立木彩は、東京の映像制作会社「東京アーツムービー」の社員として働き、映像ディレクターになるという夢に邁進していました。
しかし、彩が書いた渾身の脚本が社長兼ディレクターの浅野ヤスノリ(久保田悠来)に横取りされてしまうと、浅野は彩に対し自身のゴーストライターになることを強要。さらに浅野は彩に男女の関係を迫った上で給料を未払いにするなど、ひどい仕打ちを行っていたようです。
そんな悩める彩の心の隙に近づいたのが、彩の友人でアビゲイル騎士団の信者だった滝川明日香(金澤美穂)でした。※後に滝川明日香は洗脳が解けたようで彩へも脱会を勧めていますが、それが仇となり例の事件の12人の犠牲者の一人となっています。
彩は明日香に連れられて教団本部を訪ねると、教団の顧問弁護士だった杉森登(浜田信也)と初対面。杉森が彩の弁護人となり「東京アーツムービー」を相手に訴訟を起こそうかという流れの中で、いつしか彩は教団に取り込まれていきます。
やがて彩は教団のPRビデオの作成を任されると、その作品が信者から称賛されたことをキッカケに、本格的に教団の中に居場所を見出していったようです。
教団は、美貌と才能を兼ね備えた彩を教団の広報、そして2代目「聖母アビゲイル」に指名。心が弱っていた彩は、こうしてアビゲイル騎士団の教義に飲み込まれていったのです。
教団本部ロケ地は「フレサよしみ」(埼玉県吉見町)
アビゲイル教団の本部と見られる宗教施設の撮影は、埼玉県比企郡吉見町の町民会館「フレサよしみ」で行われています。
彩が教団顧問弁護士の杉森と話をした教団施設内のロビーや、教団PRビデオの試写会を行った大ホールなども、この「フレサよしみ」内で撮影されたようです。
「フレサよしみ」はロケ地としての利用が多く、ドラマ「グッドライフ」「ブラックプレジデント」「学校のカイダン」「はじめまして、愛しています。」など多数の作品のロケ地となっています。
最終回への展望
「アビゲイル騎士団」の後継団体「聖母アビゲイル教団」が、聖母アビゲイル(山原展子)の悟りの地であるハヤブサを乗っ取ろうとしていることが判明した第8話。
さらに、展子の異母兄であることが判明した随明寺の和尚・江西佑空(麿赤兒)が、ハヤブサに押し寄せるアビゲイル信者を受け入れるという衝撃の展開が見られ、町を守りたい消防団のメンバーは四面楚歌の状況に陥っています。
最終回では、「聖母アビゲイル教団」が彩を掲げて聖母降臨の儀式を行う予定であることを、消防団メンバーたちが知ることになります。
ハヤブサを守りたい、そして彩の洗脳を解いて聖母にまつりあげられるのを阻止したい…。そんな太郎と消防団メンバーの必死の行動が最終回で描かれていきそうです。