NHK連続テレビ小説「ブギウギ」に登場する近所の中年男・小田島大(水澤紳吾)の人物像などをまとめます。
小田島はスズ子と愛子に関わる大きな事件を引き起こすことになりますが、このエピソードは実際に笠置シヅ子の身に起きたある事件がモチーフになりそうです。
近所のシングルファザー・小田島大
愛子が寂しくないようにと新居を建設したスズ子は、しばらくすると近所の人たちともすっかり顔なじみになっていきます。そんな近所の住人たちの中に、小田島大(水澤紳吾)という中年の男がいました。
小田島は早くに妻を亡くし、小学3年生の息子・一と二人暮らし。一は学校に馴染めずにいるようですが、近所の空き地で愛子と仲良しになっていきます。
小田島は身体が弱く、子供を抱えて苦しい生活を送っているようですが、やがてスズ子と愛子を巻き込むとんでもない事件を起こすことになります。
スズ子のモデル人物である笠置シヅ子は、1954年(昭和29年)頃に娘のエイ子を利用した脅迫事件の被害を受けており、この事件の犯人が小田島大のモデルになっていると考えられます(後述)。
▷水澤紳吾(みずさわ・しんご)…宮城県仙台市出身の47歳の俳優。入江悠監督の映画の常連として知られ、映画「SR サイタマノラッパー」シリーズ、「ジョーカー・ゲーム」などに出演。秋葉原通り魔事件の犯人をモデルにした映画「ぼっちゃん」では主演を務め、第23回日本映画プロフェッショナル大賞新進男優賞を受賞。ドラマ「玉川区役所 OF THE DEAD」「花燃ゆ」「ボイス 110緊急指令室」「恋はDeepに」「私の家政夫ナギサさん」など人気ドラマにも多数出演。
笠置シヅ子と脅迫事件
戦後に「ブギの女王」として大成功し、国民的スターになった笠置シヅ子。当時の他のスターがそうであったように、シヅ子は東京・世田谷の豪邸での暮らしぶりや娘の華やかな誕生日パーティーの様子などをサービス精神旺盛にマスコミに取材させ、週刊誌上では「スターのお宅拝見」といった特集記事が組まれました。
こうした華やかな生活に目をつけられたのか、シヅ子は1954年(昭和29年)と1955年(昭和30年)に立て続けに娘のエイ子(当時6歳前後)を利用した脅迫事件の被害を受けています。
1954年3月末。シヅ子のもとに匿名の人物から「結社のために金がいるから天神橋下に6万円を置け。さもないと一人娘を殺すぞ」という脅迫状が送られています。
シヅ子はすぐに事の顛末を警察に通報。自宅に警察が入り捜査に行われる中で、犯人はシヅ子に対し電話を含めて計9回の脅迫を行ったそうです。4月8日の朝、犯人は現金の受け渡し場所として自由が丘駅付近を指定。これを受けて現場に4人の警察官が張り込む中、シヅ子のマネージャーが犯人と接触して現金を渡そうとした瞬間に、警察官が男を取り押さえて逮捕をしています。
逮捕された犯人は無職の30歳で、近々結婚することになっていたものの失業してしまい、金に困っての犯行だったと自供。娘のエイ子に危害が加えられることはなく(※誘拐はされていない)、事件は一応無事に解決しています。
これで一件落着かと思いきや。この犯人は翌1955年にも同様の手口でシヅ子を脅迫して再逮捕されたそうで、母親の弱みにつけ込んだ一連の卑劣な犯行に対し、シヅ子はずいぶんと心を痛めたそうです。
人情派刑事役で内藤剛志が登場 マネージャー・タケシも活躍?
「ブギウギ」では実際におきたこの脅迫事件をモチーフに、近所の男・小田島大が引き起こす重大事件が描かれそうです。
史実ではシヅ子のマネージャーが現金受け渡し場所に派遣されており、「ブギウギ」の新マネージャー・柴本タケシ(三浦獠太)が事件の解決に貢献する展開があるのではないかと予想します。
また、数々の刑事ドラマでおなじみの俳優・内藤剛志が世田谷署の人情派刑事・高橋役で出演することが公表されており、朝ドラが一時的にサスペンスドラマ化するかも知れませんね。
史実の事件は何とも救いようがない悲しい男による犯行でしたが、「ブギウギ」では人情家のスズ子が犯人一家の今後としっかりと向き合い、何らかの解決法を見い出す後日談が描かれる見込みです。
家政婦の大野、新マネージャーのタケシとともに、ご近所の小田島親子もスズ子にとって重要な人物になっていくことが予想されます。