NHK連続テレビ小説「マッサン」第18週(2月2日〜2月7日)より。鴨居欣次郎(堤真一)の長男で、鴨居商店の跡取りとして期待されている英一郎(浅香航大)の身に、大きな出来事が起こります。
この記事はネタバレを含みますのでご注意下さい。
鴨居欣次郎から届いた訃報
第18週では、リンゴジュースの販路が拡大するなど少しずつ明るい兆しが見えていたマッサン(玉山鉄二)の元に、鴨居欣次郎から一通の衝撃的な手紙が届きます。
その内容は、かつてマッサン夫婦と生活を供にし、息子のように可愛がっていた鴨居英一郎が病気で亡くなったという報せでした。マッサンとエリーは急いで大阪へと向かいます。
英一郎が仕込んだ原酒
葬儀の場でマッサン夫婦と再会した鴨居欣次郎は、二人を鴨居商店へと連れて行きます。
そこでマッサンが目にしたのは、英一郎が生前に仕込んだ初めてのウイスキー原酒でした。英一郎は「師匠」であるマッサンを目標とし、鴨居商店の立派な跡取りになるために、ずっとたゆまぬ努力を続けていたのです。
英一郎の原酒を口にしたマッサンは涙が止まらず、資金の問題で後回しにしていた自身のウイスキー事業をすぐに始めることを決意するに至ります。
英一郎のモデルは寿屋・鳥井吉太郎
残念ながら若くして亡くなってしまう鴨居英一郎には、実在のモデルがいます。竹鶴政孝がかつて勤めた寿屋(現・サントリー。鴨居商店のモデル企業)の創業者・鳥井信治郎の長男、鳥井吉太郎です。
吉太郎は神戸の商業高校を卒業後、寿屋に入社。父・信治郎からの要請もあり、竹鶴の元に「弟子入り」をしています。吉太郎は竹鶴の山崎の自宅に住み、竹鶴からは現場の英才教育を受け、竹鶴リタ(エリーのモデル)からは英語の手ほどきを受けていました。
吉太郎は若くして寿屋の副社長に就任し、後継者として大きな期待がかけられていました。人柄も好男子で財界からの信頼も篤く、各方面から将来を期待された人物でした。
吉太郎33歳で急死 その死因は
しかし、吉太郎は33歳という若さで病気により亡くなってしまいます。その死因は心臓疾患だったといわれます。父・信治郎は、期待していた長男の死を深く嘆いたそうです。
鳥井吉太郎は妻・春子(阪急阪神東宝グループ創始者・小林一三の娘)との間に息子・信一郎を残しています。信一郎は後年、サントリー3代目社長となっています。
サントリー二代目は佐治敬三 名物社長として知られる
なお、ドラマ「マッサン」ではどこまで描かれるかわかりませんが、寿屋は二代目候補だった吉太郎を失うとその弟・佐治敬三を後継者とし、2代目社長とします。敬三は母方の佐治姓を名乗るものの、創業者・鳥井信治郎の実の息子であり、吉太郎の実弟です。
佐治敬三はサントリーを「生活文化企業」とすることを社是とし、文化で社会に貢献していく方針を強めます。この経営路線がこんにちのサントリーの隆盛をより確固たるものとし、佐治敬三は「名物社長」として名を残すまでになります。
▼開高健、山口瞳など、佐治敬三の元で多彩な才能が花開いたサントリー。「やってみなはれみとくんなはれ」は生活文化企業サントリーの「裏社史」。