NHK連続テレビ小説「あんぱん」より。高知・御免与町にやってきたパン職人「ヤムおんちゃん」こと屋村草吉は、パンの腕前は確かですが少々お金にがめついところがあります。
この記事では、ヤムおんちゃんが売っているあんぱんの値段(1個10銭)、開業する朝田パンのあんぱんの値段(1個3銭)が当時の物価と比較して妥当なのか、ぼったくりなのかをまとめます。
ヤムおんちゃんのあんぱんは10銭 朝田パンは3銭
1927年(昭和2年)に、全国各地を旅する途中で高知・御免与町にやってきたパン職人「ヤムおんちゃん」こと屋村草吉(阿部サダヲ)。
高知の片田舎だった御免与町ではまだあんぱんは一般的ではないようで、草吉が作るあんぱんの美味しさは町の人たちにとって衝撃的なものでした。
草吉は子供たちには気前よく無料であんぱんを配るのですが、大人たちには1個10銭という当時としては高額なお代を請求します。
草吉のあんぱんを食べたい釜次(吉田鋼太郎)は10銭という値段に驚愕し、「まけろ!」と大騒ぎをしています(第2回)。※釜次は当初、草吉のあんぱんを1個1銭くらいだと予想していました。
第2週では、一家の大黒柱である結太郎(加瀬亮)を失った羽多子(江口のりこ)ら朝田家の人々が草吉から教えを請い、朝田石材店の一角に「朝田パン」を開業。あんぱんを1個3銭で売り出すことになります。
#あんぱんあれこれ
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) April 4, 2025
ヤムおんちゃんが作ってくれた焼きたてのあんぱんに、生きる力をもらった朝田家
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昭和2年当時のあんぱんの値段は?
草吉が御免与町にやってきた1927年(昭和2年)当時のあんぱんの値段について調べてみました。
「物価の文化史事典」(監修・森永卓郎)には、明治から昭和時代にかけての銀座木村家総本店のあんぱんの値段の推移が掲載されています。
後に判明しますが、ヤムおんちゃんは「あんぱんの元祖」とされる銀座木村家総本店をモデルにしたと思われる銀座「美村屋」でパンの修行をしていたらしく、ヤムおんちゃんのあんぱんは本場仕込みということになります。
★あんぱんの値段の推移(銀座木村家総本店)
・1914年(大正3年)あんぱん1個=2銭
・1923年(大正12年)あんぱん1個=2銭5厘
・1938年(昭和13年)あんぱん1個=5銭
・1943年(昭和18年)これ以降、戦中戦後は原料無く販売中止
「物価の文化史事典」より引用
銀座木村家総本店のあんぱん(1個)は1923年(大正12年)当時で2銭5厘、1938年(昭和13年)当時で5銭であることから、ドラマの時代設定である1927年(昭和2年)の時点では1個3銭〜5銭くらいだったのではないかと推測します。
つまり、昭和2年に高知の片田舎であんぱんを1個10銭で売っていた草吉は、ずいぶんと値段をふっかけていた事になるかと思います。
第9回放送で開業した朝田パンのあんぱんは1個3銭で売られ、草吉が「3銭じゃ儲けにならねえ」と苦言を呈していましたが、当時としてはまずまず妥当な値段と言えそうですね。
とはいえ、これは東京都心部である銀座の「元祖あんぱん」の値段の話。遠く高知の御免与町では1個3銭でも高く感じるようで、近所のおばさんたちはもう少し安いお団子を買うと発言しています。
※お金持ちの千代子(戸田菜穂)だけは1個3銭に対して「あらっ、えらいお安いね」と発言しています。
参考までに、草吉が厨房を借りていた御免与町のうどん屋の店頭に出されていたお品書き(メニュー)の値段も掲載しておきます(第1回に登場)。
★御免与町のうどん屋のお品書き
・かけもり…10銭
・たぬき…15銭
・月見…15銭
・きつね…25銭
・天ぷら…30銭
【参考】
ヤムおんちゃんのあんぱん…1個10銭
朝田パンのあんぱん…1個3銭
御免与町のうどん屋の「かけもり」がちょうど10銭で草吉のあんぱんの値段と同じ。
現在だとかけうどん1杯は300円から600円くらいですから、かけうどん1杯と同じ値段である草吉のあんぱん(1個10銭)はなかなか高いですね。朝田パンのあんぱん1個3銭は現在の物価感覚で100円〜200円くらいとなりますから、まあ妥当ですよね。
最後に、参考までに1927年(昭和2年)当時の物の値段をピックアップしておきます。東京の物価が中心ですが、当時の値段感覚がわかるかと思います。
ちなみにこの1927年(昭和2年)は朝ドラ「ブギウギ」(2023年放送)において幼少期のヒロイン・鈴子(澤井梨丘)が梅丸少女歌劇団(略称・USK)に研究生として入団した年でもあります。USKではデビューが出来れば月給20円が約束されていました。
★1927年(昭和2年)の物価
・うどんそば(1杯・東京)…10銭
・親子丼(1杯・東京)…30〜40銭
・三越食堂のカレーライス(1杯・東京)…30銭
・婦人用浴衣(純綿・1反)…1円前後 ※1930年のデータ
・男の帽子(1個)…8円79銭
・ネクタイ…1円前後
・銭湯の入浴料(大人・東京)…5銭
・男の理髪料(大人・東京)…50銭
・帝国劇場の観劇料…最高料金8円、最低料金50銭
・映画観覧料(大人・入場料)…50銭、1円50銭、2円50銭の3段階 ※1931年のデータ
・山手線初乗り運賃…5銭
・東京〜大阪間の鉄道運賃(片道)…6円4銭
・東京大学の学費(法文系・入学年次の1年分)…100円
・慶応大学の学費(法文系・入学年次の1年分)…140円
「物価の文化史事典」より引用
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※本ページの情報は2025年4月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。