NHK連続テレビ小説「あさが来た」第22週(2月29日〜)では、あさ(波瑠)がたびたび東京へ向かう様子が描かれます。ドラマ開始当初(幕末期)は遥か遠い地であった東京ですが、この頃になると文明開化の恩恵により、だいぶ気軽に行ける場所へと変わってきています。
この記事では、第22週=明治28年〜29年(1896年)当時の大阪〜東京間の鉄道所要時間などをまとめます。
母の急死、寄付金集め…たびたび東京へ
第22週では、母・梨江(寺島しのぶ)が急死したこと、それに、寄付金集めのためなどといった理由で、あさや千代(小芝風花)らがたびたび東京へと向かいます。
思い返せば、あさが五代の薦めにより初めて東京の地を踏んだのが明治11年(第13週)のことでした。この時、あさは大阪港から船に乗って横浜港へと向かい、そこから鉄道で新橋へと降り立っています。文明開化の時代が始まっていたとはいえ、大阪〜東京間はまだまだ遠い旅路でした。
グッと近くなった大阪〜東京
あさの東京初訪問(明治11年)から18年ほどの歳月が流れ、大阪〜東京間の交通もかなり便利になっているようです。
史実によればその後、明治22年(1889年)に新橋〜神戸間で鉄道が全線開通し(所要20時間強)、明治29年(1896年)には新橋〜神戸間で急行列車の運行が始まり、東京と神戸が17時間余りで結ばれています。
第22週で描かれる時代はちょうどこの明治29年頃のことで、大阪〜東京間がおおよそ16時間程度で結ばれていたことになります(※神戸大阪間の所要時間を一時間程度として計算しています)。
白岡家には潤沢な資金がありますので、あさや千代らが急行列車に乗ってたびたび東京に行っていたことも不自然ではなさそうですね。
超特急「燕」、新幹線「ひかり」そして「のぞみ」
その後、日本の鉄道は次第に高速輸送の時代に突入していき、東京〜関西間の所要時間が少しずつ短縮されていきます。
中でも昭和5年(1930年)に登場した超特急「燕」が東京〜神戸間を9時間で、東京五輪とともに開業した東海道新幹線(ひかり0系)が東京〜新大阪間を3時間10分(1965年)で結ぶなど、技術革新によりグングン時間が短縮されていきます。2016年現在では、東京~新大阪間は東海道新幹線「のぞみ」によって2時間33分程度で結ばれています。
朝ドラでは物語の進捗(時代の進展)とともに交通手段が便利になっていく姿がしばしば描かれます。こうした時代考証のリアルさを考えるのも、楽しみのひとつと言えるでしょう。