NHK連続テレビ小説「ばけばけ」では、トキが山根銀二郎と最初の結婚をしますが、やがて二人の関係は破綻してしまいます。
この記事では、銀二郎とトキの関係が壊れてしまう原因と、銀二郎のモデル人物・前田為二が出奔(逃走)した理由などをまとめます。
【ばけばけ】幸せな結婚生活のはずが… トキと銀二郎が離婚へ?
鳥取藩の元武士の家柄である青年・山根銀二郎(寛一郎)を婿に迎え、幸せな新婚生活をスタートさせたトキ(髙石あかり)。
とはいえ、トキはいずれ外国人のレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)とパートナーになることが公表されており、銀二郎との結婚生活は早々に終わりを迎えることになります。
以下、今後のあらすじを参考に、銀二郎がトキと離婚する経緯と理由をまとめます。

松野家の莫大な借金を知らなかった銀二郎
結婚直後、「松野家の跡取りとしていずれはおじじ様、父上様のような立派な当主になりたいと思っとります」と意気込みを語っていた銀二郎。
さっそく荷運びの仕事を始めて松野家の家計に貢献する銀二郎ですが、借金取りの森山(岩谷健司)が家の稼ぎの大半を持っていってしまう姿を見て、初めて松野家に膨大な借金があることを知ります。※銀二郎はお見合いの際に、松野家に借金が少しばかりある事は聞かされていた。
銀二郎の鳥取の実家は貧乏であり、それにも関わらず古臭い武家のしきたりを守る家風が銀二郎は大嫌いだったのだとか。
ようやく家を出られて良かったとトキに語る銀二郎でしたが、皮肉にも銀二郎は松野家でも同じような思いを抱えることになりそうです。
銀二郎が松野家から出奔 その理由とは?
やがて雨清水家の織物工場が倒産してトキが解雇されてしまうと、銀二郎はトキがいよいよ遊郭に売られてしまうのではないかと危機感を覚えるようになります。
銀二郎はお金を稼ぐために本職と内職に加えて遊郭の客引きの仕事も志願し、昼夜問わず働くようになります。しかし、このことが銀二郎と松野家との決定的な決別へと繋がってしまうのです。
ある日、遊郭で客引きをしているところを勘右衛門(小日向文世)と司之介(岡部たかし)に見つかってしまった銀二郎は、「家格が下がる」と勘右衛門から激しく責め立てられてしまいます。
家のためと思い必死に稼いできた銀二郎の反論に、一切耳を貸さない勘右衛門。ついに松野家での生活に限界を感じた銀二郎は、「二人でどこか遠くの町で暮らさないか」と愛するトキに提案しますが、家族のことが大好きなトキは即答が出来ません。
翌朝、銀二郎は手紙を残して出奔(逃亡)。トキは銀二郎の出奔先だという東京に単身向かい、銀二郎を松江に連れ戻そうとしますが…。
▼松野家も借金で大変ですが、順風満帆だったはずの雨清水家も経営不振と長男の出奔で大騒動に。

【史実モデル】小泉セツと前田為二の離婚理由

トキのモデル人物である小泉セツ(小泉八雲の妻)は、18歳の時に最初の結婚をしたものの、4年後に離婚が成立しています。
傷心のセツは、その翌年に松江に赴任していた小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の世話役(女中)を買って出たことで八雲と親密になっています。
松江藩の士族・稲垣家の一人娘(養子)として育ったセツは、18歳だった1886年(明治19年)に鳥取の士族の家柄である前田為二(まえだ・ためじ)とお見合いをして結婚。為二は稲垣家に婿養子として迎えられています。この前田為二という人物が「ばけばけ」山根銀二郎のモデル人物ですね。
セツが育った稲垣家は士族の考えが抜けずに事業は失敗続き。家計は大変に苦しく火の車でした。さらに稲垣家の厳格な家風にも馴染めなかった為二は、結婚から一年ほどで生活に嫌気が差してしまい、稲垣家から出奔(逃亡)しています。
セツは為二の逃亡先だった大阪に向かい、為二に対して復縁を説得しましたが実らず。結局セツは一人で松江に戻っています。
これ以降、セツは養父母、養祖父、さらに自分の実母(小泉チエ)を針仕事と機織仕事で養おうと孤軍奮闘。結局結婚から4年後の1890年(明治23年)1月に、セツと為二の離婚が成立しています。※この離婚の際に、セツは稲垣家ではなく生家の小泉家に復縁。
「ばけばけ」ではこうした史実をモチーフに、トキの最初の結婚と離婚が描かれます。
史実では前田為二が結婚早々に逃げるようにセツの前から姿を消していますが、「ばけばけ」では銀二郎の誠実さがより強調された脚本となることが予想されます。
