NHK連続テレビ小説「ブギウギ」第4週(10月23日〜)より。親会社の梅丸に抗議してUSKの団員たちが立てこもった山寺のロケ地、撮影場所についてまとめます。
ドラマで描かれる「桃色争議」は実話がモデルとなっています。史実において松竹楽劇部が立てこもったお寺についても、あわせてまとめます。
【ブギウギ】山寺のロケ地は百済寺 ロケ地としておなじみ
親会社・梅丸による一部楽団員の解雇、減給などに抗議するため、ついにストライキに突入した梅丸少女歌劇団(USK)の主要メンバーたち。
スズ子(趣里)たちは争議団のリーダーである大和礼子(蒼井優)に従い、嘆願書に示した要求を通すために山寺に立てこもることになります。
この一連のシーンの撮影場所は、滋賀県東近江市百済寺町にある天台宗の寺院・百済寺(ひゃくさいじ)で撮影されています。※メンバーの親たちが乱入して食事会が開かれたお堂の内部などのシーンはNHKスタジオでの撮影。
606年(推古14年)に聖徳太子の勅願により創建されて以来、実に1400年の歴史を持つ百済寺。幾度にも渡る大火を経験しながらも、十一面観世音菩薩、聖観音坐像、阿弥陀如来坐像、金銅弥勒半跏思惟像、絹本著色日吉山王神像など数々の寺宝、文化財を守り続けています。
その趣ある寺域はロケ地としても愛用され、映画「関ヶ原」(書院、庭園などで撮影。岡田准一主演)、「駆込み女と駆出し男」(表門の周辺、仁王門の周辺などで撮影。大泉洋主演)、「蟲師」(仁王門の周辺で撮影。オダギリジョー主演。蒼井優も出演)、ドラマ「功名が辻」(参道で撮影。仲間由紀恵、上川隆也主演)、「雲霧仁左衛門2」(表参道で撮影。中井貴一主演)など様々な映像作品に百済寺の風景が登場しています。
▼「ブギウギ」第16回でUSKメンバーたちが「1!2!3!4!やったれ梅丸!」と掛け声をかけながら走り込みをしていた山門と階段は、長い参道の本堂近くに立つ仁王門周辺での撮影。
▼掛け声とともに階段を駆け上がったUSKメンバーたちは、百済寺の本堂の横をかすめて境内を走り抜けいています。
【史実】高野山の世界遺産・金剛三昧院で立てこもり
「ブギウギ」で描かれている「桃色争議」は、実際に1933年(昭和8年)に発生した松竹楽劇部(現在のOSK日本歌劇団)の労働争議「桃色争議」がモデルになっています。
ドラマと同様に、松竹楽劇部の主要メンバー(飛鳥明子をリーダーに笠置シヅ子、美鈴あさ子、秋月恵美子、芦原千津子ら70人あまりの争議団)が親会社の松竹に対し、待遇改善や不当解雇の撤回などを求めて起こした「桃色争議」。
若き「乙女」たちが起こした騒動をマスコミが面白おかしく書きたて、世間の大きな注目を集めています。
いよいよ対立が深まって会社側の切り崩し工作が強まると、争議団たちは和歌山・高野山の金剛峯寺(金剛三昧院)に立てこもり、10日あまりの籠城を行っています。
結局この「桃色争議」は若き劇団員たちの熱き思いに世論が味方したこともあり、週休制の確保や最低賃金の設定などを勝ち取り、劇団員側に有利な条件で手打ちが行われています。
▼山深い天空の宗教都市・高野山にある世界遺産・金剛三昧院。松竹楽劇部の争議団はここに立てこもり、「トラスト反対」などの大弾幕を広げて演説をぶちあげ、参詣客たちの度肝を抜いたとか。