NHK連続テレビ小説「花子とアン」は、東京と山梨県甲府市が舞台。主人公の安東はな(子役:山田叶望→吉高由里子)が東京ではお嬢様言葉、山梨ではコテコテの甲州弁で話すギャップが新鮮で、そのどちらも耳に残ります。
この記事では、主にドラマ前半で登場する甲州弁をまとめてみます。
「こぴっと」甲州弁を使いこなす山田望叶(東京出身)
ドラマの中で話題になっているのが、はなや甲府の人々が使う「甲州弁」(山梨弁)。「じゃんねー」「しろし!」「ずら」「くりょう!」など独特の言い回しはどこか可愛らしく、新鮮な響きがあります。(※一部では甲州弁は日本一可愛くない方言とのウワサもありますが、僕は可愛いと思います…)
この記事では、子役・山田望叶が奮闘した第一週放送で登場した「甲州弁」と、その意味を書き出してみました。
幼少期の安東はなを演じていた山田望叶は東京都出身とのこと。山田望叶が話す可愛らしい甲州弁に一気に物語に引き込まれ、その勢いが吉高に引き継がれているように思います。
前々作「あまちゃん」では岩手三陸地方の一部で使われる言葉「じぇじぇじぇ」が流行しましたが、今作では「てっ」(「え!」「うわ!」というような驚きの様子を表す)「こぴっと」(しっかり)「しろし」(しなさい)などの甲州弁が流行るかもしれません。
はなが使った甲州弁
・お早うごいす(=お早うございます)
・おまえらも早起きじゃんねー(横浜弁、三河弁の「じゃん」と同じ。語尾につくものの、特に意味はない)
・待ってくりょう!(=待ってください!)
・富士山じゃんけ!(=富士山じゃないか!)
・行ってこいす(いってらっしゃい)
・おっかあ早くいっけし(お母さん、早く行きなよ)
・おらのことは花子と呼んでくりょう!(花子と呼んでくれ!)
・ちょっくら教えてくれろし!(教えてください!)
・奉公にいきゃー、字もそろばんもこぴっと覚えられるって(しっかり覚えられるって)
・てっ!おばさん、ありがとうごいす!(わあ!)
・おとうの顔見たらこぴっと元気になったさ(しっかり元気になったよ=この場合の「こぴっと」はシャキッと、といったニュアンスかと思います)
甲府の言葉・甲州弁は静岡との繋がりが アクセントは東京式
甲府を中心とした山梨県西部は国中地方(くになかちほう)と呼ばれ、県東部の郡内地方(ぐんないちほう)とは少し言葉が違います。東部では「西関東方言」が、「花子とアン」の舞台である西部では「東海東山方言」の一種が話されています。いずれもアクセントは東京式です。
西部の国中地方は富士川や諸街道の影響で南の静岡方面の言葉と似ており、「ずら」「じゃんねー」といった静岡弁に似た言葉が多く出てきます。
阿母尋常小学校の本多先生(マキタスポーツ)が使った甲州弁
・仲良くしろし!(=仲良くしなさい!)
・学問して良き人となれずらー(ずら=だろう、でしょう。推定、確定の意味らしい)
・先生は尊び敬えずらー
・けえってくれちゃー(帰ってくれよー)
・身体に気をつけてがんばれし!(頑張れよ!)
マキタスポーツは山梨出身、甲州弁は手慣れたもの?
ちなみに、先生を演じるお笑い芸人のマキタスポーツは山梨県山梨市(県中部、甲府市とも隣接)出身で、いわば「地元枠」とも言える出演。出演陣の中でもひと際自然な甲州弁を話していました。
マキタスポーツは、昨年放送されたテレビ東京系深夜ドラマ「みんな!エスパーだよ!」において、どぎつい「三河弁」(=愛知県東部)を操る喫茶店主を好演していました。「じゃんねー」「だもんで」などなど、三河弁は静岡方面に比較的近いことからも、マキタスポーツにとっては演じやすかったのかも知れません。