1月5日(日)から放送が始まったNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」。戦国時代、豊臣秀吉の右腕として数多くの大手柄を立てた智将・黒田官兵衛の目線から、戦国の乱世を描いていきます。
大河ドラマで楽しみなのが、登場シーンの「ゆかりの地」巡り。歴史豊かな日本列島には、先人たちの「夢の跡」が数多く残っています。第1回放送では、官兵衛が生まれ育った播磨国(現・兵庫県)周辺の土地を中心に、多くの場所が登場しました。まとめておきたいと思います。
▼「軍師官兵衛」の実際の撮影地、ロケ地はこちらの記事にまとめています。セットの姫路城は岩手県で作られ、撮影されているようです。他にも行ってみたい場所がたくさん。
・「軍師官兵衛」撮影場所・ロケ地まとめ 円教寺、えさし藤原の郷、竹田城跡など
▲奈良の法隆寺とともに、平成5年に日本初の世界遺産に認定された姫路城。
官兵衛が生まれた『姫路城』(姫路市本町)
黒田官兵衛(=岡田准一、幼名は万吉)は姫路城で生まれ育ちました。今でこそ立派な天守がシンボルとなっている姫路城ですが、当時は砦に毛が生えた程度の小さな館。第1回放送でも、決して立派とは言えない小さな姫路城が登場していました。
官兵衛は後に、中国地方攻めの拠点に相応しいとして羽柴秀吉(竹中直人)に姫路城を明け渡しています。秀吉はここに望楼式天守を建設し、天下取りの足がかりとしました。その後秀吉は大出世したため、姫路城は「出世城」とも呼ばれています。
現存する姫路城には官兵衛が普請したとされる石垣や、キリシタンだった官兵衛ゆかりの瓦といわれる「十字紋の鬼瓦」が今も残されており、ここが官兵衛の城だったことが伺えます。
姫路城DATA:
住所:〒670-0012 兵庫県姫路市本町68
TEL:079-285-1146
アクセス:JR・山陽電鉄姫路駅より北へ大手門まで徒歩15分、そこから入場口までさらに徒歩8分。
駐車場:姫路城周辺に数カ所有り
姫路城公式ホームページ(姫路城大図鑑)
http://www.city.himeji.lg.jp/guide/castle/
黒田家と深い縁『広峰神社』(姫路市広峰山)
姫路城とともに、黒田家を語る上で外せない広峰神社。第1回放送でも「広峰明神」としてたびたび登場しました。
▲Photo by Corpse Reviver(Wikipediaより転載)
黒田家は官兵衛の祖父・重隆(竜雷太)の代に、備前(福岡)から姫路に移り住みます。基盤の弱かった黒田家の財政を支えたのが、黒田家に代々伝わる目薬。広峰神社の御師(=おし。神主に仕える者)が全国の信徒に豊作祈願のお札を配り歩いていたのですが、そのネットワークを利用して目薬も売り、財を成したと言われています。
この御師ネットーワークは後々、官兵衛の武器となる「情報収集力」を支えることとなります。また、現在でも僅かですが御師屋敷と呼ばれる御師の社家が残されています。
↓ 広峰神社に関する詳しい記事はこちらに。
・黒田官兵衛ゆかりの地・広峰神社 御師のネットワークで目薬・情報を交易
広峰神社DATA:
住所:〒670-0891 兵庫県姫路市広嶺山52
TEL:079-288-4777
アクセス(電車):JR・山陽電鉄姫路駅より神姫バスで「広峰」バス停下車、徒歩30〜40分
アクセス(車):播但連絡道路「砥掘IC」より15分、駐車場は無料(70台)
廣峰神社ホームページ
http://fishaqua.gozaru.jp/hyogo/himeji/hiromine/text.htm
小寺氏の居城『御着城』(姫路市御国野町御着)
官兵衛の母・いわ(戸田菜穂)は御着城主・小寺政職(片岡鶴太郎)の養女。御着は黒田家が治める姫路の東隣の領地で、官兵衛の父・職隆は小寺政職に恩があるために、何かと小寺氏に義理を立てています。
元服し成長した官兵衛は、外様である黒田家の立場の弱さも有り、小寺政職の近習(きんじゅう=主君の側近として働く者)となります。御着は官兵衛が青春時代を過ごした場所でもあるのです。
御着城は播磨では比較的大規模な城で、播磨三大城郭のひとつに挙げられていました。小寺家は小寺政職の祖父の代からおよそ60年間、ここ御着の地を拠点としていました。
現在跡地は「御着城跡公園」などになっており、小寺氏を祀った小寺大明神(小寺家三代の城主と戦死者が祀られている)、黒田重隆(官兵衛の祖父)らの廟所、「黒田官兵衛顕彰碑」などがあります。
御着城DATA:
住所:兵庫県姫路市御国野町御着御着城跡公園
TEL:079-287-3808
アクセス(電車):JR山陽本線御着駅(姫路駅の隣り)下車、東へ徒歩10分ほど
アクセス(車):国道2号線(バイパスではない)沿い「御着」交差点近く。御着城址公園に無料駐車場あり
万吉が拘束された『龍野城』と『龍神池』(たつの市龍野町)
龍野は赤松氏の本拠で、姫路の西隣の領地。姫路の黒田(小寺)氏とは敵対関係にあります。第1回放送では万吉(官兵衛の幼名)が母の病を治す薬草を探しに、赤松の領地内にある「龍神池」に進入。赤松側に囚われ、父の職隆が龍野城に乗り込む様子が描かれました。
「龍神池」は実在の池かどうかイマイチ定かではないのですが、龍野城の南西1kmほど、龍野高校のすぐ横に比較的大きな池があります。この池、現在の地理においては龍野城から最も近い大きな池のようです。周囲には白鷺山などが迫り、劇中の「龍神池」に雰囲気が近い感じもします。というわけで、もしかしたらこの池がモデルになったかも知れません。播磨地域では古くからため池が多くあり、戦国時代であれば劇中のような薄暗い、鬱蒼とした池も多かったと思われます。
龍野城は明治4年(1871年)に廃城され、現在は石垣のみが残っています。現在見られる本丸御殿(1979年再建)や武具櫓、埋門などは後年の再建です。東門がたつの市揖保川町浄栄寺の山門として、大手門が同市同町因念寺の山門として移築されており、往時の面影を今に伝えます。
また、龍野の街は「播磨の小京都」と呼ばれ武家屋敷や醤油蔵などが残り、かつての城下町の情緒を残しています。併せて散策するとよいでしょう。
龍野城DATA:
住所:兵庫県たつの市龍野町上霞城
TEL:0791-63-0907
アクセス(電車):JR姫新線本竜野駅下車、西へ徒歩20分ほど
アクセス(車):山陽道龍野IC→県道29号線→国道179号線 無料駐車場あり(2ヶ所、計40台程度)
他に小田原城、熱田神宮、桶狭間が登場
▲ドラマ冒頭、官兵衛が丸腰で乗り込んでいった小田原城。残念ながら現在の天守は1960年に再建されたRC造り。
Photo by: Kabacchi
播磨以外では北条氏が篭城していた小田原城(神奈川県小田原市)、桶狭間の戦いに向かう織田信長(江口洋介)が出陣前の雄叫びをあげた熱田神宮(名古屋市熱田区)、その織田軍に今川氏が破れた桶狭間(愛知県名古屋市緑区・愛知県豊明市)などが登場していました。物語が進むにつれ、福岡、大分の中津など、後年の官兵衛にゆかりのある土地が出てくるようです。