2014年9月7日(日)放送のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」第36話では、後藤又兵衛(塚本高史)、黒田一成(小林ユウキチ)、大野小弁(辻本祐樹)の三人の若手家臣が若殿・黒田長政(松坂桃李)の脇を固める様子が描かれました。
この記事では三人の若手家臣のうち、「大野小弁」が残念ながら若くして討死してしまう経緯についてまとめます。
大野小弁は黒田家が播磨から豊前に国替えになったことを「若、楽しみでございます!」と前向きに話しており、この若者の前途は明るいと思われていました。
宇都宮鎮房との「城井谷の戦い」
秀吉(竹中直人)により伊予国への国替えを命じられ本領安堵を拒否された宇都宮鎮房は、ついには城井谷城(きいだにじょう)を急襲し、これを奪還することに成功します。
宇都宮鎮房は城井谷城で篭城し、豊臣軍を迎え撃つ寸法。鎮房の手勢は黒田家の居城・馬ヶ岳城の近くまでやってきて略奪、狼藉などを繰り返しており、黒田長政は鎮房を討伐しようと血気盛んに意気込みます。
しかし城井谷城は強固な要害となっており、官兵衛は断固として「宇都宮と戦はせん!」として、気が逸(はや)る長政らを怒鳴りつけます。
罠にハマリ、木井谷城におびき寄せられる長政
栗山善助(濱田岳)により一旦は抑えられた長政の「気の逸り」でしたが、偵察から戻ってきた兵士から「城井谷の門は開いたままにございます!」という情報を耳にした長政は、これを好機と考え、後藤又兵衛(塚本高史)の制止も聞かず、勝手に軍勢を率いて出陣してしまいます。
案の定、これは宇都宮鎮房が仕掛けた罠でした。長政率いる豊臣軍は城井谷の奥まで誘い込まれ、土地を知り尽くす宇都宮の軍勢から側面攻撃を受けます。奇襲により圧倒的劣勢に立たされた長政の軍勢は散々に打ちのめされ、撤退を開始します。
「影武者」を申し出た大野小弁の最期
しかしながら要害・城井谷での撤退は容易ではなく、ついに大将・長政の命に危険が及ぶ事態となると、家臣・大野小弁は「その羽織を着ていては標的にされてしまいます!願わくは、その羽織を賜らん」と長政に申し出ます。
大野小弁は長政が来ていた羽織を自ら羽織ると馬を返し、追ってくる宇都宮の軍勢に向かって切り込んでいきます。大野小弁は自らが大将・長政であることを名乗り、敵と壮絶な撃ち合いを繰り広げるも、最期は槍で突かれて壮絶な討死。
さらには黒田家家臣、高橋平太夫・横山興次・益田與六郎・四宮次左衛門らも、大野小弁に続き馬を返して宇都宮軍に立ち向かい討死。
結局、長政は大野小弁ら家臣がつくった間隙をぬって後藤又兵衛とともに逃げ延び、九死に一生を得ます。功を急ぐ長政の行動が、黒田家の大切な家臣を多数失うという悲劇を引き起こしてしまったのです。
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